業務効率化から文化交流まで。チャットツール「Slack」の使い方を5社分聞いてみました

DAU(デイリーアクティブユーザ)数500万人を超えたSlack。日本でも「Slackがないと仕事にならない」方も増えてきているのではないか?

そんな筆者もSlack中毒者の一人で、社外の方と進めるプロジェクトでさえもSlackで連絡を取り合うケースがほとんどだ。いろいろな企業の方とコメントをやりとりしているうちに、emojiの使い方ひとつをとっても、チーム独自の使い方やカルチャーがあるのを発見。とても気になる!そこでSlackをどう使いこなしているのか、5社の社内Slack事情を覗いてみた。

オタク文化や外国文化をチームで共有:Tokyo Otaku Modeの場合

日本のサブカルチャーコンテンツを海外向けに情報発信し、関連グッズのECサイトを運営するTokyo Otaku Mode。同社がSlackを導入したのは2014年8月のこと。今ではSlackに依存しすぎてmentionがないと動かなかったり、メール全廃を唱える社員が出たりしているという。

TOMの開発を支えるbotやインテグレーション

開発チームが作るお役立ちツールはその人の名前を冠することが多いそうだ。

リリースを準備するbotmai

botのほかインテグレーションも有効活用している。自動テストの結果をレポートするCircleCIや、Webサイトのヘルスチェック・アラートの通知をするPingdomへの連携のほか、GitHubのインテグレーションを自作。GitHub内でのメンションをSlackに通知させるのみならず、Slack内のusernameとGithHubでのuser nameが一致しない場合でも、自動変換して通知するというスグレモノ。

オタク文化・外国文化を学ぶチャンネルも充実

日本のオタク文化を海外に発信するというTokyo Otaku Modeならではの使い方だが日本国外の文化を知るためのチャンネルが充実している。#cultural-feedbackというチャンネルでは、「(日本の慣習に対して)外国人はどう思うの?」という質問に、外国人メンバーが答えている。雑談部屋も#freetalkと#free_talk_in_english(前者は日本語、後者は英語の雑談部屋)の2種類が存在するのだとか。

趣味のチャンネルも豊富。四半期ごとには新しいanime channelが立ち、現在は #anime_2017_winterが盛り上がっている。#animal という動物画像を貼って愛でるチャンネルでは、流行中のアニメ「けものフレンズ」で認知度が上がったサーバルキャットの画像が貼られたそうだ。

アニメやマンガ以外にも、筋トレにはまっているメンバーが方法や器具、食事制限などの情報を交換する#muscleのほか、終業後に卓球メンバーを募る#pinpon、#DJなどさまざまな趣味のチャンネルが揃っている。

人気のカスタム絵文字

アニメやマンガ由来のオリジナルemojiが400種類以上。

中の人からひとこと

元々は一部で別のツールを導入していましたが「Slackが良いらしいぞ」というネットなどの情報から、一部メンバーが試用を開始。もともと使っていたツールと比較し、Slackのほうがいいぞ!となって全面移行しました。決め手は発言者のアイコンが出ることと、Mentionが1個所で管理されるため見逃しがなくなったこと、通知設定の細かいコントロールができることだったと思います。
(エンジニア:ポチさん)

動く絵文字でリアクション:freeeの場合

スタートアップやフリーランスにはおなじみのクラウド会計ソフト・freee。2015年の7月から利用開始し、現在は750以上のチャンネルに300人超がジョインしている。Slack導入理由はいくつかあるものの、アイコン表示機能が気に入っているとのこと。

以前使っていたチャット(アイコンなし)ではDaisuke, Masato多すぎて区別できない問題が発生したが、Slack導入により無事解決したそうだ。

なんでもござれの「sushi」bot

同社Slackで八面六臂の活躍を見せるのが自作のsushi botだ。botを最初に作ったエンジニア(@yo_waka)さんが寿司好きだったからこの名前になったのだそう。

botが開発された当初はAPIでの画像・動画検索や特定の言葉に反応する機能のみだったが、現在ではGitHubとJenkinsを利用したプロダクトリリース時のデプロイも可能に。

アイコンには寿司ゆきを利用

そのほかsushi botの役割は多岐に渡る。特定の呪文で部屋のシャッターを解錠したりCO2を測ったりなどマルチにできる切れ者かと思いきや「かわいい」という褒め言葉に照れるなど、freee社員を魅了している。

今ではbotのテスト目的で立てられたチャンネル#osushi が、全社員の雑談部屋になっているそうだ。sushi botの他にも、来客や通知するentrance botなど、数種類のbotが活躍中。

嬉しいときはemojiで祝う

新規機能のリリースやプレスリリースなど、みんなで祝いたい時にもSlackで祝うそう。

freeeの価値基準を表す自作emoji。誰かの発言が「これは価値基準に当てはまるのでは!」と思ったときにリアクションするのだとか。

freeeの中の人達は動く絵文字が好きすぎる

動作チェックをする #emoji には、絵文字の発言が並ぶ。


この2つの絵文字は良いことがあったときによく利用される。下はあえて残像を残しているそう。

中の人からひとこと

freee価値基準のひとつに「あえて共有する」というものがありますが、Slackを使うことによって、他の人のことや他のチームのことを知れて円滑なコミュニケーションができていると思います。

とは言え、「Slackのメッセージが追えない」、「なかなか反応できない」などいろいろな人もいるので、その人に合わせた使い方やカスタマイズが必要だと感じてているので、現在Hack考え中です。
(エンジニア:廣野さん)

