今、欧米メディアでホットなテーマ「Internet of Things」とは?

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Creative Commons: Some Rights Reserved. Photo by Martin Abegglen

2020年までに500億の“モノ”がインターネットに接続

最近、欧米のメディアを中心に話題となっているテーマのひとつが、「Internet of Things(モノのインターネット・IoT)」。通信機能を有するあらゆるものがインターネットに接続し、ヒトが介在することなく、制御し合ったり、情報を送受信し合ったりすることを指します。

この概念は、1999年、英国人のケビン・アシュトン(Kevin Ashton)氏によって提唱されたものですが、クラウドコンピューティングなどによるストレージ(データの記憶装置)の低コスト化や、モノをつなぐためのセンサー・ハードウエアの進歩、スマートフォンの普及などに伴って、近年、様々な分野で実用化されつつあります。また、この市場は、今後さらに急速に拡大するとみられており、米シスコシステムズ(Cisco Systems)の調査レポート(PDF)によると、世界全体でインターネットに接続されるデバイスの数は、2015年までに250億、2020年までには500億に達すると予測されています。

IoTの具体的な事例としては、“スマートハウス”と呼ばれるように、家電や設備機器をインターネットに接続し、自動的に最適な制御を行うものや、“フィットネス系ウェアラブル”のように、常時身に付けた端末を通じてユーザーの消費カロリーや睡眠時間を自動的に計測し、データ蓄積するといったものが挙げられます。アップルが2014年6月2日に自社の開発者向けイベントWWDCで発表したフレームワーク「HomeKit」や「HealthKit」は、これらの領域に向けた取り組みといえるでしょう。

IoTをめぐるプラットフォーム覇権争い

いわずもがな、IoTが様々な分野に広がれば、インターネットに接続するデバイスも、インターネット上でやりとりされるデータ量も、加速度的に増加します。膨大なデータをリアルタイムで分析するなど、より複雑で高度なデータ分析へのニーズも高まるでしょう。これらの実現を下支えする上で、プラットフォームは不可欠なものですが、現時点において、有力なプラットフォームはまだ確立されておらず、大手各社がしのぎを削っています。

グーグル(Google)は、携帯情報端末向けプラットフォーム「Android(アンドロイド)」をIoT分野にも応用しようとしています。2014年1月には、自動車へのAndroidプラットフォーム搭載促進を目指し、本田技研工業、米ゼネラルモーターズ(GM)、独アウディらと「オープン・オートモーティブ・アライアンス(OAA)」を創設。また、同月、温度調節装置や煙探知センサーを開発する、米ホームエレクトロニクス企業Nest Labs(ネストラボ)を32億ドル(約3280億円)で買収しました。この買収は、“スマートホーム”や“スマート家電”といった、コンシューマー向けIoT市場への進出を狙ったものとみられています。

マイクロソフトは、1996年にリリースした「Windows CE」をベースとする組み込みOS「Windows Embedded」をIoT分野でも推進。一方、カナダの通信機器メーカーBlackBerry(ブラックベリー)は、自社のタブレット端末やスマートフォンに利用しているプラットフォーム「QNX」をIoT分野に展開しようと、2014年5月21日、イニシアチブ「Project Ion(プロジェクト・イオン)」を創設しました。また、米半導体メーカーIntel(インテル)では、2009年に買収し、子会社化したソフトウエアベンダーWind River Systems(ウインドリバー・システムズ)のオペレーションシステムと自社のハードウエアを組み合わせたソリューションを提供しはじめています。

IoTは、コンシューマー市場から、製造業や運輸業などの企業向け市場まで、幅広い市場での展開が見込まれるだけでなく、ワイヤレスネットワークやストレージ、データ統合・解析システムなど、技術面でも複数の領域にわたって影響し合うものです。それゆえ、IoTが私たちにもたらす未来像を見通すためには、ビジネスとテクノロジーの両面から、その動向を注視することが必要になるでしょう。