あなたが良き“育ボス”なら、「安心」といっしょに「挑戦」も与えよう

女性向け会員制転職サイト「LiBz CAREER」の松本洋介社長が、ユナイテッドアローズ執行役員の山崎万里子さん、日経DUAL編集長の羽生祥子さんに、企業で女性が活躍するために必要なことを聞きました。

山崎さんは96年にユナイテッドアローズ入社、2010年より執行役員に就任。羽生さんは海外ニートや日経マネー副編集長などを経て、2013年から日経DUAL編集長となった二児の母でもあります。それだけにかなり現場を知り尽くしたリアルな回答が寄せられました。

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松本:1つ目の質問。女性が組織でいきいきと働く続ける、活躍し続けるためのコツとはなんでしょう?

山崎:私は22年同じ会社にいますので、一通り組織や人と衝突するとか、上司ともめるとか、新しい仕事にチャレンジして失敗するとか、あとは理不尽な処遇で苦い思いをするとか、社会人をやっていたら絶対感じるだろうなと思うようなことを一通り会社の中で経験して参りました。

そうした中で、成長の踊り場みたいなところに自分が立った時に、なんでいま私は足踏みしなきゃいけないんだろう? この状況から私が学ばなきゃいけないことってなんなんだろう? 乗り越えなきゃいけない壁ってなんなんだろう? といつも考えていました。私の場合は、自分が乗り越えなきゃいけなかった壁のまず1つは「プライド」です。自分ができるという思い込みです。自分は一人前だと思っていても、会社は私を半人前として見るという。そこのギャップに悩んでいたことがありました。

優秀な女性ほど、一歩引いて状況を俯瞰すべき

11004002_10205863130398015_2063695781_nn山崎:そういった壁の種類というのは人によってさまざまだし、男女でも違うと思います。何か目の前に大きな問題とか壁が立ちはだかった時の対処の仕方が、男性と女性ではちょっと違うなと私は思ってます。

優秀な女性ほどすごく真面目で、正義感が強くて、責任感が強いと思うんです。それは素晴らしいところだと思います。でも、それが故に、そうした資質を持っているために、問題が目の前に来た時に、「問題だ問題だ」って、どんどん壁の方に近寄っていっちゃって、気がついたら何が問題なのかが見えなくなっている。そういう状況に陥っている人をよく見ますし、私もそういう経験をしました。

実際に問題を解決する時に必要なことって、これは男性の方が得意だと思うんですけれども、上から俯瞰してみるとか、一歩引いてみるとか、自分の意見じゃない第三者の意見を聞くとか、“引く力”なんですよね。

それは女性はあまり得意じゃないなと思っているので、私が思うのは、男女の性質の違いを自己認識して、自分に不足するスキルを鍛えて補っていくこと。

それによって目の前に立ちはだかってくる問題みたいなものにしなやかに対処できるんじゃないかなと思っています。それが女性がいきいきと働くコツなんじゃないかなと。

良い“育ボス”は安心と挑戦の両方を与える

羽生:あと女性がイキイキとし続けられるかどうかは、そこのボスにもよりますよね。いまで言うところの「育ボス」という言葉があるんですけれども、育ボスというのは社会を育むボスだったり、子供を育てている社員を育むボスということです。

育ボスか、自分の上司が残念ながら駄目ボスか(笑)それにかかってると思いますよ。簡単なんですよね。山崎さんがおっしゃったように女性は真面目で資質は高いので、どうやってスイッチをオンするか、鼓舞するかっていうことだと思うんです。

経営者とか人事の方向けにお伝えしたいのはやっぱり、「安心」と「挑戦」だと思っています。だいたい「女性には安心だけ与えてれば良いんだろう?」って勘違いされがちなんけど、けっこうみんな皆の我が強いというか(笑) 負けず嫌いなので、安心を5与えたら、チャレンジも5与えた方がいいです

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日経DUAL編集部は全員がワケあり社員!?

羽生:私もいまマネージャーで、子供も2人いまして、DUAL編集部はメンバー全員が子育て中です。同時に介護をやってる人もいるし、子どもは0歳から4歳までとか、全員“ワケあり社員”なんですよ。24時間働けるなんて、そんなシンプルな社員なんていないんです。何かしら抱えている人たちでやっている。

そういった中で、「挑戦」と「安心」という2つをあげたいなと思っています。安心というのは「大丈夫だよ」という言葉。「別に子供を産んでもあなたの能力が2分の1になるわけじゃないし、わかっているよ」と伝えること。そこでまず安心を与えた後に、ちょっと背伸びするような仕事を、職場復帰した瞬間に与えちゃうんですよ。