各種レポートはSlack上で確認:ビザスクの場合

さまざまな業界・職種のプロフェッショナルを、ビジネス課題を抱える個人・企業とマッチングするWebサービス、スポットコンサル「ビザスク」を運営する株式会社ビザスク。当初は他サービスを利用していたが、開発メンバーの強い要望もあり、2015年8月からSlackが全社導入されたという。

botを自由に使える環境が欲しかった

開発チームから「botを容易に使えるようにしたい」という要望があったのも、Slackが導入された理由のひとつ。チケットのアサイン状況を可視化するGitHub-botのほか、障害発生時に通知するbotなど数多くのbotが稼働中とのことだ。

導入当初から開発メンバー以外にも積極的に利用してもらえるように、励ましや占いなどのbotも用意。またcustomizeというコマンドから、botの応答を編集するページを呼び出せるようにし、開発メンバー以外でも容易にbotを触れるように意識。結果開発も予想しなかった使われ方がされるようになってきているという。

自己トレーニングに余念がないメンバーがいるようだ

レポートを定時ポストし情報を集約

KPI & VisitorsOverview:全社KPIや利用状況をDailyでポスト
マッチングレポート:アドバイザーと依頼者のマッチング状況をDailyでポスト

これ以外にもいくつか定時ポストに設定。GoogleAnalyticsやmixpanel等のアクセス解析ツールと連携するサービスを使用し、必要なレポートをコマンド一つで呼び出せるように簡便化している。

人気のカスタム絵文字

「励まし合う」文化を作るため、発言には積極的にリアクションしているとのこと。メンバーひとりひとりのemojiも自作している。

中の人からひとこと

Slackは会社全体の業務効率化という意味で非常に役立っています。その仕組み自体はエンジニアメンバーが作ってくれていますが、botや仕組みのアイデアは日頃のミーティングやランチ等の雑談から生まれています。一見くだらないbotも含め試行錯誤しながら、コミュニケーションが活性化している組織を作っていければと思っています。(広報:田中さん)

botでラクラク工数管理:サーバーワークスの場合

AWSの導入支援を手がけるサーバーワークス。社内でオープンに使えて、かつ後から追加されたメンバーも履歴を追えるチャットツールを探していてSlackに出会ったとのこと。現在650チャンネル、ジョイン人数は100名ほど。

案件毎の利益率を集計する工数管理ブリ

エンジニア比率が高い同社ならではのbotが「工数管理ブリ」。案件ごとにかけた工数を集計し、それそれの案件の利益率を計算する。

ブリbotにはGitHubが提供するbot開発フレームワークのHubotを利用。特定の手順で自分のジョブを投稿し、ジョブを切り替えるたびに同じ手順で投稿を実施する。1日の終わりに「集計して」とメンションすると履歴を取得し、メッセージのタイムスタンプの差から各タスクにかけた時間を集計するという仕組みだ。グラフでも出力できる。

工数管理だけでなく、ちょっとしたリアクションもくれるそう。詳しい仕組みはこちら

通知系チャンネル

監視がエラーになったときなど、システムの障害を通知するチャンネルが50種ある。

AWS関連の情報収集は欠かさない

やっぱり絵文字が好き!!

サーバーワークスでは約1100種類の絵文字の約50%が、3人の絵文字職人から生み出される。Add reactionに使える絵文字が多く、絵文字だけで応答が成立してしまうほど。

中の人からひとこと

Slackの真価は、「お疲れ様です」で始める必要がないのが最大の利点ですね。「そういえば、あの件ってどうだっけ?」と突然メッセージを送っても違和感がない。そしてすべてオープン。社内のコミュニケーションの壁を大きく減らすのに貢献してくれています(技術1課:鎌田さん)

起業家の卵が情報交換:メディアインキュベートの場合

2016年3月に創業以来、事業会社のメディア運営・マーケティング支援を手がけるメディアインキュベート。Slackを活用して、同社のクライアント同士も協業し合うコミュニティを形成しているそうだ。現在、47名45社がジョイン中。

新規事業を目論む人々の梁山泊に

同社のクライアントは起業志望者や、新規事業の立ち上げを考えている人が中心。そんな彼らのハブとなるのがSlackだ。チームではプロジェクト固有のチャンネルを立てるだけでなく、一部チャンネルを誰でもjoin可能にし、クライアント同士が交流し合えるようにしている。資本政策や資金調達について相談する #finance や、新規事業アイディアを議論・ブラッシュアップする #newbusiness などで新規事業をもくろむ人々が集い、意見を交わし合う。

お互いの知見の共有はもちろん、意見を交わしながら仲間を見つけたり、お互いのビジネスにつながる人を紹介しあうことも少なくないのだとか。

新規ジョインした人向けにSlackマニュアルを作成・展開

Slackはチャットツールのため、情報が流れがち。そこで#general にSlackマニュアルを展開。Google Docsで各チャンネルの概要や流れを説明し、新しくjoinした人でも会話に参加しやすいようにしている。このドキュメントは社長自身が日々更新しているそうだ。

中の人からひとこと

Slackをきっかけにした情報交換を通じて事業を作れたこともあり、同じテーマに関心のある方々が交流を深めるには非常にいい場なのかな、と感じています。気軽にコミュニケーションできるツールがあることで、新規サービスが生まれるきっかけとなっており、弊社が関与しない結果となったとしても、事業創出を支援したいという思いは達成できています。今後もSlackなどを活用して、メディアの課題解決をするような事業を作っていけたらと思います。(代表取締役:浜崎さん)

Slackは業務改善だけでなく、メンバーとのコミュニケーションを「楽しむ」にも最適なツール。あなたのチームに最適な使い方を、ぜひ見つけてほしい。