ベータテスターを伝道師にせよ! アプリストアで良いレビューをもらうための単純な方法

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アプリのファンを増やし、利用者と良好な関係を築くにはどうすればいいのだろうか。ミクシィのアプリ開発者向けサービス「DeployGate」を担当する藤﨑友樹氏が、「ヒットアプリはこうして生まれる!」というイベントで上記のような課題について講演した。

まず藤崎氏はヒットアプリが生まれるために必要な条件について、「利用者の需要をしっかりとつかんでいること」だと述べた。「とにかく、利用者が求めているものを、適切なタイミングで適切な形で提供することが、ヒットアプリの最も基本的で根本にある」という。

開発者だってレビューに傷つく、にんげんだもの

アプリには開発者と利用者がいる。開発者は利用者が求めているものを見極め、それを満たすものを作る。利用者は何らかのフィードバックを開発者に返す。それは課金という形だったり、レビューだったり、あるいは利用したことで残るログだったりする。

こうした基本的なフィードバックのサイクルがどれだけスムーズに回るかが、アプリのヒットに深く関わってくると藤崎氏は言う。「開発者も人間です。レビューに悲しい言葉が並んでしまうと、例えば最初から『クズ』みたいなことを書かれてしまうと、すごく心に負担がかかる。立ち直るまでに時間がかかってしまいます」(藤崎氏)

建設的なフィードバックを得ながらモチベーションを高く維持したままアプリを作っていける環境が理想であるという。そんな藤崎氏が、ある個人開発者に出会った話を紹介していたのがとても興味深かった。

1日で240もの高評価レビューがついたアプリの秘密

その開発者が作ったアプリは、リリース翌日に早くも240のレビューがつき、平均☆4.9という高評価だったそうだ。1日で240ものレビューは、普通にリリースされただけではなかなか集まらない。しかも海外からのレビューが多くの割合を占めていたことに驚かされたという。

藤崎氏がその理由について聞いたところ、レビューの誘導はやっていないとの回答だった。そのアプリは現在もレビュー平均4.7で、ダウンロードしている人の10%が評価をつけていたそうだ。

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そのアプリは何かというと、「ミクチャ」というアプリ。“ソラスナ”という開発者が作ったものだ。なんだ、キャラクターものじゃないかと言ってしまえばそこで思考停止だ。良いフィードバックがまわるには必ず理由がある、と藤崎氏は話す。

このアプリは「初音ミク」という競合の多いカテゴリの中で、かなり高い位置をキープし続けている。しかもそのために何か特別なブースト施策をしたわけではないという。このアプリがやったことはただ1つ、開発中からフィードバックを得て、改善を繰り返してきたことだ。

「開発者は利用者が求めているものを見極め、それを満たすものを作る。利用者は何らかのフィードバックを開発者に返す」。冒頭で説明した基本のフィードバックサイクルを、リリース前からひたすら回し続けていた。それだけなのだという。

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ユーザーを巻き込んで開発する

実際には次のような流れだった。

今年の4月下旬、Twitter上でクローズドなアルファテストを始めた。いきなり遠くまで投げず、自分のフォロワーや、あるいは初音ミクのファンなど近い関係からスタートしたという。ベータテストを始めて、徐々にオープンにしていき、最終的には3200人が集まったそうだ。この段階で、すでに海外からのフィードバックが集まり始め、その結果、熱量の高いユーザー層をリリース以前に獲得することに成功した。

「ユーザーを輪の中に入れて開発するのって、コスト高いんじゃないかなと感じられると思うんですけど、実際これで何をやっているかというと、テストマーケットと実ユーザーテストとファンをこえたエバンジェリスト醸成というのを同時にやっています」。このように藤崎氏は解説した。

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ベータテストの段階で情報をひたすら共有し続けたことで、結果として共感を得て、そして顧客がいることもわかった。ターゲットとなる顧客層と、彼らが求めているものに関した建設的なやり取りができた。それがレビューで高評価の秘密だ。

リリースする前から人の目に触れることの利点は当然、リリースしないとわからなかったことが、その前からわかることだ。例えばミクチャの場合、海外ユーザーが多くなることは開発を始めた段階ではまったく考えていなかったという。ベータテストのおかげで急遽多言語対応したり、海外の端末での動作確認などができたわけだ。

テスターはリリース後「エバンジェリスト」になる

こうしたテスターたちはアプリの「エバンジェリスト」になってくれる。藤崎氏は「アプリを使ってみて良い体験すると、そのアプリを広めることに協力したいという人たちが現れます。実際に自分たちが体験したことを他の人に共有したりしてくれる」と話す。

その役割は現状の仕組みではアプリストアのレビューが担っている。レビューでどういったことができるアプリで、どこが良かったのかを利用者目線でちゃんと書いてもらうことが大事だが、ミクチャはベータテストをやっている時点で良質なレビューが期待できたのだという。

「潜在顧客を見つけて、リーチして、利用者の需要しっかりつかんでフィードバックサイクルを伸ばす。これを、どんな形でやるのが一番楽で、コストをかけずにできるのか、実は昔から考えていて、それを簡単に実行する仕組みを形にしたのが『DeployGate』というサービスです」。

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DeployGateは開発途中のアプリを、アプリストアを経由せずにテストしてもらうためのサービス。従来、リリースされていないアプリを試すには煩雑な手続きが必要だった。そういった手間をなくすことを目的として、ミクシィの開発の現場から生まれたそうだ。同社は現在、「モンスターストライク」というゲームが大ヒットしているが、そのモンストの開発においても大活躍しているとのこと。

「モンストのチームでは、関わる人全員が常に最新のバージョンに触れられる環境になっています。そのためリリースするタイミングでは、ほぼバグがない状態でリリースができています」(藤崎氏)

DeployGateは当初、Androidのみ対応していたが、現在ではiOSにも対応。ベータ機能として提供されている。

※HRナビ編集部注
同イベントではこのほか、グノシーとGMOインターネットも「ヒットアプリの作り方」に関する講演を行っている。
グノシーの記事:最初は失敗だったテレビCM–グノシーのCOOが語るマーケ戦略とは
GMOの記事:大事な大事な「KPI」でも実際どうやって決めて、どう扱うの? 現場の秘訣を公開