【IT美人図鑑Vol.3】「広報力とは営業力だ!」 数値目標を設定しにくい広報のKPIとは? アドウェイズ遠藤由貴さん

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遠藤由貴さん
山梨県出身。実践女子大学卒業後、2009年新卒で株式会社アドウェイズに入社。新規メディア開拓営業を1年間行った後、女性向けメディアの専任となり、広告枠の営業や特集の企画、バズマーケティング事業に従事する。2012年4月から営業と兼務しながらメディア対応やリリース作成を手掛け、2012年10月から現職になる。広報の責任者を務め、新卒採用も兼務する。

 

IT業界の中で燦然と輝く女性をひたすらインタビューする企画「IT美人図鑑」。今回は「アドウェイズ」で広報を担当する遠藤由貴さんにお話を伺いました。

2006年に26歳と2カ月という若さで当時の最年少上場記録を打ち立てた代表・岡村陽久氏率いるアドウェイズ。 アフィリエイト(成功報酬型)広告事業を中心とした事業を行なうアドウェイズは、社員が100人前後であった2007年に、国内・海外合わせて150人を採用するなど、大胆な舵取りで社員1000人以上の規模へ急成長を遂げた会社としても知られています。

今や1000人規模の会社であるアドウェイズの広報担当は遠藤さん1人。先日行なわれたゲームショウで話題になったブース設計などを始めとした広報活動のすべてを取り仕切る遠藤さんの、仕事への思いとは?

東京ゲームショウ2014のブースに込めた広報ならではの企み

杉本:はじめまして。今日はよろしくお願いします。

遠藤:はじめまして、よろしくお願いします!

杉本:個人的な印象で、アドウェイズといえば、9月に行われた「東京ゲームショウ2014」でのイメージが、すごく強いんです。ゲームショウと言えば、通常各企業ブースにコンパニオンをマスコット的に配置するものですが、アドウェイズのブースでは遠藤さんを始め、社員さんが衣装を着て宣伝していましたね! 一部ネットでもコンパニオンさんと同列で取り上げられていましたが、あのブースは女性の私から見ても華やかで、周囲のブースと違う活気がありました!

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遠藤:ありがとうございます! 実は、コスチュームも含めて、私が企画戦略を立案したんですよ(笑)。うちわやチラシを配布していたスタッフは、営業担当の女子を配置しました。あのコスチュームですから、サービスの質問をしたら担当者を呼ぶコンパニオンだと思いますよね。ところが、その場ですぐにサービスの話がスムーズに始まって、驚くわけです。「え? コンパニオンさんじゃないの?」と。そのまま話も弾んで、見込み顧客の名刺を獲得できる…というストーリーを提案しました。

杉本:すごい企画力ですね! ゲームショウといえば、コンパニオンという会社も多い中、そんな作戦があったとは…。このオフィスの入り口にもあった、「あ」の提灯も、一度見たら忘れないアイコンですよね。

遠藤:会場にも飾った提灯の「あ」には3つの意味が込められています。1つは、アドウェイズの「あ」。2つには、「あっと驚く」といったときの、感嘆詞としての「あ」。もう1つは、現在のオフィスへの移転は、8年ぶりの移転になるんですが、五十音の最初の文字である「あ」のように、「ここからスタート」という意味もあるんです。 ゲームショウでは2つ目の「あ」を意識して、先の企画を練ったんです。結果、杉本さんにも驚いてもらえたみたいで(笑)。うれしいです。

杉本:あのショートパンツには、抵抗もあったんじゃないですか? かわいいけれど…!

遠藤:これ、女子社員を説得するのが難しかったんですよね。現在、弊社は世界10ヶ国で事業を展開しているので、ゲームショウにいらっしゃる海外のお客さま向けに「誇張した日本」を演出したかったんです。それで、コスチュームにカラフルな法被にショートパンツだとさらにかわいいじゃないですか!…と、プレゼン資料を作って社内の女子社員に向けて提案したんです。 141104_endo_sub2_580

実際に社内でプレゼンした資料の1スライド

杉本:すごく、用意周到ですね…。

遠藤:決裁者である役員のOKをもらうのも目的ではあるんですが、この場合ではブースに出てもらう営業職や、関係する社内の人たちに「なぜこれを行うのか、その目的は何か」を共有して納得してもらうよう心掛けました。

杉本:広報が社内でプレゼンですか。どんな点を特に意識されましたか?

