授業ノートのC2Cから医療VRまで、「TECH LAB PAAK」成果発表レポート

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リクルートが渋谷で展開するオープンイノベーションスペース「TECH LAB PAAK」は12月21日、第6期会員の卒業成果発表会「OPEN PAAK DAY #6」を開催した。今回は7月にスタートしたVRコース会員も参加。通常コース6チーム、VRコース6チームがプログラム参加からの半年間の成果を披露した。

第6期生からはどのようなサービスが生まれたのだろうか?この記事では、入賞したチームを中心に「OPEN PAAK DAY #6」に登壇したチームを紹介していく。当日の審査員は次の方々が務めた。

<審査員>
500 Startups Japan マネージングパートナー 澤山陽平氏
株式会社コロプラネクスト 代表取締役社長 山上愼太郎氏
LINE株式会社 ビジネスプラットフォーム事業室 戦略企画担当ディレクター 砂金信一郎氏
アマゾン ウェブサービス ジャパン株式会社 事業開発マネジャー 畑浩史氏
株式会社リクルートホールディングス Media Technology Lab.室長 麻生要一氏

Orario(Oraio)|オーディエンス賞(通常チーム)、LINE賞

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Orario」は現役の大学生が開発した、大学生のための履修管理アプリ。大学が提供している情報が散在しており、スマートフォンに最適化されていない。そこに対する課題がサービス開発のきっかけになっているという。

最大の特徴は大学システムと連携し、手軽に使えることにある。学績IDとパスワードを入力するだけで、時間割の自動作成や評価基準のチェック、休講情報・教室変更といった情報の確認をスマートフォンから瞬時に行うことができる。

「PAAKの会員になってからは、授業をとっている人同士でノートやレジュメを共有できる機能を実装しました。年明けにはノートの売り買いができる、CtoCのマーケットプレイスもやっていく予定です」(芳本氏)

現在は立命館大学、同志社大学、京都大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学に対応。最近、ベクトルを引受先とした第三者割当増資を実施し、開発を推し進めていくそうだ。

GITAI Project(MacroSpace)|オーディエンス賞(VRチーム)、500 Startups Japan賞

VR端末で自分の分身のように遠隔操作できるロボット/専用ソフトウェア。右手を挙げればロボットも同じように右手を挙げる。まさにロボットが自分の一部になったような感覚を味わえる。開発元であるMacroSpaceの中ノ瀬氏によると、このプロダクトを通して実現したいのは“体の拡張”。

「PCやスマートフォンは人間の脳を拡張したと思うのですが、このプロダクトは人間の体を拡張するもの。将来的には実質的な瞬間移動が可能になったり、災害救助の役に立ったりしてくれると思っています」(中ノ瀬氏)

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このプロダクトは、海外では”テレイグジスタンス(遠隔存在感)”と呼ばれる研究領域となっており、大きな注目を集めている。現在、GITAI Projectは中ノ瀬氏のみが開発しているが、来年はプロジェクト化。民間のチームとして、XPRIZE財団が2020年に開催を予定している「テレイグジスタンスロボットの国際賞金レース」に出場し、優勝を目指すという。

Embody Me(Paneo)|コロプラネクスト賞

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SkypeやGoogle ハングアウトなど遠隔コミュニケーションツールは様々あるが、直接のコミュニケーションに比べ、どうしても話が伝わりづらい……といった課題が残る。Embody MeはVRによって、その課題を解決してくれる。

顔写真一枚から自分そっくりのアバターを作成。360度画像・映像を使った現実空間の中で、グループチャットができるようになる。また、顔の表情を読み取ったり、手の動きから身体の動きを推定したり、様々な動きをアバターに反映し、その場にいるかような存在感の実現を今後目指していくという。

OTON GLASS(OTON GLASS)|AWS賞

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OTON GLASS」は、文字を読むことが困難なディスレクシアの方や弱視の方を対象とした、読む行為をサポートするスマートグラス。2012年に島影氏の父が脳梗塞を起こし、文字を読む能力が低下してしまったことから開発を決意したという。

機能は非常にシンプルで、視覚的な文字情報を音声に変換するというもの。視点と同一位置にあるカメラで、ユーザーが読みたい文字を撮影。それをOCR(文字認識技術)で音声に変換して読み上げることによって、ユーザーは内容を理解することができる。今後は段階的に生産数を増やしていくそうだ。

HoloEyes VR(HoloEyes)|TECH LAB PAAK賞

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医療分野にVRを活用しようとしているのがHoloEyes VRだ。CTスキャンデータから3Dモデルを作成し、VRで体の構造が見れるビューワーを医療機関向けに提供。

