退職してフリーランスになる人が準備しておきたい「独立後に必要なお金」

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いざサラリーマンを辞め、会社を退職して独立するぞと思ったときに考えるのが、独立に必要な資金のことばかり。しかしそれ以外にも強制的に支払うことになる逃れられない支出が存在することをご存じでしょうか。独立資金は集めたけれど、これらの支出を忘れていたために、事業がうまくいかなくなったというのでは、本末転倒です。退職後にかかってくる逃れられない支出をまとめてみました。

1.住民税

会社に勤めていたときに給与から天引き(特別徴収)されていた住民税。さて辞めたからもう払わなくていいやという「甘いことにはなりません」。まず、住民税の基本的な課税の仕組みについて学んでおきましょう。

住民税は「前年(1月~12月)の年収に対して、今年の6月~5月に給与から徴収される形で課税されていきます。つまり今払っている毎月の住民税は去年の年収に対して課税されているものなのです。まず最初のつまずきは、退職月に翌年5月までの住民税を一括徴収されるか、市区町村から送られてくる納付書によって払う(普通徴収)を選ぶ形になります。例えば12月の給与を最後に退職した人で、住民税が毎月30,000円だった人の場合、1月~翌年5月の5カ月分となる150,000円を一括で、または3分割程度で払わなければならないのです。退職後すぐに払うことになった場合、思わぬ大きな支出、痛手になります。

しかも住民税は、もう一回払わなければならないのです。それは先ほど説明した、「前年度の年収に対して課税される」ということ。つまり退職の「翌年の住民税」はまだ払っていないということです。先ほどの10月で退職した人で、住民税が月額30,000円だった人の場合、同じ年収と仮定すると、退職した翌年の6月に、さりげなく通知が市区町村から届き、合計はなんと360,000円!

独立して半年強、まだ事業が軌道に乗っていないときに、この支出は非常な痛手となります。「住民税、忘れたころにやってくる」、コレ、絶対に忘れないでください。万が一、滞納した場合、もちろん滞納税が加算されます。他の市区町村に住所を移してもムダです。

2.国民健康保険料

会社に在籍したころには、健康保険として社会健康保険や組合健康保険に加入していたと思われます。だいたいの人が月々20,000円~30,000円支払っていたのではないでしょうか。これが退職すると、国民健康保険料に切り替わることになりますが、これが前年の年収で計算されるため、その年の3月までは、会社員時代の約2倍の国民健康保険料を支払うことになります。その金額、月40,000円から60,000円程度とかなりの高額!

なぜこんなに高額になってしまうかというと、会社に勤めていたころは、保険料は労使折半。つまり半額分を会社が支払ってくれていたから、それを自分で全額払うことになるためです。11月に退職したとすると、11月~翌3月で、平均250,000円の支出となってしまいます。もし誰かの扶養にはいれる条件を満たしているのであれば、すぐに加入手続をしないと、国民健康保険に強制加入となります。また住民税と同じように、前年の年収で国民健康保険料は計算されるため、前年の年収が高いとかなりの高額の支払が命じられます。これも逃げることができない強制加入の保険料なので、事業を始めたら、住民税と共に余剰資金として残しておきましょう。

ただし、一つだけ支払を猶予される場合があります。それは会社を解雇されたとき。解雇された場合は、市区町村によっては、一定期間支払が免除・減額されるので、かならず市区町村に申請しましょう。

3.国民年金保険料

住民税・国民健康保険料と違い、退職後に加入する国民年金は保険料が定額の月15,250円で、前年度の年収が低い場合は、当年6月から全額免除・1/2免除・1/3免除の申請をすることができます。気をつけたいのは、申請しないと免除されず、滞納になってしまうことです。6月から1年単位で免除申請できますが、6月以外の月からでも(つまり1年未満でも)免除申請はできますので、退職月にかかわらず、念のため、免除申請を出しておくといいでしょう。また最近制度が変わり、今まで滞納していた分は強制徴収することができるようになったので要注意です。国民健康保険料のときと同様に、解雇された場合は、市区町村によっては、一定期間支払が免除・減額されるので、かならず市区町村に申請しましょう。

いかがでしたでしょうか。意外というか、かなり多額の出費に感じられた方が多いのではないでしょうか。独立起業した際に、これらの支出で事業が立ち行かなくなることのないように、あるいは、転職せずに会社を辞めるときにも、生活余裕資金は十分に確保しておきましょう。