【IT地方の旅】地域の宝を発見!エンジニアとコミュニティーマネージャーが語る、徳島で働くメリットとは?

 

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こんにちは、IT地方の旅レポーター杉本綾弓です。最近、IT業界にも「拠点を地方に移転」とか「サテライトオフィスを地方に」といった話をよく聞きますが、実際に働く人はどのような人たちなのでしょうか? 環境の変化によって、仕事に支障はないものなのか? などなど、Iターン・Uターンに興味を持っている人の中でもさまざまな疑問を思っている人も多いのではないでしょうか。

そこで! 踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々! 今回、その実態を調査すべく、阿波踊りで有名な徳島県にやってきました。阿波踊りだけではなく、地元のNPO法人が主導となってクリエイターやIT企業を誘致する神山町は、サテライトオフィスが置かれる場所としても、最近では注目されていますよね。

今回、お会いしたのは、“徳島発!世界で1億人が使うメディア・サービスを創る会社”を謳う、株式会社GTラボ代表取締役の坂東勇気さん。そして”限界集落から未来の課題を解決する”をテーマに人口8000人の町で2013年に会社を起業した、株式会社たからのやまコミュニティーマネージャーの笹田可枝さん。お二人に徳島県におけるITエンジニアの現状とITコミュニティーについて伺いました。

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GTラボ代表取締役の坂東勇気さん

坂東さんは徳島生まれ徳島育ち。高専卒業後に就職のため上京。同郷の妻と知り合い結婚しましたが、妊娠と子育て事情を調べるうち、東京で仕事と家庭の両立は「しんどいなあ」と思って、徳島にUターンを決めたそうです。

―東京との暮らしの違いはありますか?

「東京である程度余裕を持って子育てをする場合、仮に妻が専業主婦で子どもが1人いたら、僕の年収が700万は必要です。 都内のマンションは2LDKで15万ぐらいはかかりますが、徳島は1軒家で5万8千円ぐらいです。庭も、駐車場も3台はついてきます。なんなら畑や田んぼも(笑)。徳島の場合、保育園は余裕で入ることができ、双方に稼ぐこともできる。家族の体調が悪い時、嫁と二人でデートしたいときは、子供を実家に預けることもできるので、精神的にすごく楽になりました。仕事に集中できる環境になって、東京にいた頃よりも精神的にも経済的にもゆとりのある暮らしができるようになったと思います」

―実際のところ、仕事量は減ったりしなかったのでしょうか?

僕たちの会社は、東京に本社があって、徳島へ仕事をいただいているので仕事量は減ってはいないですね。デメリットとしては多くのクライアントさんが東京なので、面と向かっての打ち合わせができないという不便さがあります。とはいえ、よっぽどの会議がない限りは、Skypeとハングアウトで、対応ができているので、そこまで多くの問題はありません。

―現状の徳島のITコミュニティー事情を教えてください。

私が徳島に戻ってきた3年前には、徳島の中で神山町だけが、既に注目されて来た頃でしたが、正直、当時のコミュニティーには、会社の人と、それ以外には2、3人のエンジニアを知る程でしたね。引きこもりぎみだったと思います(笑)。

困りもしないけれど、広がらないし、でも相談できる相手は限られていました。しかし、去年県および「たからのやま」さんにMashupAwardなどITイベントを多数開催して頂いてからは、徐々に徳島のIT業界の人たちがつながり、アメーバ状にコミュニティーが広がっていき、活性化してきたと思います。それまで、知っている人は、数人しかいませんでしたが、イベントが開催されるようになって、県内ほぼ全部の企業様を知ることが出来ました。今は徳島県内の企業同士での連携を取りながら、自分の専門外の仕事を連携したり、仕事の紹介をしあったりという動きが出てきました。

―今後の展望はありますか?

まずは、田舎でもきちんとマネタイズできるぞと、東京や世界のトレンドをどんどん取り入れ、人材も育てていきたいです。それと、徳島には、製造業をはじめ日本一の企業も数多くあるんです。そことIT組み合わせた開発ができていったら、日本はもちろん世界に通じるエリアになっていけると考えています。

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たからのやま コミュニティーマネージャーの笹田可枝さん

笹田さんは、岡山生まれ。結婚を機に徳島に移住。これまでは、子どもを育てながら、パソコン教室の先生をしていたとのこと。縁あって、現在勤務している、たからのやま社に就職することになったそうです。

―現在はどのような仕事をされていますか?

たからのやまの本社は徳島県の美波町にあります。私は、四国のITコミュニティーの動きを常に集めているため、基本的に1人で徳島市内の支店で働いています。以前は、1時間かけて車でどこかにいくなんて、めんどくさいし遠いし億劫でした。でも、今は違います。イベントがあれば四国中どこへでも飛んでいくし、人とつながって広がることが仕事になるのが、徳島ではない感覚なので、この仕事がすごく面白いです。

―どれぐらいまで、今徳島のITコミュニティーは広がってきたのでしょうか?

最初にハッカソンをしましょう、と県に言ったときに「徳島には、ハッカソンに出るようなエンジニアがいないので無理です」と、誰もが口をそろえて嘆いていましたね。でも、今では、”Mashup Hackathon”が徳島で開催されるまでに、ITの都市として成長しました。ハッカソンで知り合った人たちのつながりを可視化するために始めたFacebookのコミュニティーは150人ほどになりました。とにかく、いろいろなエリアのイベントなどに参加して、名刺交換して、Facebookでつながって、全員にイベントメールして、それを繰り返し行う、地道な活動の結果に、今の徳島のIT企業同士のコミュニティーがありますね。

―コミュニティーが広がった今、何を思いますか?

実は以前は、徳島に何の魅力も感じていなかったんです。去年、新しいものを生み出せるエンジニアさんやデザイナーさんがたくさんいると知って、初めて徳島が面白いと思えました。

Mashup Hackathonをはじめ、さまざまなイベントで、みなさん同じ徳島にいるエンジニアやデザイナーなのに「はじめまして」って挨拶をしていて、「え!知らなかったんだ!」と感じる光景が、去年は何度もありました。私自身も前に出る性格ではありませんが、勇気をだして1歩踏み出すと、いろんな人がいることが知れて、視点が変わりました。こうやって取材を受けているのも信じられないですね(笑)。だから、徳島って面白いんだよ、と今度は自分がそれを誰かに伝えたいですね。

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たからのやま社がある、美波町の様子

東京の多くの地区で問題になっている待機児童もなく、実家がある人は余裕がないときも自身の親に子どもを預けることができる。そんな、仕事に集中できる環境がある地方。移住する価値があると感じました。同時に、お二人の話の中で印象的だったのは、ローカルコミュニティーの魅力の発見です。「再発見」ではなく、発見していなかったんです。「つまらないと思っていたところが、実は面白かった」。そんなところから、人と人がつながり、仕事は生まれてくるのかもしれません。

後編では、たからのやま代表でIT業界の女帝こと奥田浩美さんと、副社長の本田正浩さんに美波町の現状と、たからのやま社の取り組みについて伺います。

(杉本綾弓)