大事な大事な「KPI」でも実際どうやって決めて、どう扱うの? 現場の秘訣を公開

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ライフタイムバリュー(LTV)にこだわりすぎるアプリはつまらなくなる――。GMOインターネットでスマートフォンアプリのUI/UX改善を手がける稲守貴久氏は、とかく大事と言われがちなLTVにとらわれる必要がないと語る。8月25日に開かれた、「ヒットアプリはこうして生まれる!」と銘打ったイベントでの一幕だ。

KPIは“小さく作って素早く育てる”ために欠かせない

同グループがリリースしているアプリは「Gゲー」ブランドの各種ゲーム、フリマアプリ「kiteco」からカメラアプリ「GirlsCamera」など幅広い。稲守氏は着実にヒットを生む秘訣は、サービスKPIの改善方法にあると語った。

同社の基本的な考えは「リーン・スタートアップ」。いわゆる不確実性に対して、まめに対応していく姿勢である。一生懸命作った大作アプリが失敗しました!ではなく、小さく作って素早く育てよう!という方針だ。

稲守氏はFacebookのマーク・ザッカーバーグ氏の言葉「Done is better than perfect」を引用して説明した。リーン・スタートアップを実践するためには、高速でPDCAを回さなければならない。そのためには確かなKPIが必要ということだ。

Google Analyticsは解析できることが限られている

GMOが使っているKPIツールは自社開発のものが多いという。解析ツールとして最も一般的なのはGoogle Analyticsだが、「できることが限られている」と稲守氏は指摘する。

かといって逆にツールが高度すぎてディレクターやデザイナーが触れなかったら意味がない。そういった「誰でもさまざまな条件で調査・解析できるように」というニーズを満たすために、すべての作業を自動化。結果、その分だけディレクターのが手が空き、新しいアイデアを発見できるとったメリットがあったという。

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「ライフタイムバリュー」にはこだわるな

KPIを作るために必要なのは3人だと稲守氏は言う。解析方法を考える人、アプリの中のデータベースのテーブル設計をちゃんと理解している人、そして実際にSQL文を書く人だ。「この3人がいれば何でもできると思う。逆にいうと、この3人がいないとけっこう苦しい。もう2年くらいソーシャルゲームの解析をやってきて、そう感じた」(稲守氏)。

具体的なKPI設定については、ゲームの場合「DAU」(Daily Active User)が重要な場合が多いという。最終的には売上に落ち着くが、売上を上げるためにはDAUがないといけない。ここで注意したいのは「LTV」(ライフタイムバリュー)にこだわりすぎないことだと稲守氏は指摘した。

LTVは「1人のユーザーがどれくらい長くアプリを継続して使ってくれて、お金を落としてくれるか」という指数のことだが、稲守氏はこれを気にしすぎると、「サービスとしてしょぼくなる」と切り捨てた。「LTV自体は大事だが、それを最重要KPIにしているチームは、どこかしょぼい。一番に考える項目にしてはいけない気がする」とのことだ。未来予測を元に進むよりも、不確定な状況に合わせていくのが大事だという。

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数字は「絵」にして見るべき

こうして設定したKPIを改善するためには、まずは毎日KPIを見ることが基本。そうすると、仮設が立てられるようになってくる。例えば「このサブKPIが悪いから、メインのKPIが悪いんじゃない?」といったことが頭に浮かぶようになるそうだ。そういった仮説を基にA/Bテストなどを実施する。テストは、期間で区切って実施する場合とサーバで制御する場合の2通りがあるという。例えばバナーのデザインを変えた場合、奇数台のサーバではAパターン、偶数台のサーバではBパターンみたいに変えるといった具合だ。

テスト結果は、データをグラフ化するためのJavascriptライブラリ「D3.js」でビジュアライズしてから確認するようにする。「数字のままでは絶対に見ない方がいい」と稲守氏は断言した。どんなExcelの数字でも必ずグラフ化して、直感的にわかる「絵」にしてから見ているそうだ。

集計方法はクロス集計をメインに利用。例えば来訪者を訪問回数でセグメントし、「すごく来る人」「すごく来ない人」のようにランク分けする。そうすると「ヘビーユーザーにだけは、このボタンのクリエイティブにしましょう」といったA/Bテストを実施できるようになる。「課金系のゲームだったら、LTVよりも全然こっちの方を見ています」と稲守氏。

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「エンジニア頼みのKPI取得」から脱却せよ

GMOでは、誰でも解析を行えるような社内ツールを開発したことで、アプリのリリース後に数字が悪ければ即日対応が可能になったそうだ。数字を見るために毎回エンジニアに依頼すると生産性が下がり、さらに結局、KPIも見なくなってしまう。「極力、KPIの取得は自動化できるようにする」のがコツだという。

最後に稲守氏はこうまとめた。「僕らはとにかくリリースの速度を上げたいと考えている。素早くリリースし、外的要因をひとつひとつ潰していきたい。なのでこのようにKPIを見て、PDCAを早く回すようにしている」。