資格も語学も…効率的に勉強したい人へ、試験のプロが選んだ6冊

開成高校から現役で東京大学法学部に進学、国家試験の最難関とされる旧司法試験に一発合格――。オンライン資格試験予備校「資格スクエア」を運営する鬼頭政人さんは、数々の難関試験を突破してきた実績の持ち主です。そのほかにも行政書士や簿記1級、TOEIC900点オーバーなど、いわば勉強のスペシャリスト。そんな鬼頭さんに、ビジネスパーソンの勉強が捗る本を選んでもらいました。(編集部)
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こんにちは、資格カタリストの鬼頭です。スポーツの秋、食欲の秋、ではなく勉強の秋!そして読書の秋!ですよね。ただ、そうはいっても時間のない中で効率的に勉強するのは意外と難しいもの。巷では毎日のように勉強法の書籍が出版されていますが、どれも似たり寄ったりで、同じように見える、という方も多いのでは。そこで、そんなあなたに私が今回ご紹介するのは、「勉強の秋を10倍充実させるおすすめの勉強法書籍6冊」。

勉強法を考えるにあたって重要なのは、

1)成功体験に基づく経験則
2)脳や体の仕組み
3)教養のための勉強と試験勉強の違い

の3つの視点。ともすると1)に偏った本ばかり読んでしまいがちですが、読書の際には、こういった視点をバランスよく学べる書籍を選ぶことが大事です。本稿では、普段から勉強法を研究している私だからこそお伝えできる、厳選された勉強法の本をご紹介します。注意すべきは、ここでご紹介する本の内容を全て真似する必要はない、ということ。

それぞれの本で、明日からのあなたの学習に役立つことが1つでもあればいい、位の軽い気持ちで読んでみてください。きっと新しい発見があるはず。

1. 天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある

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ミスストイック、「徹底力」のお手本

トップバッターは東大首席→大学3年次司法試験合格→卒業後財務省キャリア官僚→弁護士、しかも美人という、天が間違って二物を与えてしまった山口真由さんのデビュー作。東大首席という輝かしい実績を持ちながらも、「自分は天才ではない」という認識を出発点に、いかにストイックに努力を続けるか、という方法論が書かれています。

「勝負スポットを作る」とか「パソコンのパスワードを目標の言葉に設定する」などの明日からすぐ使えるTIPSも随所に盛り込まれており、これらも役に立つものの、やはりこの本で注目すべきは彼女の「徹底力」。

「どんなことでも、努力をし、結果を残したことは、心底誇らしいものになります」との言葉は、東大首席(しかもオール優!という奇跡)の実績を残した彼女だからこその重みがあります。司法試験の最終試験の前に幻聴が聞こえるほど勉強をした、という「徹底力」には心服します。東大というレベルの高い場所で、単なる上位ではなく「首席」を取るためにはここまで徹底しないといけないんです。

常人には全てを真似することはできませんが、そんな強い気持ちで勉強し続けることのできる人が、どんな考え方でものごとに取り組んでいるのかを学ぶことができる一冊です。

2. 合格る技術

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「徹底力」と対照的な「邪道力」

山口真由さんと対照的な勉強法を提唱するのがこの宇都出雅巳さん。高校3年夏の東大模試F判定からまさかの東大現役合格を果たした宇都出雅巳さんが提唱するのは「がんばらない勉強法」。「がんばらずに合格る」ために、アウトプットや過去問を重視し、勉強する対象を絞りこむ勉強法を提示しています。

山口真由さんが正統派であることに比べると、この本はいかにがんばらないか、という視点から書かれていますので、ある意味「邪道」な本です。でも、「邪道」により高いハードルを見事に突破している人がいるということ。あえてこうした対極にある考え方の本を読むことで、自分に合った勉強法を考えるきっかけになります。

具体的な方法論としては、著者自身が速読のエキスパートであることを活かしたテキストの定着法がユニークです。「目次を読め」とはどの本にも書いてありますが、「目次をいかに記憶するか」についても本書では触れています。また、「ななめ読みのやり方」など、普通の勉強法の本よりも一歩踏み込んだ内容が随所に書かれています。

本書で提唱されている方法については、著者自身も実践しており、行政書士試験にわずか2カ月での短期合格を実現しています。自らの成功体験に即した手触り感のある勉強本といえます。

3. 受験脳の作り方

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脳科学で手に入れる「受験力」

先に挙げた2つの本は、著者自らの成功体験に基づく経験則を記載した勉強本ですが、本書は、脳科学のスペシャリストである東大教授の池谷裕二先生が脳科学の観点から脳と体の仕組みを利用した効率的な勉強法を提唱した本です。