遠藤:中途採用で突然このプロジェクトに関わった方もいますし、本来の業務ではないことをお願いするので、理由や目的は丁寧に理解してもらう必要があると考えました。そこを明確にしないことには始まりませんから、「開催前に準備する項目」「目標設定」「ブランディングとの関係性」「海外の見込み客獲得」といったところから、「獲得した名刺の分類方法」「当日の役割分担」など、当日の各担当者の動きやタスクも可視化して、とにかく誰一人として現場でやることがわからないことがないよう意識しました。

杉本:なるほど。スムーズな接客は、そこに理由があったんですね。広報のお仕事って、一般的には華やかなイメージがありますけれど、今のお話を聞いていると、遠藤さんの場合は「縁の下の力持ち」も同時にこなしているように感じます。

遠藤:そうですね、社員のモチベーションが元となってサービスが開発されるのと同様に、売るものがあって初めて、広報が必要になりますから、主役であるサービスや社員・会社を引き立てるのが仕事だと思います。社員自らに「このサービスを発信したい、届けたい」と思うようになってもらい、そのときに「これを広く知ってもらいたんだけど、どうすればいい?」と、頼ってもらえるような立場として、社内では私自身をPRしています。 141104_endo_sub3_580

「アドウェイズは、全然大きくない」

杉本:遠藤さんは元々営業出身と伺ったのですが、営業から広報へのキャリアパスは、業界的にも珍しいように思います。現在のポジションに就かれるまでの経緯を教えてください。

遠藤:私は2009年に新卒で入社し、企画営業の部署に配属され、4年間営業をしていました。手を挙げると、何でも挑戦させてくれる環境に充実感を感じていて、「アドウェイズをより世の中に知ってもらえたら、みんながさらに胸をはって仕事ができるのでは?」 と思い、社内で「広報をやりたい!」と言いまわっていたところ、社長と採用・広報の執行役員である松嶋に急に呼び出されたんですよ(笑)。そこから営業との兼務で1年間広報をやらせてもらい、現在は、広報PRユニットに所属して新卒採用も担当しています。

杉本:営業配属時は、どのようなお仕事をされていましたか?

遠藤:主に女性をターゲットにした健康食品・美容などのクライアントやメディアを担当していました。成果報酬型の広告なので、予算が少ない地方のお客さまも多かったですね。例えば、小豆島のオリーブオイルを元にした化粧品だったり、静岡のダイエットに効くお茶ですとか。

杉本:営業時代、印象的だったエピソードはありますか?

遠藤:名古屋の、健康食品のクライアントを担当していたときですね。1年間で数百万しかなかった売り上げが、億単位に成長した経験がありました。今では、山手線に広告を出すぐらいの企業になって。予算規模の小さなお客さまとのお仕事は一緒に成長できて、その後もコンサルティングとしてずっとお付き合いできることを肌で体感できたので、本当にうれしかったです。

杉本:すごい成果ですね! 「一緒に考える」「リソースを取りにいくのではなくて、ないものを生み出す」というのは、まさにベンチャー精神ですね。先ほどのゲームショウのプレゼンも、そのときの経験が生きているんですね。人に知らせるだけではなく、人を巻き込む営業力というか。

遠藤:本当の商品の価値をエンドユーザーにわかっていただけるような取り組みをしないと売れないんですよね。ネームバリューがないから。それは、今のアドウェイズも同じです。もっとグローバルで、社員規模が多いところはたくさんありますからね。アドウェイズも現状で満足していちゃ、これからが伸びないです!

杉本:これだけ立派なオフィスを構えても…!?

遠藤:アドウェイズは、全然大きくないです。最近自分たち自身に対して、ちょっと勘違いしている部分もあるかもしれないなと思っていて…。広くて豪華な場所で働いていて、社員もある程度増えてきて、大企業になった気持ちになっている部分があるんじゃないか、と。ずっと、私たちは、ベンチャー精神を持ち続けたいんです。だから、「教育しないことが教育です」と言っていますし、「自ら学び取って自らやれ!」という意識は、規模が大きくなっても、現場は持ち続けています。

杉本:ずっと営業畑で結果を出してこられた遠藤さんにとって、営業力とは何ですか?

