行政と市民の関係を変える!? 世界で広まるオープンデータの中身とは

hrnavi_matsuoka140610_580
Creative Commons: Some Rights Reserved. Photo by Justin Grimes

*オーブンデータで生まれる市民と行政のコ・クリエーション
*市民をどう「巻きこむ」か。行政によるオープンデータ活用の動き

皆さんは「オープンデータ(Open Data)」と呼ばれる、誰でも自由に使え、再利用・再配布できるデータを知っていますか?  近年、世界中で財務データや統計データなど、公共機関が保有する公共データのオープンデータ化が進んでいます。

その先進的な事例の1つが、米国の「data.gov」です。バラク・オバマ大統領は、就任直後の2009年1月、“透明でひらかれた政府”への取り組みを表明し、同年5月に、米国政府が公開するデータのポータルサイトとして「data.gov」を開設しました。また、英国でも同様に、英国政府のオープンデータポータルサイト「data.gov.uk」が開設されているほか、2014年6月には、英国議会が独自のポータルサイト「data.parliament.uk」のα版(初期版)をリリース。このサイトでは、まだごく一部ながら、議会資料などが公開されています。

オープンデータへの取り組みは、新興国でもスタートしています。例えば、インドは、米国政府との共同イニシアチブのもと、オープンデータプラットフォーム「Open Government Data Platform India」を開設し、現在、7,800件以上のデータセットが登録されています。一方、ロシアでは、連邦政府や地方自治体のオープンデータを集約した「data.gov.ru」を通じ、約1,400件のデータセットを公開。モスクワ市内の駐車場を検索できるアプリやトゥーラ市の無料Wi-Fiスポットを自動検知するアプリなど、オープンデータを活用したスマートフォンアプリも配布されています。

また、最近では、公共機関がデータを一方的に公開するだけでなく、オープンデータの収集や活用に一般市民を巻き込み、よりよい社会づくりに役立てようという動きもみられます。例えば、米カリフォルニア州パロアルト(Palo Alto)では、スマートフォンアプリを通じ、「近所の壁に落書きがある」、「不法投棄を見つけた」など、緊急性の低い地域のトラブルを年中無休24時間いつでも、住民が行政機関に通報できる行政サービス「PaloAlto311」を2013年から実施。2014年5月には、このアプリを通じて住民から寄せられたデータをマップやグラフでビジュアル化し、ウェブサイトで公開しはじめました。「どの地域で、どのようなトラブルが起こっているのか」、「通報件数の多いトラブルは、どのような類のものなのか」、「通報があったトラブルのうち、行政機関が対応した割合はどれくらいなのか」といったことが常時可視化される仕組みとなっています。

Palo Alto – Become More Connected from Palo Alto Videos on Vimeo.

一方、住民自身が街の現状をデータで収集し、行政機関と共有し合うことで、よりよい街づくりにつなげる試みとして、「NoiseTube」があります。2008年、仏パリのソニーコンピュータサイエンス研究所(Sony CSL Paris)で立ち上げられ、その後、ベルギーのブリュッセル自由大学(Vrije Universiteit Brussel)に引き継がれたこのプロジェクトでは、一般市民を巻き込んだ騒音モニタリングの研究に取り組み、街の騒音を録音し、位置情報を付加した上で、オンライン上に共有できるスマートフォンアプリを開発。行政機関のみに任せるのではなく、地域住民の参加によって、地域の騒音状況をくまなく可視化し、モニタリングできれば、騒音問題を抱える地域を素早く特定し、必要な措置を迅速に講じることができると期待されています。

オープンデータは、行政の透明化につながるのみならず、国民・地域住民の政治参加や官民の恊働を促すきっかけにもなりうる、万人に共有されるべき価値ある資産。多種多様なオープンデータが公開されることで、公共機関と国民・地域住民との関係性や関わり方にも、大きな変化がもたらされるかもしれません。