グローバル企業で活躍する30代が「20代でしてきたこと」|ブルーボトルコーヒー×WHILL×BuzzFeed

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リモートワーク、副業、残業の見直し……。ここ数年、私たちの働き方は目まぐるしい勢いで変わりつつある。そんな時代において、どのような経験、選択をすれば、理想とするキャリアを歩むことができるのだろうか?

そんな働き方について考えるイベント「30代が語る。これからの『働くこと』と『多様性』」が2016年12月19日、ブルーボトルコーヒー中目黒カフェにて開催された。

登壇したのは、ブルーボトルコーヒージャパン合同会社 取締役の井川沙紀さん、WHILL最高技術責任者兼WHILL株式会社 代表取締役社長の福岡宗明さん、BuzzFeed Japan ニュースエディターの小林明子さん。グローバルに事業を展開する各社に所属する3人の主な発言をまとめた。

毎日ベストを尽くす。その先に自分の進むべき道がある

ブルーボトルコーヒージャパン合同会社 取締役 井川沙紀さん

ブルーボトルコーヒージャパン合同会社 取締役 井川沙紀さん

サードウェーブコーヒーの代表格として、清澄白河に日本1号店を出店。その後、青山、新宿、六本木、中目黒、品川、と立て続けに出店しているブルーボトルコーヒー。まさに快進撃ともいえる日本展開を影で支えているのが、井川沙紀さんだ。

彼女は2014年にブルーボトルコーヒーに入社しているが、今回が5社目。ブルーボトルコーヒーへ入社する前に4度の転職を経験している。

“1つの会社に長く働き続けること”が美徳とされる日本において、井川さんのようなキャリアは稀有な例かもしれない。彼女は20代の頃を振りかえって、こう語る。

「20代の頃は自分ができることを毎日がむしゃらになってやる。そうすれば、何かライフイベントが起きても、職場から必要とされるんじゃないかと。『自分がどうあるべきか』という“べき論”でキャリアを考えていたなと思いますし、自分の中に軸もなかったですね」

後先を考えず、目の前のことに夢中になって働いていた、という彼女だが、2社目のインキュベーション会社を通じて、自分のやりたいことが明確になっていく。

「いろんな事業の立ち上げの過程で、PRの仕事を任せてもらえて。それがすごく楽しかったんです。自分にはゼロから事業を立ち上げる力もなければ才能もないけれど、それを人に伝えることで、企業や人を輝かせることができる。そこに魅力を感じました」

PRの仕事に魅せられた彼女は、立場を変えながらPRの仕事に従事していく。インキュベーション会社の次は海外ブランドの日本展開や国内ブランドの海外で展開に携わっていく。

「がむしゃらに働く過程で自分が好きなこと、その会社で働く意味、自分の価値は常に考えていました。その考えを研ぎ澄ましていった結果が今につながっているのかなと思います」

さまざまな環境で働くことで、自分なりのキャリアを形成してきた井川さん。彼女はブルーボトルコーヒーで働くことを決め、現在日本法人の代表として、本社と連携をとりながら、新規店舗の立ち上げに尽力している。これまでの歩みを振り返り、彼女は20代に向けてこんなメッセージをおくった。

「私のキャリアは何か一つのことに向かって積み重ねたものではなく、目の前のことを一生懸命やってきて出来上がったものです。その過程では、今の道で合っているのか、これがやりたかったことなのかな、と思ったことが何度もありました。

20代は特に不安な気持ちに支配され、すぐ答えを見つけたくなってしまいがちですが、これまでのキャリアを振りかえってみると全てのことに意味があったなと思います。今は信じられないかもしれないですが、積み重ねてきた毎日の努力がちゃんと結果に結びつくので、自分の可能性とチャンスを信じて突き進んでいってほしいです」

仕事で築いたつながりを大切に

WHILL最高技術責任者兼WHILL株式会社 代表取締役社長 福岡宗明さん

WHILL最高技術責任者兼WHILL株式会社 代表取締役社長 福岡宗明さん

パーソナルモビリティ「WHILL(ウィル)」の開発を手がけているWHILL株式会社。世界最大の家電見本市「CES 2017」でInnovation Awardsを受賞するなど世界的な評価も高い同社だが、プロボノ(※社会人が自らの専門知識や技能を生かして参加する社会貢献活動)がきっかけとなり、立ち上がったという。

「もともと、ベンチャーやスタートアップをやるつもりはなくて。朝9時に出社して、夜18時に退社する。そんなワークスタイルがけっこう好きなタイプでした。そんな自分がなぜ起業した理由は“責任感”です。WHILLは趣味の延長線で平日の夜や土日で開発していたプロダクトだったのですが、公表してみたら、かなりの反響があって。『これはきちんと製品化しなければいけない』と思い、法人化することにしました」

新卒でオリンパスに入社し、医療機器の研究開発に従事していたという福岡さん。入社1〜2年目の頃は分からないことだらけで必死に勉強する。そんな毎日だったそうだが、キャリアを積んでいく過程で勉強しなければわからない物事が減っていったそうだ。

