Mediumの組織にはヒエラルキーがない–日本の担当者が語る注目ブログサービスの裏側

メディアプラットフォーム「Medium」は、ブロガーという言葉を生み出し、その後Twitterを立ち上げたエヴァン・ウィリアムズが立ち上げた注目プロジェクトだ。記事(ストーリー)を書くこと、読むことに特化しており、既存のブログサービスとはどこか雰囲気が異なる。Medium自ら優秀な編集者を雇い入れたことで、良質なコンテンツも集まりつつある。

エヴァンが投稿した記事。テキストを読むことにフォーカスした簡素なデザインだ。

このシンプルなユーザーインターフェイス、役員以外はすべてフラットだという特殊な組織。サービス開発にも組織作りにもエヴァンの思想が色濃く反映されているという。そんなMediumの裏側を、今年1月に発足した「Medium Japan」でブランドアンバサダーを担当する坂田一倫氏が語った。

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Medium Japanのブランドアンバサダーを担当する坂田一倫氏

 

Medium Japanは米国、スペインに次ぐ成長性

坂田氏によればMedium Japanは会社組織ではなく、プロジェクトベースで集まったグループなのだという。彼も普段はリクルートで働いており、その傍らにMediumのアンバサダーとして活動している。

「Medium Japanはいま現在、私を含めて7名で運営しています。主に翻訳とかボランティアの方が参加しています。これは他の国と比べるとわりと多いほうです。少ないところは3名とかでやっているんですけど、日本は非常に特徴的。マーケットも非常に大きいので、アメリカとスペインに次ぐ成長性を実現している状態」と坂田氏は語る。

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Mediumは10カ国に計10人のアンバサダーを置いている。主にヨーロッパが中心だが、ロシアと日本も重視しているそうだ。アルファベット以外の言語でMediumというサービス、ブランドをどのように育てていくか、日々ディスカッションしているという。

坂田氏とMedium Japanの出会いは興味深い。文章を書くことが好きで、かつ英語での情報発信にも積極的だった坂田氏は2014年からMediumでストーリーを書いていた。するとMediumの国際展開を担当している人物から、「いいストーリーを書くね。ぜひMedium Japanをやってみないか」と声がかかったそうだ。

各アンバサダーのミッションは3つある。1つは世界中で生まれたコンテンツを各国に展開すること。2つ目はグロースハックで、SNSや口コミを介してコンテンツを拡散させ、Mediumというブランド、あるいはストーリーの重要性を共有していくこと。最後に新機能のローカライズを検討すること。

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Mediumの組織にはヒエラルキーがない

今年で設立されて3年目を迎えるMediumはだいたい100人ほどの組織で、ヘッドクオーターはサンフランシスコにある。ストーリーを重視するサービスを提供しているだけに、会社自体が積極的にストーリーを発信している。

スタッフひとりひとりにスポットを当てる「Team Medium」というページがある。彼らがどういった背景でMediumに加わったのか、その人の人間性をそれぞれ1つのストーリーとして公開している。

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さらに特徴的なのがその組織の構造だ。Mediumの組織は「ホロクラシー」という思想のもと運営されているという。

「ホロクラシーというのはヒエラルキーのアンチテーゼと言われている組織の考え方でして、マネージャーが実はMediumにはいません。なので基本は役員と従業員、それだけです」

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つまり上司がいないため、スタッフひとりひとりが意思決定を持つ。肩書や役職ではなく、「役割」が与えられているため、その場で意思決定がなされるのだ。

「マネージャーがいないので意思決定が早いんです。自分の役割に影響があるのはどの人なのかが、すぐわかる。であればミーティングもそこで1対1ですればいいし、意思決定のためのミーティングを何重にする必要もない。とてつもなく早く組織が運用されています」

その結果、ほぼ毎週のように新機能がリリースされたり、ユーザーインターフェースが変わっていくという。

Mediumのもう1つの特徴はエグゼクティブの中に「編集者」が多いこと。文章を書く・読むという行為を大事にしてるサービスであるため、それを象徴するように有名編集者をどんどん招き入れている。WiredやGQ編集長をやっていた人がシニアエディターという役割を担っているそうだ。

「何もMediumだけっていうわけではないんですけど、最近はもともと編集者をやっていた方々がIT企業に転職をして、ウェブサービス内のメールマガジンだったりとか、テキストやコピーを考えるケースが非常に増えています。編集者としての新しいキャリアプランだなと僕は考えています」

目立つチャンス? 日本語で書かれるストーリーは1日40本ほど

Medium全体で1日に書かれるストーリーの数は約2000本。そのうちのほぼ95%がプロではない書き手によるものだ。そして2000のうち、日本語で書かれているストーリーは多い日でも40本くらい。

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坂田氏は「これから積極的に良いストーリーを展開していきたい」と語る。Mediumで毎日記事を書いているとMedium Japanの中の人の目に留まるかもしれない。