3Dの人間の構造をそのまま3D VRで閲覧し、その中でコミュニケーションをすることによって、手術前のイメージの共有、手術後のアーカイブ、患者への説明に役立てることができる。現在は患者の同意を得たデータは弊社でライブラリ化し、さまざまな症状・部位のVRデータを閲覧できるようなサービスを開発中。

今後は医療の現場からトレーニング、研究、教育まで幅広くデータを提供することを目指していく。

STYLY(Psychic VR Lab)|特別賞

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“ファッションの魔法を加速させる”をコンセプトに、ファッションに特化したショッピングプラットフォームを提供しているのが「STYLY」だ。具体的には物理的な制約から開放されたVR空間において、ブランドストーリーの表現の場を提供。空間自体もファッションとして楽しむ”着る空間”を作り出すという。

現在は2017年の本格サービス開始に向け、アパレル専用3Dスキャナ、ブランド空間構築ツール、配信・コマースプラットフォームを準備中だ。

惜しくも入選には届かなかった6チームもご紹介

CrossMentor(ブライトビュー)

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CrossMentor」は、社外のエグゼクティブに長期メンタリングを受けられる人材開発サービスだ。結婚相談所のメンター版SaaSのようなイメージで、アルゴリズムによってマッチングを実現するという。OJTやLMSにはない熟練のインタラクションを活用することで、企業の最重要課題でもある人材開発に役立てていく。特にマネジメント問題、エース社員の離職、女性キャリアといった課題の解決にフォーカスするそうだ。現在、先行登録を受付中。

marry(marry)

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marry」は日本一かわいい結婚式準備のアイデアサイト。毎日10記事ほど、社員の手で記事を作成している。現在、800万PVを突破、記事数は合計6000記事になっているという。

PAAK会員になってから、社員が増えたり、ドレスを作ったり、本を出版したり……。これまではトレンドを追いかける立場だったが、これからはトレンドを作り出す立場になることを目指すという。

ゴトウビ(BANIRA)

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BtoBの決済の90%が口座振り込みとなっており、充実した資金管理サービスがない。そんな状況に目をつけたのがゴトウビだ。ゴトウビは請求データと入出金明細を登録すると、明細、消し込み、売掛金、未収金の管理をシステム上で簡潔に行えるようにしてくれる。利用料は無料。

またヒアリングをしていく中で、「請求書を早めに払ってほしい」というニーズもあったため、請求書の支払日を前倒しにして払ってもらうサービスも考えているという。

Craftie(Craftie)

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Craftie」は“アート・ものづくりをもっと身近に。気軽に”をコンセプトにアート・ものづくりのワークショップを予約できるサービス。パステルアート、フラワー、DIY、キャンドル作りといったワークショップを中心に掲載されている。掲載件数は現在370件。

PAAK会員になって以降、新たな集客手段を求めるFrancfranc(フランフラン)、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)、KITTEとの連携も決定。今後、オフライン・オンラインの枠を超えた、過去にないユーザーエクスペリエンスを提供していくという。

The Gunner of Dragoon(サークルハイドレンジャー)

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今回発表を行ったチームの中では異色の存在だった。The Gunner of Dragoonはドラゴンに乗り込み、大空を滑空して戦うVRシューティングゲーム。「VR時代のゲームとは何か?」を模索し、個人で開発を進めている。

視覚(HMD)だけではなく聴覚(立体音響+ヘッドホン)と触覚(ハンディコントローラ、サーキュレーター、ロデオマシン)を追加する事で従来のゲームでは得られなかった体験を味わう事が出来るコンテンツに仕上がっている。

VRize Ad / VRize Video(VRize)

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今後訪れるであろう“VR化の波”を支援するために開発されたのが、VRに特化した動画アドネットワーク「VRize Ad」とハイエンドVR動画アプリ制作CMSの「VRize Video」だ。

VRはお金にならないから、コンテンツを作れない。そのため、ユーザーも獲得できない。そんなVR業界の課題を解決していきたいという。この2つのサービスを通じて、VR事業の立ち上げからマネタイズまでトータルで事業化を支援していくことを目指すという。

VRの体験会まで行われた「OPEN PAAK DAY #6」

通常コース6つ、VRコース6つに分かれて発表が行われた「OPEN PAAK DAY #6」。通常コースもユニークなサービスが多かったが、発表を聞いていて、とにかくVRの可能性に驚かされるばかりだった。どれも完成度が高く、近い将来、実用化されることだろう。

今回の「OPEN PAAK DAY #6」はVRの体験会も開催されるなど、ユーザー参加型のコンテンツもあり、非常に賑やかな状態で幕を閉じた。約半年間、PAAKでプロダクトの開発やブラッシュアップを行ってきた第6期会員。ひとまず区切りがついたが、まだこれで終わりではない。これからどのような成長をしていくのか、今後の動向が非常に楽しみだ。