これまで勉強に充てていた時間を、自分のやりたいことにために使えるようになった福岡さんはエンジニア団体「Sunny Side Garage」を設立。そこで自由なものづくりを行っていった。

「大学の同級生たちが集まって、「会社とは関係のないプロダクトを作ろう」となったんです。勢いで始まったプロジェクトだったのですが、気づけば規模も大きくなっていて。オリンパスとの仕事の両立が難しいと思い、オリンパスは退職し、WHILLに専念することいしました」

業務時間外で行っていた活動が、自分にとってかけがえのない仕事となり、そして世の中の社会的な不安や物理的なリスクを感じている人の助けとなっている。自分では想像もつかなかったキャリアを歩んでいる福岡さんだが、最後にこう語った。

「20代の方は今のつながりをとにかく大事にしてほしい。自分はオリンパス時代に付き合いのあった、弁理士や試作メーカーの方と今も一緒に仕事をしています。起業したてで信用もなかった自分を真っ先にサポートをしてくれたのは前職で付き合いのある方々で。今でも心から感謝しています。だからこそ、若い人は今一緒に仕事をしている仲間や関係会社を大切にしてほしい。そこで築いた関係性は何年経っても自分にとっての財産になります」

20代の貯金が“18時に帰るニュースデスク”を可能にしている

BuzzFeed Japan ニュースエディター 小林明子さん

BuzzFeed Japan ニュースエディター 小林明子さん

毎日新聞社、朝日新聞出版で働いた後、2016年9月にBuzzFeedJapanへ転職した小林さん。これまでのキャリアを振り返って、転職のきっかけはライフ(生活)とキャリア(仕事)、この2つの理由があったという。

「新卒で毎日新聞社に入社し、新聞記者として働いていたのですが、28歳のときに身支度を整えていたら白髪を3本見つけて(笑)。20代このまま終わっていいのかと思いました。これがライフの理由です。また、キャリアについては事件、事故など起こったことを書くのではなく、自分で見つけたテーマを書きたいと思ったので転職することにしました」

当時、小林さんの夫が上京していたため、彼女も後を追いかけるように東京へ。毎日新聞社を退職後はしばらくフリーのライターとして活動していたのだが、縁もあって朝日新聞出版に転職。週刊誌AERAの記者として、働き方や子育てなどのテーマを中心に取材などを手がけていった。そんな彼女が一転、ネットのメディアへ転職を決めた背景には何があったのだろうか?

「こちらにもライフとキャリア、2つの理由があります。ライフについては朝日新聞出版で10年間も働き続けると管理職の年齢になりますが、週刊誌の管理職の場合、校了日は会社にずっと居続けなければいけない。それはこども2人を育てている私にとっては難しいなと。もう少し違った働き方もあるのではないかと思いました。

キャリアの理由はインターネットのメディアに可能性を感じたからです。BuzzFeedJapanはニュースだけでなくエンターテイメント系の記事も手がけていて、そうした記事は10歳の息子も読む。そんなメディアでニュース記事を出せば、こどもたちもニュースを読んでくれるんじゃないか。そう思ったので、少しフィールドを変えてニュース記事を手がけてみることにしたんです」

現在、BuzzFeedJapanのニュースエディターとして活躍している彼女だが、特徴的なのは“18時に帰るニュースデスク”に挑戦していること。時間を問わずに働き続ける。そんなイメージが根強い記者の働き方としては、非常に珍しい事例だ。

一体どのようにして、18時退社を可能にしているのだろうか?小林さんはこう語る。

「現在、18時に帰るニュースデスクに挑戦しているのですが、なぜこうした働き方ができるのか。それは20代の貯金があるからです。わたし自身、20代のときに記者のトレーニングとして、警察署をまわったり、電話をかけまくったり、30行の記事を1日に5〜6本書いたり……。

そうしたことをひたすら繰り返して、たくさんの引き出しを作りました。その引き出しがあるからこそ、目の前の仕事にかかる時間がおおよそ把握でき、限られた時間の中で最大限の成果を発揮できます。キャリアを振り返ってみて、20代は貯金の時期だと強く思うので、20代の方にはすごく頑張ってほしいなと思います」

また、小林さんは働くママの転職についても触れた。

「こどもがいて転職できるんですか、という質問をよくされるのですが、答えはできます。むしろ、いた方が強みになることもあります。ただし、気をつけなければいけないのが『今の会社じゃ働きづらいから転職します』とライフ(生活)のことだけを考えた転職ではないこと。ちゃんと『キャリア(仕事)』のことを考えないといけない。次の会社で何をしたいか、それを明確にしなければ転職は難しいと思います」

今回三者三様、様々な立場、視点で働き方、キャリアについて語られた。昨今、働き方に関するニュースを目にするようになったが、自分らしいキャリアを歩むのに大切なのは周りの情報に流されず、自分の心の声に従って行動しつづけることではないだろうか?自分のキャリアにふと迷いそうになってしまったときは、井川さん、福岡さん、小林さんの働き方が参考になるかもしれない。