VASILYの梶谷氏に聞く「RECRUIT Growth Hacker Month」開催の意義とは?(後編)

今年2月に1カ月にわたって、シリコンバレーからグロースハッカーたちがやってきて、刺激的な講演を繰り広げた「RECRUIT Growth Hacker Month」。リクルート主催のこの一大イベントには多くの日本人開発者やサービス担当者が集まった。イベントに参加して、レポートという形で情報発信を行ったほか、グロースハッカーに関する情報を発信し続けいている梶谷健人さんに話を聞いた。梶谷氏は、スマホ向けファッションアプリ「iQON」を開発するスタートアップ「VASILY」のグロースハッカーだ(記事前編はこちら

日本で本当にグロースハックが浸透するのはこれから

いくつものミートアップから梶谷氏は数多くの学びを得たというが、その中でも衝撃を受けたのはニール・イヤール氏のセッションだったという。同氏は、グロースハックに欠かせない消費者行動心理学の専門家で、その理論を『Hooked』という書籍にまとめている。ニール氏のhooked理論は、ユーザーがプロダクトを利用する習慣を形成するための理論だ(詳しくは梶谷さんのレポートを参照してほしい)。

「iQONというアプリは、僕らが目指す目標ほどユーザーに毎日使ってもらえていません。でも、FacebookやTwitterは多くのユーザーに毎日のようにつかわれている。この差は何だろうとずっと考えていましたが、ニールの話でガツンと答えをもらいました」

Vasily officeそして、梶谷さんにとって幸運だったのは、グロースハックについてブログを書いていることを、『Growth Hacker Month』の主催サイドが知っており、登壇者のひとりであるニール氏と直接話す機会を得たことだ。これがきっかけで、ニール氏がVASILYに来社して、直接iQONについてアドバイスをもらうことが出来たという。

一方で、梶谷さんにとって残念だったこともある。それは参加者側に積極性が足らないかった点だ。「Google Analyticsの開発に係わったカイル・ワイルド氏のセッションで、起業家にディスカッションを呼びかけていたんですが、最初は誰も手を挙げようとしな」かったのだという。

また梶谷氏は、セッションで新しいつながりが出来ることを期待していたが、残念ながら新しくグロースハッカーと知り合うことはできなかったという。「まだ、グロースハッカーにはコミュニティと呼べるようなものがないんですね。だから、懇親会とかで、もっと話せることを期待していたんですが」と梶谷さんは残念そうに話す。

しかし、一方でグロースハッカーへの期待や、グロースハックのニーズは着実に増えていることも感じているという。そのひとつが、梶谷さんへのグロースハックに付いての講演依頼が増えている、という点だ。

「先日、あるベンチャーキャピタルが投資している企業数社に向けて講演したんですが、具体的なグロースハックの事例の話になると、途端に目がキラキラしていました(笑)」

こうした講演で話すことは、グロースハックの普及だけでなく、梶谷さん自身にもメリットがある。「アパレル関係のEコマース企業でお話ししたときは、ECサイトの集客トレンドについて多くを教えてもらいました」という。そして「ブログもそうですが、いまWebの時代は、情報を発信すればするほど、発信した人に情報が集まってくるから」とも話す。

これから日本でもグロースハッカーは増えていくのだろうか。梶谷さんは次のように話す。「僕は1年間、グロースハッカーとしてブログを書いてきましたけど、1年経ってようやく皆がグロースハッカーを知ったという段階だと思っています」

「一方で、グロースハッカーについては誤解も多く、小手先や見てくれだけの改善がグロースハックだと思われがちです。それを避けるために、国内外の本当のグロースハッカーを紹介して、グロースハックの情報を発信していく必要があります。僕もそれを少しでもサポートできればと思っています」と決意を述べる。

その意味でも、今回の「Growth Hacker Month」はちょうど良いタイミングのイベントだったと、改めて意義を強調。そして、さらにリクルートへ期待することとして「今度はシリコンバレーの人を呼ぶんじゃなくて、シリコンバレーに日本から乗り込んでいくイベントを期待しています」と最後に笑いながら付け加えた。