200円で猫背が治る可能性を生み出した、デスクトップフィギュア「猫背」

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日本人にもっとも多いとされる姿勢の歪み──猫背。パソコンワークがデスクワークの多くを占め、さらにはノートパソコンやスマホ、タブレットなどの小型端末が普及した昨今、「肩や背中を小さく丸め、顔を前に突き出した姿勢がデフォ」という傾向がより極まった感があります。

見た目の貧相さのみならず、肩こりや腰痛をはじめとした体調不良にも直結する猫背。それだけに多くの方が「ニャンとかしたい」と考えているのではないでしょうか。

この対策にと、おもちゃメーカーのバンダイが「世界初、200円で猫背を正せるガシャポン玩具」としてリリースしたのが「猫背」です。こちらは、もともと猫背のネコたちを、さらに猫背にさせたコミカルなデスクトップフィギュア。エクストリームな猫背姿を客観視することで、自らの姿勢を改めよ、というわけです。

nekoze私自身もパソコンワークによる猫背で、肩こり・腰痛がひどかったんです」と話すのは「猫背」を開発した同社ベンダー事業部の高橋晋平さん。会社員であると同時に、アイデア発想についての講師としても活躍中で、著書『アイデアが枯れない頭のつくり方』(阪急コミュニケーションズ)も出版されています。

「痛みを和らげるため整体にも通ったんですが、やっぱり根本的な原因の猫背を治したかった。でも現代生活を送ると、絶対に猫背になっちゃうんですよ。パソコンないと仕事できませんし。じゃあ、どうしたらいいのか整体の先生に聞いて返ってきたのが、『ちょくちょく気をつけるしかない』というアドバイスだったんです」

猫背になるのは仕方がなく、それをなるべく正すしかない、と。

「はい。つまり『お前、今猫背になってるよ』という注意喚起が必要なんです。実際、無意識に奥歯を噛み締めてしまう『噛み締め呑気症候群』では、生活動線上のありとあらゆる場所に『歯を離す』というメモを貼る治療法が有効とされています。そこで同じようなことがおもちゃでできたら面白いな、と考えたんです」

それが4年前。当時の高橋氏はヒット作「∞(むげん)プチプチ」を手がけたプレイトイ事業部に在籍していたため、当初は「猫背人間」という玩具店や雑貨店向けのフィギュアを考えていたのだとか。

「サイズもけっこう大きくて、なんなら可動もさせますよ、というアイテムだったんですが、冷静に考えると『子どもがターゲットのおもちゃ屋で、健康を改善する大人向けフィギュアなんて売れないな』とボツに。でもそれからガシャポン事業部に異動してきた時、ここなら『猫背人間』のアイデアが活かせるかも、と思ったんです」

カプセルトイ自販機は基本的におもちゃ屋や駄菓子屋、ゲームセンターなど子どもが集まる場所に設置されるものですが、スーパーやデパート、家電量販店などでは大人の目に触れる機会もありますからね。

「そうです。さらに『歯を離す』メモと同じく、家中やデスクトップなど、目につくあらゆる場所に置いていただくためには、1個200円のミニフィギュアというパッケージがぴったり。パソコン作業に集中すると周りのものが目に入ってこなくなるので、キーボードの上とか、モニターの隅など、すき間に置ける『小ささ』が重要なんです」

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立ち猫背4種類、座り猫背4種類、さらにシークレットで猫背を克服した達人たち4種類の計12種類がラインアップ。1回200円。

普段から猫背に悩んで高いお金を払って整体などに通っている人は「200円の玩具で猫背を治すなんて無理」と思うかもしれません。しかし、実際デスクトップ周りに置いてみると、いやでも目につくため背筋を伸ばすきっかけにはなりそうです。

「おもちゃで日本人の健康を救いたい」「おもちゃのトクホを目指したい」とぶちあげる高橋氏。その理論と効果を考えると、あながち冗談ではないのかもしれませんが、「猫背」片手に熱く語る姿勢がやや“前のめり”になっていたのが少々気になるところであります。

(熊山准)