新卒2年目のcameranアプリ開発者に聞いたMTLの開発環境(後編)

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ITエンジニアが活躍する場はひと昔前に比べて大きく広がり、また質的にも変化してきている。質的変化と言っても、単にスマートフォンアプリやウェブサービスといった新しいプラットフォームに合わせて新しい開発言語が必要になると言うだけではない。これまでエンジニアの仕事ではないと思われていた領域まで、エンジニアが携わることが可能になってきた——ということだ。

そんな新しい時代のエンジニアにとって大きな課題が新しいスキルや知識をどのようにして学ぶのか、という点だ。単にプログラミングの問題なら、上司や先輩に質問したり、Googleで検索してサンプルコードを探したりすればいい。しかし、単なるコーディングに止まらない問題をどのようにクリアしていけばいいのか。新しい時代のエンジニアは、そういった従来とは異なるレイヤーにおける課題解決能力が必要になってきている。

リクルートの実証研究機関であるメディアテクノロジーラボ(MTL)の笠島靖夫(かさじま・やすお)さんは、新卒で同社に入り、斬新なカメラアプリ「cameran」の開発を皮切りに多くの経験を積んできた。今ではリーン・スタートアップやグロース・ハックに長けた人物として、社内で高く評価されている。そして、入社から数年で、そうした学習機会を得ることができたのは、MTLだからこそと言える。

笠島さんはMTLという場で、どのように経験を積んできたのだろうか。今回は後編(前編はこちら)。

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何かを作り出し、さらに成長させるために足りなかったもの

こうしてMTLからは、さまざまなアプリやサービスが誕生している。『cameran』の他にも国内最大規模の300万いいねを集めた診断・占い・心理テスト『診断ティキット』や今日の天気に合わせたコーディネートを教えてくれる『おしゃれ天気』といったアプリ。エンジニア向けのライブラリ検索『hew.io』や会社の仲間とつながるメッセンジャー『Pequod』などのウェブサービス。また国内最大級のWebアプリケーション開発コンテストとして知られる『Mashup Awards』もMTLの手によるものだ。

そして、これらの数多くのプロジェクトを実現していく中で、MTLの中である問題意識が生まれた。それは「いかにしてプロジェクトを失敗させないか」というものだ。

「MTLではプロダクトをたくさん、自由奔放に作っていました。そうすると、それらをどうやってマネージメントをしていくのかという問題が生まれます。メンバーがそれぞれやりたいことをやりつつ、それを失敗させないように管理するか。そこで、僕の上司が『リーン・スタートアップという方法が最近流行っている。それをやったら失敗しにくくなるんじゃないか』という話しをしたんです」

リーン・スタートアップとは、新しいプロダクトやサービスを立ち上げ、かつイノベーションを持続させるために、シリコンバレーで生まれた方法論だ。製品を素早く開発し、ユーザーに評価してもらいながら、頻繁に改良を繰り返していく。そこでは、ユーザーによる製品の評価を統計的手法によって「数値」で示すことが重要なポイントとなる。

「リーン・スタートアップは効果検証が重要なので、統計学的な知識がいるから『じゃあ、おまえ数字に強いだろう』みたいな感じで指名されました(笑)」

「もともと僕自身、リーン・スタートアップに興味を持っていて、こういうやり方でプロジェクトをできればと思っていたんです。ただ、具体的にどうやってやったらいいのかわからなかったんですね。そこで、仕事として実際にシリコンバレーの人に実際に話しを聞いたり、メンタリングしてもらったりしながら、実践的に学ぶことができた」

今年の3月には、リクルートが主催した学生向けのワークショップ「2weeks アメリカ横断workshop 2014」に、技術担当のメンターとして参加。あくまでも学生のサポートという立場だったが、アメリカでのMITやスタートアップの人々との交流は、笠島さん自身にとっても大きな経験になった。

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「リーン・スタートアップに詳しいということで担当になったんですが、個人的にもラッキーでした(笑)。現地のスタートアップの経営者にたくさん会えたことが、刺激になりました。特にジャニス・フレーザーのワークショップが面白くて『リーン・スタートアップとは何ぞや』ということを体系的に腑に落ちる形で教えてくれました」

「MTLでも実践したくて、次に新しいプロダクトを立ち上げるときには、ゼロからリーン・スタートアップでやってみたいと思っています。他にも社内でもリーン・スタートアップやグロース・ハックの『講師をしてほしい』という話しはあります。そうやってリクルートの中で成功事例が増えていったら、どんどん外にも出していきたいですね」

最近ではめっきりリーンスタートアップの人となった笠島さんだが、決して開発現場から離れたわけではない。

「iOSが新しくなったり、面白い技術が出たりした時は、それを試していることも多いです。MTLは研究組織でもあるので、エンジニアは技術検証する時間を取ることができます。今関わっているプロダクトには関係なく、自分の好きな分野の検証をできたりするので自由ですね」

こんな風に自分でやりたいことができたら、すぐにそれを実行させてもらえる組織。その点において、リクルートとMTLの「自由さ」は、同規模の他社と比べると群を抜いている。

「すごく自由です。それは、やりたいと思ったことは、基本的に何でもやれるから。リクルートもそうですし、MTLは特にそうなんです」

だからこそ笠島さんも「今、すごく楽しい」とためらいなく語るのだろう。