「スキルアップのためにノイズになる」Showcase Gig的エンジニアの育て方と必読書

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新田剛史氏(写真左)
2009年ミクシィ社にてソーシャルマーケティング部門の責任者を務め、NIKEiDとコラボしたソーシャルバナーキャンペーン「NIKEiD FRIEND STUDIO」や、クリスマスシーズンの1か月間で約300万人が参加したイベント「mixi Xmas」など、数々のヒットコンテンツを生み出す。2012年、株式会社ShowcaseGig設立。

石亀憲氏(写真右)
Showcase Gig開発部門責任者。24歳の時にWebシステム開発会社を起ち上げる。当時ガラケー公式サイト全盛の頃から一貫してモバイルに携わり、現在はスマートフォンアプリの開発がメイン。アプリは触り心地がモットー。

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ソーシャルを知り尽くした男たちが挑む“リアル消費”

「スマートフォンアプリなどの普及によって、オンライン決済でリアル店舗の商品を購入する“波”が来ると確信はしていました」と話すのはShowcaseGig代表の新田剛史さん。

かつてミクシィでソーシャルマーケティングを担当していた実績や知見から、O2Oの未来に期待を抱いた新田さん。エンジニアである石亀憲さんに声を掛け、2012年に株式会社ShowcaseGigを設立しました。今回はそんなお2人に、今の事業とエンジニアに求める資質、そしてエンジニアが読むべき必読書について、お話を聞いてみました。

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1日1万以上のフィードを眺める ShowcaseGig的エンジニアスキルアップ術

――ShowcaseGigのエンジニアに求められるサービス開発のスキルとは?

石亀氏:基本の開発チームの最小構成としては、一つのサービスにつきサーバーサイドエンジニア2名、iOSとAndroidで各1名のフロントサイドのアプリ開発エンジニアで一つのチームを構成しています。

僕たちの会社がエンジニアに求めるのは真面目さですね。アプリはロジックとUIが密接に絡んでくるので、押したときの気持ちよさなどは、何度もやり直さないと良いものはできにくい。真面目で熱意がないと、そこが苦痛になってしまうし、その妥協がプロダクトに現われてしまうんですよ。

――エンジニアにコードを書く以外のスキルも求めていますか?

石亀氏:そこはオプションで持っていてくれるといいなと思っています。

基本的に開発に集中してもらっているのですが、思った意見やアイデアを言うのは全然自由で、その意見に対してはみんなで真剣に検討しますね。

頻度でいうとディレクターやプロデューサーに比べたら少ないけど、声が上がれば、同じ事象の大きさとして扱うようにしています。

読むべきスライドシェアや、次来そうなトレンドの流れを社員に共有

――社内のエンジニアのスキルアップのために、工夫していることはありますか?

石亀氏:僕が気になった記事とかスライドシェアは、EvernoteやSkypeのチャットで共有するようにしています。日に1万〜2万のフィードを眺めると、大事なことは何回も出てくるので、「次に何が来そうか」みたいなものがちょっとずつ分かってくる。

それをエンジニアにも伝えて「こういう面白いのがあって、次やってみたいから勉強しておいてね」と刺激を与える。うるさいと思われているかもしれないけど、ノイズになるようにわざとやっています(笑)。

――今、注目しているのは?

石亀氏:去年からDockerに注目していて、ちょうど、新しいプロジェクトからDockerを使い始めています。枯れて安定感のある技術を使わない勇気もいるし、最初の学習コストって本当に難しくて高いんですけど…。

今のうちからやっておけば、エンジニア自身のキャリアとしても有益だし、会社としても効率的に開発できる環境を作れると思うので、そういうところを目指しています。

――最先端の技術を追っていたら、本はあまり読みませんか?

石亀氏:普段はフローで情報収集をしていますけど、引っかかったものを深堀するには、やっぱり本は読みますね。

メンバーには、いかに素早く質の良いものを作るかというところに注力してもらっているので、一応「これ読んでほしい」って渡すんですけど、おかしなところがあれば僕が教えてあげる、みたいなスタンスでやっています。

実装するのが専門になる人もいれば、僕みたいにエンジニア目線で仕組みを考える人もいるので、極めていってもらえるように、邪魔はしないようにしたいと思っています。

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ShowcaseGigの新田さんと石亀さんが選ぶオススメの3冊

『Hooked ハマるしかけ使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール』ニール・イヤール (著), ライアン・フーバー (著)

プロダクトを日常的に使ってもらう方法をディレクターは日々考えています。技術的な視点から、この本にある課題はどうやったら解決できるかを考えながら読むことで、今後ディレクターの本当にやりたいことがより実践的にイメージできるようになると思います。

『起業のエクイティ・ファイナンス—経済革命のための株式と契約』磯崎哲也 (著)

起業するために絶対必要なお金の知識がきちんと書かれています。何年後に会社をどのくらいの規模にするかという設計や、じゃあ今の段階から逆算すると、どのくらいの期間でどんなことを目標にしないといけないか、というプロセスを検討する上で参考になりました。 新著も最近出ましたが、影響を受けたという点でこの最初の版を紹介しています。

『Yコンビネーターシリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール』ランダル・ストロス (著)

言わずと知れたスタートアップ養成所の内幕が書かれた本です。創設者のポール・グレアムは退任してしまいましたが、やはりシリコンバレーでの存在感は絶大。起業した後に読みましたが、プロダクトやビジネスの立ち上げ期の考え方は、やはり素晴らしいと感じました。

 

――最後に読者へのメッセージをお願いします。

新田氏:“リアル消費”の醍醐味は、日常の消費領域を変えられるところ。

インターネットの力は間違いなく伸びていますが、月間で、のべ数億人の来客・購買数があるコンビニエンスストアや大手小売業というのは、消費のパワーという点でやはり次元が違います。

その中にオンラインのサービスを入れていくというのは、破壊的なポテンシャルが魅力である一方で、本当に難しいことです。O2Oビジネスだけで成り立っている企業って、まだ国内に存在しないと思っています。

“リアル消費のオンライン化”はあまりにスケールが大きい問題。ネットサービスだけで考えるのではほとんど意味をなさなくて、ゼネコンが建造物を作る、行政が都市計画を作るのと同じレベルのスコープで考える必要があると思っていて、我々もそのフィールドにおいては駆け出しのひよっこです。未来の可能性を見つめて、いっしょに挑戦していけるような人を、常に探しています。

(野本纏花)