DeNAが「社員紹介採用」にこだわる意外な理由

株式会社LiBが女性向け会員制転職サイト「LiBz CAREER」を正式オープンした。「モバイルリクルーティング」をコンセプトに、スマートフォンに特化したメッセンジャー機能などで企業と求職者をつなぐという。

記者発表会ではLiBの松本洋介社長が、リクルートエグゼクティブエージェントでエグゼクティブコンサルタントを務める森本千賀子さん、DeNAでキャリア採用を担当する大月英照さんがパネルディスカッションに登壇した。

テーマは「優秀人材・即戦力人材の採用手法とノウハウ」というもの。転職エージェントのトップコンサルタントと、成長企業の採用担当という立場からの言葉は非常に興味深い。以下にその内容をまとめる。

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役職や報酬から、世の中への貢献感へ

いまトップクラスの人材は何を求めているのだろうか。松本さんの質問に対して、「2011年の震災で変わってきた」と森本さんは答えた。

震災以降はいかに企業に貢献できるか、自分が必要とされているか、といった点にこだわる人が増えてきたのだという。そのため転職エージェントとしても「本当にいま会社の中で何に困っている」「どういう課題があって今回の採用を実施しているのか」などを丸裸状態に開示もらえるよう企業にお願いしているそうだ。

震災前はわかりやすい肩書や役職、報酬で転職を決める人が多かったが、いまはやり甲斐や貢献感に移ってきたという。「どちらかと言うと“火中の栗を拾いに行く”といいますか、より難易度の高い課題を設定されていらっしゃる企業に、ぜひ自分としてはやりたいんだ、行きたいんだというような優秀層が多いなと実感しています」と森本さんは話す。

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つまりトップクラスの人材は、条件だけでは動かなくなってきているということだ。

さらに「経営とか採用の意思決定者になる人の動きが重要です」と森本さん。ベンチャー企業の場合は社長となるが、そういう立場の人から直接メッセージを伝えることで好転した例が実際にあったそうだ。

「つい先日も、本当にどんでん返しのように、我々の予測ではおそらく辞退されるんじゃないかなと思うようなシーンがあったのですが、最終的に響いたのは社長からの手紙だったんですよ。本当に自分のメッセージを手紙に書いていただいて、それで渡してほしいと。意外とそれが響くこともあります」(森本さん)

DeNAにタレントが集まる理由

DeNAの場合は採用担当者の教育を心掛けている。大月さんによれば、採用担当者は経営層と膝を突き合わせて組織図を考えるという作業に日頃から取り組んでいるそうだ。座席も経営のボードメンバーの近くに採用チームがおり、週に何度も役員と打ち合わせをするという機会があるという。結果的にボードメンバーの話を求職者にそのまま伝えることができるのが良い方向に作用している。

また採用チームの人数について「わざと多くしている部分もある」と大月さん。採用を大切にしている企業文化のため、「同じ規模の会社に比べると倍くらいの人数はいると思います」と話した。

採用の手法としては「社員紹介」の割合がかなり多いという。

「我々はよく“中間層”というふうに勝手に呼んでいるんですけれども、転職する気が無いと思っている人が潜在層で、転職する気が顕在層。そこまで転職する気がないけれどイベントがあったら行こうかなくらいの方って結構世の中的に多いと思っています」

社員紹介が会社の再評価につながる

その中間層は社員の紹介がデータベースになる。そのため社員から問い合わせがあったときには積極的に接触の機会を持つようにしているそうだ。

「意外と泥臭い事が多いです。一緒に食事に行ったり、昼休みに近くまでランチに行ったりしています。これが普段の生活の中に入ってきているので、特に忙しいという感じではなくて、息を吸って吐いている、みたいに自然に行われています」(大月さん)

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あとは社員自身も人の紹介や採用に関わると、会社についてもう一回見つめ直してみたり、自分の会社を見つめ直して他と比べたりして、「やっぱりここが良いから自分は入ったんだな」と思うことが多いのだという。

大月さんは「人に説明しながら思い直して帰ってきたりする。リテンションにも繋がっている」と話した。

女性が転職において大事にしていること

特に女性の採用活動において成功している組織やチームは、どのようなことに気をつけているのだろうか。

森本さんは「女性は“何をするか”も大事なんですが、“誰とするか”みたいなことが大事なものです」と指摘した。そのため面接官のアサインなども、かなり戦略的に行った方がいいという。

「またプロセスも大事で、例えば次のステップに進んでいただけることを伝えるにしても、“自分がどういうふうに評価されたのか?”みたいなことがしっかりと腑に落ちないと、なかなか次に一歩進めないみたいなところがあります」

その辺りは面接官と人事で話しておいたり、エージェントにも共有しておいた方がいい。フィードバックを徹底することが求められるのだという。

「自分にどれだけ時間とエネルギーを注いでくれたか」実感したい

さらに女性の場合、内定後も「最終的には意気に感じるか、志みたいなことにいかに共感できるか」が大事なのだという。自分にどれだけ時間とエネルギーを注いでくれたかーー。これを実感してもらえるようにしっかりと示す必要があると指摘した。

それは社内のマネジメントや異動でも同じである。

「『課長になってくれ』と言う時も、たぶん男性の皆さんは、語弊があるかも知れませんが、何の理由も聞かず、『よし、やった』みたいなところがあると思うんですね。出世した、みたいな。でも女性はやっぱり自分のどこが評価されたとか、どこに期待されてそういったアサインメントになったのかというところの背景がないと、一歩踏み込めないところがあります」(森本さん)

給与よりも最新テクノロジー?

大月さんには優秀なエンジニアを集めるにはどうしたらいいかを聞いた。

「まず給与が良いとかいろいろあると思いますが、やっぱり最新のテクノロジーを使いたいとか、自分の携わったサービスのユーザーの顔が見えるとか、そのへんを大事にするのは昔からある話で、今も変わっていないと思います」(大月さん)

そのため、DeNAでは社内で新しい技術の勉強会を積極的に開催し、ゲストを招いた講演などにも会社として取り組んでいるという。そんなイベントが月に6〜8件くらいある。19時くらいから飲食付きで講演を聞いて、その後に意見交換をしたりする。それによってサービスが良くなったりすることが実際にあるそうだ。そうした取り組みが社外に伝わり、採用におけるブランディングにつながっているという。

また「サービスマインド」というものを重視しており、技術力の高さだけではなく、サービスとしてのアウトプットにこだわる姿勢も忘れないようにしている。

「実は技術的に凄く高い人だけ集まっていると思われがちですが、それよりもサービスマインドが大事です。研究者ではなくてサービスを作るためのエンジニアなので、社内のキャリアもマネージャーになったら出世とかではなくて、どのジャンルでも良いから4つくらいのジャンルで能力を伸ばしていく。そうしてアビリティが伸びていくと昇給するとか、そういった形をとっているのがユニークだと思います」(大月さん)