「効率的な勉強法を理解するにはまずは脳のルールをしっかり理解することが必要」と記載されている通り、経験則ではなく、脳や体の仕組み、脳科学によって勉強を効率化しようとするアプローチを採っています。

脳科学といっても小難しいものではなく、記憶をつかさどる海馬の仕組みや海馬の神経細胞に備わる特質といった専門的事項を、極めて平易に解説しています。素人でも分かる内容になっていますので文系の皆様、ご安心を。

また、「感動的学習法」や「ライオン学習法」といった脳科学的視点から提案される独創的な学習スタイルは、経験則だけでは導き出せない池谷先生ならではの方法ですので、大変勉強になります。

他書にない特徴として、睡眠が記憶に及ぼす影響が脳科学的に解説されています。寝ることで記憶が定着すると「なんとなく」経験上わかっている事項について、脳科学的な裏付けが記載されていますので「すっきり」と頭の中に入ってきます。

本書を読むことで、様々な本に記載のある経験則を踏まえた勉強ノウハウが、脳のどのような機能を意識したものなのか、ということがわかります。

4. 中学受験を9割成功に導く「母親力」

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他者のやる気を鼓舞する「応援力」

現在、都内で複数の個別指導塾を運営する著者。中学受験時代、有名進学塾で3年連続トップをとった自らの天才的才能から導かれる経験則に、現在までの指導経験をブレンドして出版したのが本書です。

通常の勉強本と違う点は、題名の「母親力」がしめすとおり、親の視点、すなわち第三者が他者に勉強をうまくさせる、という視点から書かれているところ。

実際に中学受験に成功した子の親が子供にどうやって勉強を続けさせたか、といった事例がふんだんに盛り込んであることに加え、著者自身の両親が登場して著者をどのように育てたか、という赤裸々なインタビューも最後に掲載されています。

他者をどうやってモチベートし、効率的に勉強させるか、という姿勢は、現在親である方は勿論、自ら勉強する立場にいる方にとっても、ハッとする点があります。

ストーリーに沿って記憶する「ストーリー記憶法」、脳の仕組みを意識した「長期メモリーサイクル法」といった、親子で一緒に取り組めるような独自の勉強法も複数紹介されていますので、要注目です。

5. 孫子

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古書から学ぶ「本質力」

いわずと知れた中国の兵書「孫子」。本来、戦争における考え方や戦術を想定した書籍ですが、実は試験勉強にも使える部分が随所にみられます。

「用兵の法は、国を全うするを上と為し、国を破るはこれに次ぐ」(敵を破るには敵国を傷つけずにそのまま降伏させるのが最高で、敵国を打ち破って降伏させるはそれには劣る)というように、謀略によって敵を破るのが最高の策という孫子。

試験というのも、実は出題者側が用意した戦場で自分の持つ武器をもとに戦闘するようなものであり、出題者側の意図を汲んで予め破ることができれば、地道に勉強して突破するよりも効率がよい勝ち方です。また、かの有名な「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」が示す通り、戦争も試験勉強も、敵(=出題者)の考え方を知って、自分の今の実力を知っていれば、敵を突破して勝つことができるのです。

戦場で絶対にやってはいけないのは、闇雲に敵の陣内に攻め入り、本陣を目指すこと。あえなく討死することが目に見えているからです。攻撃(=試験勉強)する前の準備がいかに重要か、ということを改めて考えさせられます。

「孫子」に限らず、古典は人や物事の本質を突いているので、全く状況の異なる現代の試験勉強にも非常に役立つものです。

6. 頭のよさとは「ヤマを張る」技術のことである

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出題者や過去問を見て養う「分析力」

6冊目は、大変恐縮ながら、「ヤマを張る」ことに特化した私の勉強本です。「ヤマを張る」の文言は、ともするとヤマ勘で出題分野を当てるというニュアンスをはらむものですが、本書は、いかに合理的に試験に出る範囲、深さを予想し、それにあわせて勉強していくか、について述べたものです。

試験を突破するには、「出題者」を知ることがすべて、と私は考えています。出題者の意思は過去問にあらわれているので、過去問の分析は超がつくほど重要。そんな過去問至上主義の私がこれまで実践してきた、過去問の勉強法、分析法について、なかばマニアックと思われる部分まで、緻密に記載しています。

過去問の一言一句に至るまで敏感に解いていけば、そこには出題者の意図が必ずあります。
「過去問をやりなさいと言われるけど、単に解くだけでいいのか?」と疑問を持っている方にぴったりの一冊です。

以上、6冊をご紹介させていただきました。

成功体験から導かれる経験則、脳や体の仕組み、試験勉強の本質といった視点を意識して読むことで、勉強本から少しでも多くのことを得てくださる方がいれば幸いです。