エンジニアはやせたければ「KPIの設定」が大事かもしれない

変化の激しいエンジニアの世界で、どうすれば成長し続けられるのか。そのヒントを、飲食店向け予約台帳アプリを手がける「トレタ」の増井雄一郎さんが解説します。

「IT芸人」や「風呂グラマー」の異名でも知られる増井雄一郎さん。

「IT芸人」や「風呂グラマー」の異名でも知られる増井雄一郎さん。

第4回目となる今回のテーマは「エンジニアの健康管理について」です。「むしろ僕自身が健康管理しなきゃいけない」と語る増井さんですが、エンジニアと相性が良さそうなTIPSを解説していただきました。

腰痛対策の第一歩は、自分にフィットするイスを見つけること

高校時代の増井さん。今と同じ身長で30kg痩せていたという。

高校時代の増井さん。今と同じ身長で30kg痩せていたという。

上の写真は僕が一番やせていた頃です。今と同じ身長で50kg台だったのですが、現在は80kg台……。今回のテーマを打診された時、むしろ自分自身が健康管理しなきゃいけないとためらいましたが、ふだん意識していることをいくつかご紹介したいと思います。

エンジニアのように基本座りっぱなしの職業だと、遅かれ早かれ直面する体の問題があります。それは、腰痛です。

私も20代の頃は全然平気でしたが、30代になってから徐々に違和感を覚え始め、30代後半になると本格的に腰痛がキツくなってきました。年に何度か、ベッドから起き上がれなくて会社に行けない日もあります(笑)。冗談のような話ですが、腰が痛いと本当に起き上がれないのです。

腰痛対策で真っ先にやるべきことは、自分に合ったイスを見繕うことです。

安い作りの画一的なイスではなく、ランバーサポート(腰の部分の支え)のついたイスにすることで、腰の負担は大きく軽減されます。いいメーカーのイスは10万を超えるものも多いですが、普通に座っている分には、10年以上使い続けても壊れません。中古であれば、2万円台からランバーサポートのあるしっかりとしたイスが手に入ります。

増井さんはオフィスに私物のアーロンチェアを持ち込んでいる。

増井さんはオフィスに私物のアーロンチェアを持ち込んでいる。

私は長年アーロンチェアを使っていますが、他にもハーマンミラーやオカムラなど評判のいいメーカーはいくつかあります。

骨格によってフィットするメーカーが異なってくるので、実際に大型家具店に行って試しに座ってみるといいとでしょう。その際にはノートパソコンを持参して、10分間ほど座ったままキーボードを叩いてみると、無理なく作業ができるか感じ取れると思います。

今の職場にはバランスボールに座って作業をする同僚もいますね。イスは「高ければいい」と言うものではないので、自分に合うものを探しましょう。

オフィス専用のバランスボール。一般的なバランスボールと違い、反発が強いので沈まないのが特徴だ。価格は3万円近くするそう。

オフィス専用のバランスボール。一般的なバランスボールと違い、反発が強いので沈まないのが特徴だ。価格は3万円近くするそう。

ディスプレイは目の高さに

腰痛を軽減するには、いい姿勢をキープすることが大切。そのためにポイントとなるのが、パソコンのディスプレイの高さです。

姿勢をよくするためには、ディスプレイの位置を目の高さと同じくらいにするのがベスト。目の高さより下にディスプレイがあると、作業中はそれを覗きこむような形になり、背中がどんどん丸くなって肩も凝りやすくなります。

ディスプレイの高さを調整するには、エルゴトロンのアームが安くて使い勝手がよく、おすすめです。

増井さんがオススメするエルゴトロンのアーム。

増井さんがオススメするエルゴトロンのアーム。

姿勢をキープするには、机の高さにも気をつけなければいけません。

タイピングをしている時に、無駄な力が入らないような机の高さを吟味しましょう。

たまに家のダイニングテーブルで仕事をすることもありますが、ダイニングテーブルはパソコン作業に適した高さではないので……翌日は必ず腰が痛くなるのです(笑)。30歳を過ぎると腰痛は本当に笑えない問題になってきますから、若い方々も今のうちから気をつけておいた方がいいですよ。

「大事なのは定期的に、そして意識的に姿勢を変えること。」

「大事なのは定期的に、そして意識的に姿勢を変えること。」

また、体の負担を軽減するには「長時間、同じ姿勢で作業しないこと」も心がけましょう。

うちの会社ではスタンディングデスクを用意して、立ちながらパソコンで仕事ができるようにしています。最近のスタートアップ界隈では、オフィスにスタンディングデスクを設置している所が増えてきていますよね。座りっぱなしもよくないですし、もちろん立ちっぱなしもよくない。大事なのは定期的に、そして意識的に姿勢を変えることです。

