懐かしの名作が遊び放題–「遊ぶ!ゲーム展」はおっさんホイホイ度が高め

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埼玉県川口市で2016年2月28日(日)まで開催中の『あそぶ! ゲーム展 Part.1』。世界的にも珍しいビデオゲームと周辺開発資料を展示するこの展示会は、歴戦のゲーマーにとっては懐かしい、そして今の子供には新鮮なアーケード向け作品を中心としたレトロなビデオゲームのタイトルを実機で遊べる展示会だ。

入場料は大人510円、小人250円だが、入場料を払えば中のゲームは基本的に遊び放題というシステムな本展示会。先の記事では「スペースインベーダー」と「パックマン」という名作ゲームの特設ルームを紹介したが、今回はもう一つの柱であるおっさんホイホイ度の高いタイトルの数々や、ヘビーなゲーム好きのみならずエンジニアの方々からでも興味深いであろう、超激レアな海外作品の数々を紹介しよう。

ギャラクシアンやドンキーコングなど、懐かしの名作が多数展示

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まずは国内メーカーの懐かしのタイトルから。これらの作品は1つの部屋に集められており、当時のゲームセンター的な雰囲気で遊べる趣向だ。

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総ゲーム数は20以上。今期のPart.1は黎明期タイトルということで、1970年代から80年代前半のタイトルに限定されている。当時の有名タイトルとしては、ナムコ(現・バンダイナムコエンターテインメント)の「ギャラクシアン」(上写真左)や「ディグダグ」(上写真右)、「ニューラリーX」(下画面)、そしてコナミの「スクランブル」や任天堂の「ドンキーコング」といった作品が並ぶ。

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比較的珍しいタイトルとしては、ナムコ初のアーケードゲームとなる、ピンボール風ゲーム「ジービー」(上画面)、そして画面のキャラクターが線画で描かれている「ベクタースキャン」という技術が使われたセガ(現・セガ・インタラクティブ)のシューティングゲーム「スペースフューリー」なども用意されている。

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合わせて、同じベクタースキャンによる描画が取り入れられたアタリの「アステロイド」などは、昨今のゲーム画面を見慣れているとかえって新鮮にも思える、いわゆるレトロフューチャー感のある画面。技術的にも面白いため、本誌読者にはぜひとも見てほしい作品だ。

またタイトルの選定は、ゲームの歴史的に影響を与えたり、新技術を導入した作品、という側面でも選ばれている。例えばギャラクシアンは、「スプライト」と呼ばれるキャラクターを高速かつ滑らかに移動可能とした描画技術が導入されたタイトルとして、スクランブルはゲーム進行に合わせて画面外から背景や障害物が表示される「スクロール」を導入したタイトルとして……といった具合。

しかし重要な点は、そうした学術的な側面を考えず、単に遊ぶだけでもよい、という展示になっていること。面白そうなゲームがあるので試しに遊んでみよう、というだけでも十分楽しめるし、そして面白い展示とゲームタイトルの選定になっているのだ。

 

世界でも現存は数十台!? 貴重な70年代海外ゲームも

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もう一つの目玉的展示は、1970年代や80年代前半の海外ゲームだ。これらは発売されてから40年前後が経過していることもあり、現存している筐体(きょうたい:ゲーム台のこと)は非常に珍しい。さらにメンテナンスにも高い技術が必要とされることもあり、実機での展示は非常に難度が高い。にも関わらず本展示会では、しっかり操作ができるように展示されているのだ。

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目玉的タイトルとなるのが、ナッチング・アソシエーツ社のシューティングゲーム「コンピュータースペース」。これは1971年に発売された世界初のアーケードゲームで、出荷台数は全世界で1500台、さらに当時でも日本では販売されなかったというタイトルだ。

筐体は素材としてFRP(繊維強化プラスチック)を使ったレトロフューチャー感溢れるもの。ゲーム内容は同じながら筐体にカラーバリエーションがあったり、表面はラメ入りなど、今の視点で見てもユニークな仕様が取り入れられている。こちらはさすがに貴重すぎるため、実機でのプレイはイベント時のみと限定されるものの、筐体を移し替えたバージョンの試遊が可能となっている。

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実機試遊できる中で古い作品としては、1972年にアタリが発売した「ポン」が挙げられる。これは2人対戦用ピンポンゲーム。欧米で大ヒットし、アタリという会社を一躍有名にした作品だ。ここで興味深いのが、併設された筐体内部の写真。なんと初期は市販のテレビをそのまま筐体内に納めていたという、面白い話が紹介されている。

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さらに注目な、主催側のイチオシのタイトルがある。それが1975年に登場したPSEの「マンイーター」(上写真)と1976年のエキシディ「デスレース」(下)という2作品。両者とも恐怖映画にヒントを得たストーリーで当時注目された作品だ。なんと前者は鮫になって人間を襲い、後者は車に乗った死神となって、体当たりで子鬼(グレムリン)を倒すというもの。

現在でこそプレーヤーが悪役となるゲームは多く出ているが、当時はゲームのタイトル数がが少ない上に、当時としてはストーリー設定が残虐なことから物議を醸した作品なのである。

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とくにデスレースは米国内のテレビニュースや日本の新聞記事で「残虐ゲーム」と話題となったが、一方で出荷台数は200台とも言われるほど少ないため、米国でも現存する実機は少ないほどだ。

こうした事情から、これら2タイトルは例外的に、試遊は土、日、祝日の10時から13時限定となっており、平日は筐体展示のみ。試遊してみたい場合は注意が必要だ。

1969年に開発された「幻の家庭用ゲーム機」なども展示

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また技術的に注目したいのが、順路の入り口付近に展示された試作ゲーム機の数々だ。これはレプリカながら1969年に試作された家庭用テレビゲーム機「ブラウンボックス」(写真上)、1972年に市販された家庭用ゲーム機「オデッセイ」(下)、そして世界初のテレビゲームとなる、1958年にブルックヘブン国立研究所がイベント来場者にサービスするために開発した「テニス・フォー・ツー」など、上述した学術的側面を強調した展示だ。

とくに日本では「アーケードゲーム機の前に家庭用ゲーム機が開発されていた」という事実自体があまり知られていなかった状態。技術的な視点から見ると、これらのゲーム機がいかに興味深いものかがご理解いただけるのではないだろうか。

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このように本展示会は、懐かしのゲームが存分に遊べるというだけではなく、学術的な側面からゲームの歴史を学ぶという、遊びと学びを両立した展示となっているのがポイント。

ゲームに詳しくない人が「面白そうと目に付いたゲームを遊んでみる」というだけでも楽しめるし、ゲームマニアや技術者であれば、ここまで紹介した珍しいタイトルや、展示ゲームに関する資料などを見ていくとより楽しめる構成となっている。レトロゲーム直撃世代のみならず、ビデオゲームに興味のある本誌読者であれば、ぜひチェックしてほしいイベントだ。

なお会期中はゲーム開発に関する体験型講座やトークイベントなど、イベント内イベントも順次加わっている(現在も増え続けている状態だ)。こうした告知は公式ページで随時なされるため、可能であればチェックしてから来場をオススメしたい。