アマゾンはテレビショッピングに勝てるか “親世代”への認知度アップに向けた取り組みとは

母の日や父の日などプレゼントを伴うイベントの日が近くなると、デパートには専用コーナーができ、生花店や洋菓子店でも特別コーナーを設置する。プレゼントに最適な品物が一箇所に集められれば、贈りたい相手の顔を思い浮かべながら、ユーザーがあちこちのフロアを見て回る必要もなく、買い物がぐっと便利になる。

品揃え豊富なアマゾンが、E-Commerce上でその手法を取り入れた。

4月24日、アマゾンジャパンは「Amazon が選ぶ母の日・父の日ギフト 2015 記者お披露目会」を同社社内カフェで開催した。普段は社員しか利用できないというカフェを開放してまで、何をアマゾンは伝えようとしたのか。

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普段は社員限定のカフェがメディア向けに開放された

同社が「母の日ギフト特集2015」をオープンしたのは4月10日。定番のものだけでなく、アマゾンおすすめ商品も掲載している。発表会に登場したセラーサービス事業本部長・星健一氏は、「E-Commerceという売り場の利点を活かし、豊富かつほかでは見られないような品揃えを実現している」と説明する。

さらに、「商品も多ければ良いというものではない。やはり喜んでもらえるようなものでなければ。今回掲載している商品は、地元ではなかなか買えない、いわば『お取り寄せ』的なものも含め、販売事業者60店の熱い思いのこもったもの」とその種類の多さだけでなく質の高さもアピールした。

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アマゾンは「指名買い」だけじゃない

商品の一例を見てみよう。

母の日のギフトについては、人気急上昇中の和菓子がトレンドになると予測し、「伊藤久右衛門」「おいもや」など品揃えを充実させた。近年注目が集まる、プリザーブドフラワーの品揃えも強化。アレンジメントされたもの、発光するもの、ガラスドーム入りなどを用意した。

父の日ギフトの売れ筋、酒類は品揃えを強化するだけでなく、「アートテック」の「名入れ芋焼酎藍色の華」を商品に追加。瓶に父親の名前と家族からのメッセージを刻印した、まさに“特別な一本”を贈れるようにしたという。国産うなぎについては「うなぎのたなか」「川口水産」という調理法の異なる東西業者の商品を追加するこだわりようだ。

アートテックによる、「世界に一本」の刻印入り芋焼酎

アートテックによる、「世界に一本」の刻印入り芋焼酎

通常、アマゾンをはじめとするECサイトで買い物をする際、目当ての物は決まっており、サイト内で製品名を検索して購入へ、というステップを踏むだろう。いわば「指名買い」だ。しかし、何を購入するか決まっていない場合、カテゴリ別ではなく目的に合致しそうな商品全体を見渡したい。

そのようなことから、特集ページでは探しやすさを重視。カテゴリ、予算別、さらにアマゾンからのおすすめといった具合に情報を集約し、ユーザーがサイト内で迷子にならないよう工夫している。

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アマゾンだからこそ応えられる「遅れてごめんね」需要

もちろん、届けたい日に届かなければ意味がない。その点でも「確実なデリバリーをお約束します」と星氏。そして「アマゾンがユーザーに支持されているのは、希望の日時にしっかり届けてきたという実績があるから」と自信をのぞかせた。

アマゾンであれば早く届くという印象があるため、イベント日の“直前週”に最も注文数が多いことも明かし、前述の星氏の述べた「デリバリーの確実さ」を消費者も信頼していることをアピールした。

イベント直前の駆け込み需要があったとしても、同社では商品の保管・出品・配送までを一元的に管理できる「フルフィルメント by Amazon(FBA)」を販売者に利用してもらい、届いていてほしい日時に確実に消費者の手元に届くよう、体制を整えているという。

ECサイトならではの特徴は、ほかにもある。

それは、「通常の催事場などでは、母の日という特別な日が終わったあとに売り場を維持するのは物理的に難しいが、ECサイトであれば維持できる。そのため、一週間程度特集ページを掲載し続け、『当日は間に合わなかったけど、遅れてごめんね』というキャッチフレーズで訴求する」というものだった。

アマゾンジャパン担当者が考える2015年母の日・父の日ギフトトレンド

アマゾンジャパン担当者が考える2015年母の日・父の日ギフトトレンド

「認知をさらに広げたい」

冒頭で述べたように、アマゾンジャパンは、今回の「記者お披露目会」で普段一般の人が立ち入れない自社カフェを開放、さらに特集ページ掲載商品のほとんどを試食できるようにしたが、どのような意図があったのだろうか。

「父の日」担当のセラーサービス事業部の渡邉晃成氏によれば、「テレビショッピングなどの通販は年齢を問わず認知されている。しかし、アマゾンユーザーはある一定の年齢層にとどまっている。使い始めていただければ“なくてはならない”と言っていただけるほどの支持を得ているが、まだまだ認知度を上げていく余地がある。そこで、もしかしたらまだお使いでない“親世代”にもこの便利さを知っていただくという狙いがある」とのこと。

とはいえ、デパートのように実際に目で見たり、カタログのようにパラパラとページをめくったりして商品を探す、あるいはテレビやラジオショッピングのようにピンポイントで商品を紹介する手法と異なり、ある程度目星をつけて膨大な数の商品の中から“探しだす”のが特徴のE-Commerceは、やはり使い慣れていないとハードルが高いといえよう。

カテゴリを横断して俯瞰できる、いわゆる「特設会場」のような買い物しやすい特集ページ終了後も、新しいユーザーが離れていかないよう、まだまだアマゾンの挑戦は続く。