「Airbnb for X」が次々と誕生! ますます広がる共同消費

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シェアオフィスに、カーシェアリング、コワーキングスペース…。最近ではこうした部屋や自動車など、様々な資産を消費者同士が融通し合う消費スタイル=共同消費(Collaborative Consumption)がオンラインプラットフォームの進化やソーシャルメディアネットワークの普及によって急速に広がっています。

とりわけ、個人宅などの空き部屋を有償で貸し借りする「Airbnb(エア・ビー・アンド・ビー)」は、2008年の開設以来、共同消費を後押ししてきた代表的なオンラインプラットフォーム。世界190カ国3万4000都市にわたり30万件以上の空き部屋が登録され、2012年末時点で400万人が利用しています。

Airbnbと同様、オンラインプラットフォームを通じて消費者間の貸し借りをマッチングさせる仕組みは「Airbnb for X(○○版エア・ビー・アンド・ビー)」とも呼ばれ、数多くの分野で活用されてきました。例えば、オフィススペースのための「ShareDesk」、空きガレージを扱う「Park at my garage」、個人オーナーとユーザーを直接つなぐP2P型カーシェアプラットフォーム「RelayRides」やP2P型バイクシェアプラットフォーム「Spinlister」、アウトドア用品を対象とする「The Outdoor Exchange」、デジタルカメラを扱う「CameraLends」などが挙げられます。一般的に、“利用頻度が高くない”もしくは“曜日や時期など一定のパターンのもとで利用されるスペースや耐久消費財”は、この仕組みに適合しやすいようです。

言わずもがな、このような共同消費プラットフォームは、貸手・借手双方にメリットをもたらすもの。貸手にとっては空き資産を活用して金銭を得られ、借手は「使いたいとき、使いたい分だけお金を払って使う」という“利用”を中心とした消費スタイルを選択できます。しかし、その一方で、貸し出したスペースやモノの破損・汚れに対する補償トラブルや、実際に借りたスペースやモノがオンラインプラットフォームに記載された情報と一致しないといった詐欺リスクなど、取引にまつわるリスクもいくつか存在します。

これらのリスクを軽減するためには、オンラインプラットフォームにおいて相互の透明性や信頼性を担保する機能を実装すると同時に、貸手・借手がともにコミュニティの一員としてフェアで誠実に行動するという、いわば、“ハード”と“ソフト”の両輪が不可欠でしょう。Airbnbでは、フェイスブックのアカウントと連動させることでソーシャルメディア上の個人情報を参照できるようにしたり、借手からの部屋のレビューの投稿や貸手から借手への評価を推奨し、そのデータをプラットフォーム上で公開することでリスクヘッジをしています。

また、その対象によっては、共同消費モデルが法令に抵触するケースもあります。例えば、米ニューヨーク州では、2010年7月、「30日未満の短期間、部屋を貸し出す場合は、ホテル業の営業許可を要する」との法律を制定。独ベルリンでも、2014年から、短期間の賃貸物件に対し、行政機関への届出を義務づけています。

このような法的リスクに対しては、立法府・行政府への働きかけなど、オンラインプラットフォームの運営者が貸主・借主の法令違反を未然に防ぐ手だてを講じるのはもちろんのこと、貸主・借主も、自身の責任のもと、関連法令を正しく理解し、その遵守を徹底していかなくてはなりません。既存の法規制や業界の慣習に対して「言うべきことは言い、従うべきものには従う」ことこそ、持続可能な共同消費の実現につながると期待されます。

共同消費において、オンラインプラットフォームは手段にすぎません。言い換えれば、一定の信頼感のもとに、協力し合い、支え合う人々が集まってはじめて、共同消費という消費スタイルが実現しうるのだろうと思います。