稲作栽培支援からロッカー利用管理まで、M2Mの国内注目事例

2009 INL Wireless Test Bed

近年のテクノロジーを語る上で、最も外せないキーワードとして、「IoT」と「M2M」があります。

ITバブルと言われた1990年代末期から約20年近くを経て、世界中にITのインフラは整いつつあり、そういったなかで生まれ始めてきたのがモノのインターネット化「Internet of Things:IoT」。これを利用することで、全く新しいビジネスを起こせるのでは?という期待が寄せられ、世界中が注目している技術です。

しかしながら、理論上は理解できても身近に感じられることがまだまだ少ないこの技術。今回は、そんなギャップを埋めるべく、いままさに進められている、M2Mソリューションの企業の導入事例を5つ紹介します!

 

稲の状態・出穂期・収穫期を予測する作物の栽培支援装置「クロップ・ナビ」

アスザック株式会社

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参考:新世代M2Mコンソーシアム

クロップ・ナビ」とは、農作物の栽培支援装置です。備え付けられたセンサーで収集した情報をもとに、稲の病気の予察や出穂期・収穫期の予測する技術です。また、毎日のセンサー情報は自動的にサーバー上へアップされ、Webで閲覧できるようになっています。水田へ行かずとも情報を収集でき、なおかつ情報の展開が格段に速くなったことで、農地拡大や人件費の削減につながり、安価な国産米の流通が可能となるでしょう。TPP交渉が進められているなか、国内農業のM2M化は特に注目されるべき分野かと思います。

他にも、酪農関係では、バイセン株式会社による、牛に加速度計(3軸)をつけて牛の動きを解析し、異常行動・疾病を早期に発見するシステム「高度アニマルセンサーシステム」等があります。

 

血圧管理の電子化で、患者と医師の負担を大幅に軽減

オムロンヘルスケア株式会社

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参照:ドコモビジネスオンライン

オムロンヘルスケアの「Medical LINK」は、高血圧改善のためのネットサービス。NPO法人「高血圧改善フォーラム(略称:ハイテック)」が監修しており、これを使うと、血圧の測定データは随時サーバーへアップされ、データ閲覧は患者ごとに発行されたIDカードを、リーダーにかざすだけ。医師は、端末を操作することなく、グラフで可視化された血圧データをチェックできます。

朝晩2回の血圧検査を行い、毎日手書きで計測メモをつけていた患者の手間と、受け取った手書きの情報をデータ化する医師側の手間をまとめて低減できる仕組みです。

血圧異常の患者は高齢者に多いため、家にネット環境がないこともしばしば。従って複雑なデバイス操作も困難ですが、この端末は、全国をカバーするFOMAのモジュールを利用することで、電源に接続すれば、簡単に計測・データ化が完了します。

他にも、FOMAモジュールを利用したサービスで、帝人ファーマ株式会社の在宅医療用酸素濃縮装置のモニタリングサービスもあります。

 

東京駅で導入!ロッカー利用状況管理システムを運用

富士アイティ株式会社

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参照:NTTコミュニケーションズ・ VPN導入事例

東京の駅構内で空いているコインロッカーを探し回った経験はないでしょうか? 富士アイティ株式会社は、M2Mの一つの形態として、東京駅八重洲口の商業施設「東京駅一番街」にロッカー利用状況管理システムを提供しています。このサービスを利用することで、利用者が瞬時に駅内のコインロッカーの空き状況を瞬時に確認できるのです。このサービスはクラウドを利用し、ロッカーのセンサーから直接サーバーと同期するため、改装や工事の際にも、移設が非常に容易なのが特長です。また、利用状況のモニタリングも可能で、コインロッカーを使った犯罪の抑止力になることも期待されています。

他にも、面白い事例として、株式会社木村技研の「M2Mトイレ遠隔監視システム」があります。

監視システムといっても、文字通り「監視」するのではなく、節水管理を目的としたモニタリングと遠隔操作です。対人センサーの時間で大・小を判別して水量を調節してくれるという優れモノ。日本のトイレは世界的に見ても最先端の技術を誇っていることは周知のことですが、また一歩日本のトイレが前人未踏の未来に向けて踏み出したと言えるでしょう。

 

単身高齢者向けの安否確認ソリューション「あけしめチェッカー」

株式会社ウェアポート

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参照:SoftBank for business・M2Mソリューション事例

このサービスは単身居住者宅のトイレのドアなどに専用端末を取り付け、ドアの開閉の間隔をチェックすることで安否を確認できるシステムです。一定の時間内に開閉したデータが感知できなかった場合は、異変が発生したと判断し、メールで異変発生を通知してくれます。

通信方法はW-CDMA(3G回線)で、端末から直接サーバーに送信されます。よって、大掛かりな工事も必要なく、導入コストも抑えられるとのこと。監視カメラで見張られているという圧迫感も少ないので、ストレスもたまりにくい。まさしく三方よしなサービスです。

他にも、Soft Bankにはナビ・コミュニティ販売株式会社との太陽光発電遠隔監視ソリューション「産業用エコナビシステムモバイルパック & 3G」があります。

 

産業廃棄物の運搬業者を可視化することで、事故率の低減を実現!「デジタコ将軍」

株式会社エジソン

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参照:KDDI株式会社

株式会社エジソンは、産業廃棄物の排出事業者・管理会社・収集運搬・処理業者向けのシステムを開発・提供している会社で、会社向けの基幹業務システム「将軍シリーズ」を主力商品としています。そのシリーズの一つにあたる「デジタコ将軍」では、GPS内蔵デジタコ(デジタルタコメーター)とKDDIの通信アダプターを組み合わせ、リアルタイムな運行管理と動態管理を実現しています。記録管理により、正確なトレーサビリティの確保とともに、事故防止・省エネにも大きく貢献しています。

デジタコとは別に、ドライブレコーダーも最近市場が拡大しています。上記サービスと類似機能を備えたレコーダーも開発されているので、今後はドライブレコーダーとの連携等も考えられるでしょう。

M2MやIoTは最近になってよく聞く言葉ですが、モニタリング自体はかなり昔からあった需要で、それ相応のサービスを各社展開しています。M2Mは通信インフラの見直しだけでも、サービスの幅が格段に広がります。

 

この国内企業におけるM2Mソリューション導入事例を俯瞰すると、新しいビジネス・サービスのヒントが見つかるかもしれません。また、この分野においては、普段の生活で意識的に周りを見渡すだけでもビジネスチャンスは転がっていると言えるのではないでしょうか。

(永井良太)