遠藤:クライアントの話を聞くこと。相手の立場に立って、対話すること。そして目的を共通化させていくことですかね。肩書きを介した関係性を持つだけではなく、人と人としてつながることが営業力だと思います。例えば、会社であれば「○○のアドウェイズ」という肩書きで認知されていたとしても、提供するものはすぐに変化します。だとすれば、揺るがない根幹は「人」じゃないかって。アドウェイズの事業が変わっても、「人」は変わりませんからね。

1000人の社員全員が広報意識を持って広報マンになる

杉本:「人」は変わらない…そうですよね。企業の価値は「人」で決まりますよね。人つながりでお聞きすると、遠藤さんはアドウェイズの社員が1000人を数える中で唯一の広報だとか。

遠藤:はい、そうです! 社内外の広報は基本的にすべて行っています。例えば、ゲームショウなどのコンテンツの企画もそうですし、社外に向けた株主総会の資料作りに携わったり、プレスリリースもすべて作成しています。実は前任の広報だった女性は、入社時に私を面接してくれた方で、とても憧れている女性でした。いつか同じステージに立ちたいと思っていたので、未熟ながら自分がそのポジションに立てているので、頑張らなくてはと思えますね。

杉本:入社のときに憧れていたステージに立てるなんて、本当にすごいことだと思います。今は遠藤さん自身が伝える側になっていますが、1人はさすがに大変じゃないですか?

遠藤:期待をもたれていることを感じるからこそ、俄然やる気が出ます! 広報担当としては1人ですが、もちろん1人でやっているわけではないんですよ。広報の一番大切なことは社内広報だと思っています。社員のモチベーションを高めること、そして広報活動の目的を理解してもらうこと。それを通じて、社内の1 人1人に広報に対するモチベーションが生まれたら、自分で発信をしてくれるようになります。

杉本:社員が自社ブログを使って個人で発信するようなサイバーエージェントさんもそうですが、1人1人が会社のPRができるシステムができると本当に強いですよね。

遠藤:ただ、基本的に営業の会社なんで、まだまだ広報文化は根付いていないんです(笑)。「PRのためにイベントに出たい」と提案したら、「いくらの費用がかかり、どのくらいの利益が出て、ペイできるの?」 という話になるので。 広報としての提案を通すために、例えば「イベントをして、ユーザーの母数を集めて、自社セミナーに集客して、そこから購買につなげる。その道筋の中で、今は集客面を強化する必要があるから、広報が必要です」とストーリーを立てた上で提案しますね。営業畑で地をはいつくばって生きてきた(笑)経験があるからこそ、数字第一の営業の気持ちがわかりますし、彼らにもわかってもらうためにはどうすればいいかを常に考えています。

杉本:営業力と広報力が繋がる瞬間ですね。

遠藤:具体的な売上数字が見えないのが広報活動なので、立証は難しいのですが、長期的な戦略として、認知向上・ブランディング・組織の意識の底上げにつながること。組織が成長しているこれからのアドウェイズ には必須なことを社長・役員にひたすら言い続けましたね。…白い目をされたり、怒られたこともありましたが(笑)。結果として会社のため・みんなのためになるのであれば、諦めたらダメで、誠実に伝えなくてはいけない。その意識が原動力ですね。

杉本:かっこいい…!「みんなのため」はキーワードですね。遠藤さんの考えでは、広報は「誰のため」のものなんでしょうか?

遠藤:企業の広報活動は、社員のためにあるものだと考えています。だから、みんなが自信を持って開発をして、営業できるような環境を作ることが大切です。

杉本:営業・広報と走り続けてきた遠藤さんが考える、広報におけるKPIは何でしょうか? 例えば、アドウェイズを知ってもらうこと。ファンを増やすこと。各部門の粗利を達成すること。露出の広告費換算…などなど、いろいろ挙げられるとは思いますが…。

遠藤:私の思う広報のKPI、「社員全員が広報意識を持って広報マンになれているか」という点ですかね。社員が新しいサービスをやるときに、もっと注目されるようなアクションを1人1人がすることが広報力だと思います!

杉本:営業出身だからこその思いですね。最後に、遠藤さん自身のこれからのビジョンを教えてください。

遠藤:人生は1度きりだから「週5回は泣く泣く仕事をして、週2の休日のために働く」のは嫌なんです。24時間、365日を全部楽しく生きたいから、1日1日できることをやろうと思っています。新卒のときにできなかったことが、2年後に、ふと聞かれたら10個以上アイディアが浮かぶことがありました。「これが成長ということか!」と感じて、仕事に手ごたえを感じられました。そのときの気持ちを忘れずに毎日、できることをやっていきたいです。 141104_endo_sub4_580

(杉本綾弓)