エンジニアが惚れる経営者とは?「CTO」に聞いた「CEO」選びのポイント

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世の中にアイデアは数あれど、それを具現化できるエンジニアはごくわずか。ビジネスモデルを思いついた多くのCEOはまずCTOを口説くことになり、腕の良いエンジニアはこの手の誘いを受けることが少なくありません。そこで、スタートアップ企業のCTOがどんな理由で現在のCEOと働くことを決断したのか、昨年1億円の資金調達に成功した、カップル専用SNS『Pairy(ペアリー)』と家族専用SNS『Famm(ファム)』を運営する、「Timers」のCTO・椎名アマド氏に、CEO・高橋才将氏との出会い、なぜパートナーとなったのかを伺いました。

起業はいつでもできる。縁を紡ぐチャンスは少ない

―椎名さんは前職では「DeNA」のエンジニアだったわけですが、高橋CEOからヘッドハンティングなどがあったのでしょうか。

「いいえ。たまたま知り合った私が、共同創業者の高橋と田和が構想していたアプリについて、主に技術的なことについて相談をいただいたんです。高橋さんは当時ITとは別の業界の人間でしたが、話をしていてすごく共感できるところが多かったんです。それはアプリの面白さだけではなく、ビジネス領域としてもチャンスや魅力があり、率直に『鋭い!』と感じました」

―椎名さんは新卒で『DeNA』のエンジニアになられていたわけですが、ビジネス全般への興味があったのですね。

「入社1年目で『Mobage』スマホ版の立ち上げに関わり、その中ではマネジメント寄りの仕事も多かったんです。2年目にはゲームコミュニティ機能の開発チームリーダー、日米共同のゲームエンジンの開発マネジメントに携わりました。入社当時から、技術の面だけでなく組織のマネジメントなどもできるエンジニアになりたいという意向を伝えていたので、入社後はそのようなプロジェクトに配属になったのかとも思います。
高橋からは『引き抜かれた』というのではなく、相談いただいたことに限らず共感できる部分がたくさんあることが、お話を重ねるうちにどんどんわかってきました。結論として『みんなで会社をやめて一緒に頑張りましょう』となっていったんです」

―大手企業で、しかも大きなプロジェクトを任されているにも関わらず、リスクの高いスタートアップ企業へと転身することにためらいはありませんでしたか?

「もともと3年ほど会社勤めをしたら起業しようと考えていました。しかしその数字は目安でしかなく、起業はあくまで成し遂げたいゴールのための手段だと思っていたため、実際にどういう事業に挑戦しようかという点では悩んでいる最中でした。そんな中、高橋と田和と出会いました。起業はいつでもできるけど、大切なパートナーとなりうる人との縁は人生においてそうそう得られるものではない、と思ったんです。それで高橋たちと共にやっていくことを決めました。人との縁に勝るものはない、今でもそう確信しています」

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IT技術がどれ程進化しても 結局それは人間のためのもの

―高橋CEOとどのような面で共感できたのか、具体的に教えてください。

「私たちが『Timers』を起業した2012年は、ITの世界では革新ともいえるようなすごい技術が続々と台頭してきていました。その渦中にいながら、正直私は違和感を覚えていました。新しい技術が次々出てきて、面白いアプリやサービスはたくさんある。でも、果たしてこれってユーザーの幸せにつながるのだろうかと。人間が望むことって、昔から変わっていないはずなんです。もっとシンプルに、人の普遍的な望みに訴えかけられるようなプロダクトを開発していきたい。そういう考えは、高橋をはじめTimersの仲間たちと強く共感した部分です。現在我々が運営している『Pairy(ペアリー) 』も、そうした思いから立ち上げたカップル専用SNSです。お付き合いしている人と幸せに、楽しく過ごしたいと誰もが思いますよね。それをお手伝いしたい、というシンプルな発想がもとになっています」

―「Timers」同様、そうしたポリシーのある企業のCTOは、技術的なスキル以上のものが求められるでしょうね。

「私自身の場合、もちろんエンジニアの仕事は大好きですし、魅力を感じています。それ以上に、人やお金を動かしながら進めていくビジネスというものがトータルで好きだし、そういうところに興味が向いているんですよ。
プログラミングというのは、ビジネスにおいては、あくまでもお客様に提供する価値を具現化する手段であると、そう考えています」

企業の文化を創造できるのがベンチャーの魅力

―最後に、大手企業にはないベンチャーの魅力は実感されていますか?

「もちろんです。例えば後輩エンジニアなどの人材育成は、企業の規模に関わらず社員の使命です。それ以上に、単に技術を超えた会社の哲学・理想を後輩たちと共有しながら、今後何年も引き継がれる会社の『企業文化』を育んでいけるのは、ベンチャーの最大の魅力だと思っています。起業メンバーたちには共有している哲学がありますから、それをさらに企業のカラーとして根付かせていくことができることに醍醐味を感じています」

―「Timers」の社風はユニークな会社規定からも伝わってきます。「失恋した社員は特別に休暇が取れる」というものもあるんですね。椎名さん、利用したご経験は?
「利用する前に結婚しましたので、幸か不幸か、使えませんでした(笑)」