技術者の人事考課のトレンドは「職人肌」から「コラボ型」へ

collabo
先月、多くの会社で夏のボーナスが支給されました。それに際して、人事考課面談を受けた人も多かったと思いますが、その自己の評価は納得のいくものでしたでしょうか?

会社によって、ボーナスの金額だけ提示される会社もあれば、人事考課結果のフィードバックが細かく行われる会社がありますが、多くの場合、A・B・Cなどの、最終考課結果だけ提示されることが多いように思います。人事考課を受けた側から、「自分は一体何を基準に評価されているのかよく分からない」という声を聞くケースも多くあります。

読者の皆さんも、この意見に納得する人も多いのではないでしょうか。そうでなくとも「この会社にどのように貢献すれば、評価につながるのかよく分からない」と、そもそも人事考課の評価基準を疑問視する人もいると思います。

昔は、とかく技術職といえば「職人肌」で、入社したらとにかく現場に放り込まれ、あとは見よう見まねで覚えていくしかない、と、その姿勢を陰で評価するという風潮でしたが、より公明正大にデジタルに評価しようという動きに変わっていっています。

具体的に、技術力の評価は、

  • より先進的な技術を覚えようとしているか
  • 実際に覚えた技術が何か
  • 覚えた技術でどのように業務を改善したか

などがポイントになってきています。逆に、ただ技術を自分自身の頭で覚えただけで、制作物に具体的なパフォーマンスが反映されていない人については、評価されにくくなってきているのです。

 

職人気質はもう古い? コミュ力も評価の対象に 

「孤高のエンジニア(孤立主義)」「天才的技術者(個人主義)」というものは、「過去の美徳」となり、今はそれより「チームプレーが大切」との考えに変わりつつあります。例えば「自分が知っている技術をより分かりやすく周囲の人々に教えることができたか」といった、同僚や後輩への技術伝授の上手さについても人事考課の一つの評価項目に挙げられるようになってきたのです。

もちろん、技術者個人のスキルは、重要考課項目として変わりないのですが、現場状況の実態に精通した者(上司)たちの目からは、業務の性格上、コラボレーションプロジェクト(協働・共同)の質の向上が軽視できないのです。むしろ、プロジェクト環境によっては、このコラボレーション能力の高低こそがプロジェクトの成否の決め手にさえなるわけですから、重要な人事考課のポイントとなり得ることは言うまでもありません。

また、技術者同士のコラボレーションをマネジメントするプロジェクトリーダーの人材確保は、現在ますます困難を極めているようです。したがって、ここでコラボレーションマネジメントができる人材は、会社にとって重要な存在になるわけですから、人事考課でも高い評価を受けることができるでしょう。

 

まとめに

個人的成果主義よりも、組織への貢献というものが第一に掲げられている現在の人事考課トレンドで高い得点を得るには、やはり「個人の能力を全体に広めていく」「組織的マネジメントをまとめ上げていく」ことが、大切な項目となるでしょう。

「自分はまだ、組織の中でそんなレベルに至っていない」と感じている若年層の場合でも、プロジェクトリーダーを補佐する役割を担うことで、リーダーの至らないところに適切な助け船を出せたり、将来的なプロジェクトリーダー候補となることで、人事考課で高いポイントを得ることができるでしょう。

他にも、今まで軽視されてきた、あいさつ等の「服務規律・礼節」や、個人主義からの脱却を狙った「会社目標の理解」なども考課項目として挙げる会社が増えてきました。「一流のエンジニアは、顧客に対する対応・応答も一流であれ」との考え方が今の時代の風潮となってきていますので、ここを強化することも大切な要素となるわけです。

いかがでしたでしょうか。とかく「孤立主義」「個人主義」に陥りがちなエンジニアの世界も、「コラボレーション主義」「全体向上主義」に変わりつつあることが、ご理解いただければ幸いです。

(田中顕)