日常生活や趣味の範囲で、自然に運動を取り入れる

30歳を過ぎたあたりから、人間の体質はいろいろと変化してきます。私は若い時より、めっぽう太りやすくなりました。

冒頭で告白したとおり、私の体重は現在は80kg台です。やせていた時からすれば、30kgの重りを身につけているような状態ですから、その分体を支えている背骨や腰にかかる負担は大きくなります。また、健康診断に行くと医者から「体重さえ減らせば、危険性のある数値は全部下がるよ」とも言われていますね(笑)。

しかし、いざ「運動しなきゃ」と思っても、なかなか動き出すのはハードルが高いものです。今の家のすぐ近くには、IT健保で安く使えるジムがあるのですが……1度も行っていません(笑)。ただ、毎日の通勤を自転車で行き来するようにしたり、打ち合わせ間を歩いて移動したり、日常生活の中で自然に取り入れられる範囲で体を動かそうと心がけています。

「運動しなきゃ」という意識から実行に移すのは難しいですが、趣味の中に運動を取り入れられれば一石二鳥。私は趣味でクラブに行っていて、最近ではほぼ毎週夜な夜な踊っています。

大学生の頃からクラブ通いを始めていて、一時期は下火になっていたのですが、3年くらい前からマイブームが再来。知人のDJが回すという情報を聞けば、金曜日の仕事終わりに新幹線に乗って大阪のクラブに向かい、オープンからクローズまでぶっ通しで踊って、朝の始発で東京に帰ってきたり、23時から5時ぐらいまでジャンプしっぱなしで、Tシャツが絞れるぐらいに汗だくだったり……なんてこともあります(笑)。

私の例はちょっと極端ですが、運動不足を解消できるような趣味を持てると、健康管理はグッと楽になると思います。

エンジニアの健康管理の肝は「KPIの設定」

エンジニアに特化した健康管理のソリューションとして挙げたいのが「KPIを設定すること」です。最近、友人のエンジニアが「体脂肪率の数値をKPIにしたら、コミットするのが面白くなった」と言っていて、「ああ、これは職業病だな」と(笑)。

体重は短期間で変化しづらい数値ですが、体脂肪率や運動総量などは日ごとに大きく変動する数値です。動きやすい数値上で細かくKPIを設定すれば、より“数字を追う、クリアする”醍醐味が味わえるはずだと思います。

日々の運動総量などの活動記録を取るには、「Moves」という無料のライフログアプリを使っています。このアプリはダウンロードしたスマートフォンを持ち歩いているだけで、ユーザーの行動を記録します。徒歩や自転車など移動手段も自動で判別してくれるので、とても便利です。

ウェアラブルな活動量計「MISFIT」の画像。深夜12時から朝方にかけての活動量がすごい。

ウェアラブルな活動量計「MISFIT」の画像。深夜12時から朝方にかけての活動量がすごい。

例えばこのグラフは、私がクラブで踊りまくっている時のものなのですが、どれだけ踊り狂っているのかがわかるかと思います(笑)

ウェアラブルな活動量計なら「MISFIT」がいいですね。こちらの製品の腕時計型のものは、足首に装着しても測量が可能です。「腕に時計を着けているのが苦手……」という私みたいなタイプの方におすすめです。

測る数値を定め、それを可視化して、コミットできる目標を設定する――これがエンジニアの健康を守るために必要な3つのステップです。「間食を抜いたらどれだけ体重が減るか」「通勤を自転車に変えたらどれだけ体脂肪率が減るか」など、トピックごとに実証実験してみるのも面白いですね。

ちなみに、エンジニアには凝り性の人間が多いので、一度ハマるととんでもない領域まで追求していく猛者も結構いますよ。運動不足の解消のためにランニングを始めた人が、いつの間にかホノルルマラソンに出てたり、通勤のために自転車に乗り始めた人が、究極の軽量フレームを求めてドイツに遠征していたり……趣味が増えるのは素敵なことですね(笑)

ただ、「まったく体を動かさないで仕事をする」というスタイルもこの世には存在します。

昔一緒に会社をやっていた仲間のうちの1人に、北海道でアプリ制作の会社を経営している人間がいて……彼は僕よりもひどい腰痛に悩まされているようで、介護ベッドを改造して“ベッドから一歩も出ずに仕事をこなせる環境”を整えています。皆さんは、寝たきりで働き続けなきゃいけない状況ならないように、問題のない内から体には十分に気を使っていきましょう。

増井さんの友人の作業環境。Bluetoothキーボード + Bluetoothトラックパッドで、「まったく体を動かさないで仕事をする」スタイルを実現している(※許諾を得てご本人のブログから転載しました)

増井さんの友人の作業環境。Bluetoothキーボード + Bluetoothトラックパッドで、完全コードレスを実現している(※許諾を得てご本人のブログから転載しました)

(聞き手:西山武志)