就職か起業か? リクルートOB「けんすう」が本音を語る(リクルート入社まで編)

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生活の知恵があつまる情報サイトnanapi(ナナピ)。これを率いるのが、同社代表でもあるけんすうこと古川健介さんだ。リクルートへの就職を経て起業した古川さんは、いま人を雇う立場にもなった。はたして就職をどんな風に見ているのだろうか? 今回はリクルートへの入社までを話してもらった。(nanapi起業編、日本型ベンチャー編)

――けんすうさんはどういう経緯でリクルートに就職したんですか?

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古川:16歳くらいの時に家のパソコンがネットに繋がって、こりゃ面白いなと思い、当時一緒にバンドをやっていた友人――彼はいまnanapiのCTOなんですが――と作った曲のネット配信をはじめたのがネットの世界に入り込むきっかけになりました。高校生の作った曲なのに世界中の人が聞いてくれたり、感想を残してくれたりするのに興奮しましたね。

そして、浪人していた19歳とのときに「ミルクカフェ」という受験情報コミュニティサイトを立ち上げたんです。受験についての情報が欲しいのにネット上に生の声が集まっていない。それなら自分で作ってしまおうと思い立ち上げた掲示板サイトでした。これがそこそこ人気になって月に1000万PVを稼ぎ出したんですね。たいしたヒットでもないんですが、これは面白いな、と。そこからネットサービスを作ることをやり始めました。

早稲田入学後もその運営を続けていたんですが、掲示板の内容について裁判沙汰も経験しました。いろんな人が自由に書き込む掲示板って大変だなあと思いつつ、やっぱり面白くて友人が立ち上げた会社の社長を任されたりして、起業というか経営的なことを経験したのもこのころです。僕たちはウケるサービスを作るのは上手かったけど、マネタイズが全くできていなくて、トラフィックが増加しても商売にならなかったんですね。で、結局ライブドアに買収してもらいました。実は当時ライブドアに就職を考えていて、面接に行ったら「そのサイト面白いよね」ということになって、いつの間にかM&Aの話になっていたという。

ここだけの話、リクルートへの就職も実は何度も(リクルートに)落ちた末に入ったんです。インターンを2回申し込むも受からなくて、採用試験も最初はダメで、留年してやっと受かった感じですね。

――それだけチャレンジしたということは、よほどリクルートに入りたかった?

古川:当時のネットって、儲かっていないものがほとんどだったんですね。そんな中リクルートは、リクナビというネットサイトで何百億も稼いでいた。そこが魅力だったのです。

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入社後はホットペッパーを補完するようレビューサイトを立ち上げたりしていました。リクルートっておカネを払ってくれる人が偉い=クライアントオリエンティッドなところはどうしてもあったし、CGM的なものが弱かったので「何とかしろ」ということだったんだと思います。そこでは営業が足で稼いで加盟店を増やすというアプローチではなく、飲食店のサイトをクロールして自動的に登録し、そこにユーザーがレビューを付けるというプロジェクトに関わっていました。
しかし、これがまた全くコケたんですよね。後にジーニーやKAIZEN platformなどを立ち上げることになる優秀な人間が集まってた上に、お金もかなりあったんですが、バランスが悪かったかも知れませんね。

その後、2年目には「ブログウォッチャー」という電通、東工大とのジョイントベンチャーに参加したりしました。これはブログ検索サービスだったんですが、スパム対策が難しくてうまくいきませんでした。検索エンジンって、みんなが期待するのはGoogleレベルですから、ちょっとやそっとのものを作っても満足してもらえないんですよね。

なので、友人のアイディアでブログパーツを作って、それを配置してくれたブログでの、流入キーワードや滞在時間の取得を行って、別にランキングサイトを作ったりということもしましたね。そのパーツを置いてくれればランキングによってPVやグーグルでの検索順位が上がるという、スパムみたいなものを作って売っていました。結構稼げたみたいなのでよかったです。

その後、コミュニケーションプラットフォーム開発室という謎の部署が新設されたので、そこにいきました。「Facebookみたいなオープンプラットフォームを作れ」みたいなノリで5人くらいが集められたんですけど無理でしたね。10カ月で潰れました(笑)。その後、バナー広告やランディングページの最適化のプロジェクトを経て起業へ、という感じです。リクルートでは新規サービスをたくさん立ち上げて、たくさん失敗しました(笑)。

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――失敗から学んだ、役に立ったということはないですか?

古川:勉強にはなったけど(失敗が)役に立ったことはないですね。失敗ってそれこそ何万通りもパターンがあるので、成功した方が役に立つと考えています。でもリクルートでは1つも成功しなかったですね(笑)。

でも、かなり勝手はさせてもらっていたのかなあ、と。3年目のころ、午後出社で定時には帰るというのをやってたんですよ。同じ場所で仕事しても飽きちゃうし、効率上がらないからというのが理由だったんですけど、そしたら人事から僕の上司に「古川君の特殊な勤務態度について」という問い合わせがあったみたいで、電話でどうもそれについて上司が僕を庇ってくれているのを聞いて、申し訳ないなあと(笑)。その後はできるだけ普通のスタイルで出社するようにしましたね。

あとは「対面コミュニケーションを止めよう」と運動して、全部オンラインのチャットに切り替えたりもしました。コミュニティサイトを立ち上げようというくらいだから、その感覚が身についてないとダメだって主張してですね。リクルートの人って対面で話したがる熱い人が多いので、よく取り入れてくれたなあと思いますけど(笑)。そのあたりの柔軟性みたいなのはすごいと思います。

nanapi起業編へ続く。