そうすると3カ月くらいは子供がインフルエンザになったとか熱出したとかありますけど、4カ月5カ月、半年経つとガンガン働き出して、すごい忠誠心でやってくれます。これは騙されたと思ってやってほしい。そういう人をあえてプロジェクトのマネージャーとか、チームリーダーにしちゃう企業がどんどんエネルギーを増していってますね。

それを制約と思ってるのは本当にもったいないと思います。穴埋めしなきゃいけない対象なんて思ってるのは本当に大間違いで、そう思っている人の方が穴埋めされるんじゃないの?っていうくらい、どんどん活力を増してきます。そこは信じて挑戦させるのがリーダーの資質ですね。

「代打は俺」と言える上司にシビれる

山崎:最後の場面で「代打は俺だ」って言えるボスかどうかで、育ボスが駄目ボスかわかりますよね。「代打は俺がやるから」っていうのを部長クラスの人が現場の子に言ったら、結構しびれますよね。それをやれるかどうかで、女性って「よし頑張れるぞ」っていうスイッチになるんじゃないかなと思っています。

松本:女性が活躍する組織を作るために取り組んでいることはありますか?

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ユナイテッドアローズでは管理職=活躍ではない

山崎:当社の中では、必ずしも管理職イコール活躍とは定義しておりませんで、やっぱりお店がありますので、お店の最前線でお客様に向き合って活躍していくというところを第一にしております。

ですので、無闇矢鱈に女性管理職の数を増やすことが重要ではないと思っています。実際社内にもデザイナーであるとか、ディレクターであるとか、プレイヤーの女性として活躍している人が多数おります。

ただやっぱりいまの社内の状況だけを見ていると、お客様の半数以上が女性でして、展開している事業につきましても、女性事業の方が多いです。ただマネジメントはやはり男性の方が圧倒的に多いという状況自体がヘルシーではないなと思っているので、もっといて良いんじゃないかな?とは思っています。

もしそれができたら、メリットとしてはやはりお客様の半数以上が女性なので、そうしたお客様のニーズを汲み取れる事業展開になるというところでしょう。あとはお客様の気持ちに沿った経営ができる。ズバリそこじゃないかなと思っています。

子育て社員の課題、キーワードは透明化

羽生:いま「ダイバーシティ部門を作ろうか」なんて言ってる会社が多くあるんですけど、トップが「じゃあ今年からダイバーシティやるぞ」みたいなことを言っている会社はだいたい失敗してるんですよね(笑) ダイバーシティというそもそもよくわからない英語になっている時点で、咀嚼されてない証拠なんですよ。

弱者救済とか、日本ですから肌の色が違う人、宗教や信仰が違う人、ハンディキャッパーを雇うとか、そういうのはまだ実例的じゃないんです。それよりも、女性が明日から使えるテクニックを話します。

いまインフルエンザが凄く流行ってるんですよ、子育て社員のいる家庭の人が、例えば「部長、うちの子供が熱出しちゃったので帰ります」ってなったら、さああなたはどうします? 「ちょっとおいで」って言って、階段の横の人のいないところに連れて行って、「じゃあ半日休んでいいから、その代役は優子ちゃんにお願いするから」みたいなやり取りがあるとする。これをやっちゃうと駄目ボスです。キーワードは透明化なんです。

ウェットな言葉は使わないように

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羽生:「大変だね」とか「かわいそうだね」とかウェットな言葉は一切使わないようにしましょう。誰かが早退するから会議をリスケしますっていう時に、ボスは手を出しちゃ駄目なんですよね。発熱しちゃった子どものお母さんが自力でリスケをする。それは別に子供がいる社員だけじゃなくて、介護の人もそう。自分のマインドが落ち込んじゃっている人も同じです。

自分の都合で何かをリスケしなきゃいけない場合、人にお願いする時は全員に周知するのが大事なんです。どういうことかというと、例えば「羽生が今日早退します」と。「その代わりに今日来ている大谷デスクにこの会議を仕切るようにお願いしました」というのを周知する。誰に頼ったかというのをチームの皆にちゃんと共有します。

要は「頼る人、頼られる人を固定化させない」のが透明化の一番のポイントです。それでボスは、「羽生が一回大谷にお願いした」っていう正の字を書いておくんですよ。大谷さんが優しいからいつもあの人に頼もうってことにならないように、ちゃんと書いておくんですね。そこで評価をします。

松本:自分都合で誰かにリスケを頼むとか、代打を代わっていただくってどこか申し訳ない気持ちもあります。ハードルが高いなと思ったんですけど。なるほど。ある種、公平公正ということですね。