“聴き手の正義”を貫く投稿サイト「音楽文.com」 ロッキング・オン、原点回帰の思い

“ロキノン”の相性で親しまれる音楽雑誌『rockin’on(ロッキング・オン)』『ROCKIN’ON JAPAN(ロッキング・オン・ジャパン)』。ロック・フェス「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」なども企画制作するロッキング・オン・グループが今年2月、投稿サイト「音楽文.com」を立ち上げた。

一般ユーザーの投稿にロッキング・オンの各メディアの編集者たちがくまなく目を通して、平日毎日1本以上の記事をアップ。さらに、ひと月ごとに月間賞を選考し、賞金まで出すというのだ。いったい新サイトには、どんな狙いや想いがあるのか? 同社の取締役でウェブ・コンテンツ管理事業部部長の宮嵜広司さんと、サイト制作の管理を担う次長の阿部巧さんに話を伺った。

阿部さん(左)と宮嵜さん

創業から変わらないマインド“聴き手の正義”

――高校時代から『ロッキング・オン・ジャパン』を愛読していたので、「音楽文.com」ローンチの発表を知って、ぜひ詳しく話をお聞きできればと思いました。はじめに、前身である「音楽文 ONGAKU-BUN 大賞」設立のきっかけから教えてください。

宮嵜 まず、我々ロッキング・オンには、“聴き手の正義”という理念があります。

――正義。

宮嵜 はい。ロッキング・オンという出版社の原点は1972年、代表取締役の渋谷陽一が21歳のときに創刊した同人誌なんです。当時の音楽シーンでは、60年代からどんどん新しいロックの表現が開拓されていき、70年代になると冷戦といった時代背景を反映して、どんどんシリアスになっていった。リスナーもそのメッセージを受け取っているにもかかわらず、日本のメディアはそこまでキャッチアップできていなかったんですよ。

ならば、自分たちでメディアを作ろうということで、同人誌『ロッキング・オン』が創刊され、その後ロッキング・オンという会社が始まったんです。いわゆるプロのライターではなく、ロック喫茶に集まっているような人たちが、当時の既存メディアで書かれていないことを発信しよう、と。基本的にそのマインドはずっと変わっていません。これまで創刊した雑誌も、弊社が企画制作している「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」のような音楽イベントの考え方も同じなんですね。それを、我々は“聴き手の正義”と呼んでいます。

――何をもって“正義”としているのでしょうか?

宮嵜 「プロのライターが書いていることは自分たちにとってリアルじゃないこともある。聴き手である僕らの言葉で語ろう」ということですね。それはフェスも一緒で、僕らはイベントを始めた当初は単なる素人でした。でも、客として参加した回数はたくさんあるので、参加者の立場ではものすごい経験値がある。だから、それを“参加者の正義”と考えて、イベントのあり方を僕らなりに作っていったんです。

つまり、音楽を受け取る側が考えることで、いろんなことが起こせるのではないか、と。受け取った側でメディアを作ろう、フェスを作るんだったら、参加者の目線でフェスを作ってみよう……それがロッキング・オンの全員が共有している“正義”、基本理念です。

『ロッキング・オン』や『ロッキング・オン・ジャパン』でも、今でもずっと投稿ページを設けて一般の方の原稿を載せて間口を開いてきましたが、改めて原稿を通して人とコミュニケーションするっていうのはすごく重要だなって思ったんです。書き手ともっとたくさん出会いたいのはもちろん、音楽について書く人は僕たちがシンパシーを感じられる人なので、何か一緒にできないか?という思いが高まっていった。そのための一つの装置として、この「音楽文 ONGAKU-BUN 大賞」を創設しました。

そして、単にライターを募集するのではなく、新たに「音楽文」という造語を作って、そこに賞金をつけて告知をしたらどれくらい集まるのか。これが「音楽文 ONGAKU-BUN 大賞」によるトライアルなんです。僕らロッキング・オンはそもそも書き手の集団だっていう意識があったので、やっぱり書き手と出会いたい。その想いが発端でした。

――すでに信頼関係を築いている音楽ライター以外、在野の書き手にアプローチするために、「音楽文.com」を作ったということですか?

宮嵜 これまで僕らは多くのライターと関わってきましたが、世の中にはもっとたくさんの声があって、そういう人たちともっと出会いたかった。雑誌だと掲載する物量に制約はありますが、弊社は10年前から音楽情報サイト「RO69(アールオーロック)」も始めたので、ある意味、限度はない。書き手は何人いても困りません。

ネット社会になって、誰もが当たり前のようにSNSや個人ブログで発信ができる時代になりました。これは私見なんですが、最も活発な音楽サイトってTwitterなんですよ。ライブやフェスの後にチェックしてみると、Twitterが一番ビビッドでリアルタイムでアクティブなんです。投稿者のツイートは鋭いし、僕らでは感じ得なかったものを捉えた発言もある。そういった書き手と出会うための回路が「音楽文.com」という形で、正解かはわからないけど、とりあえず“広場”を作ってみようという思いです。

――単なる投稿サイトではなく、月間賞に賞金を設けているのは、先行投資をして、新しいライターさんを発掘したい意図があるのかなと思っていました。

宮嵜 僕らは新しい才能・アーティストに出会うことに貪欲です。だからこの投資は、我々にとってはあまり違和感のないものでしたね。雑誌やフェス、音楽情報サイトなど、今ここで働いている自分たちもかつてそれを見たり読んだり参加したりして集まっているのがこの会社で、それはなぜかというと、ロッキング・オンがこれまで提供してきたそういう“広場”で、自分の一生もののバンドに出会ってきてるからなんですよ。

たとえば、このバンドが好き。じゃあどこで出会ったのか? 『ロッキング・オン・ジャパン』を読んでいて知ったと。私にとって一生かけがえのないバンドを初めて見たのはどこだった? たまたま友だちと行ったフェスで見たとか、そういうきっかけの場所を僕らは作りたいと思っていて、そこが紙媒体だったりウェブというメディアだったり、フェスやイベントというリアルな場所になったりしているんです。

今日初めて聴いたビートルズを語る文章にも価値がある

――「音楽文 ONGAKU-BUN 大賞」の受賞作品は、知識よりもエモーショナルというか、ロッキング・オンの記事とすごく似ていると感じました。

宮嵜 もちろん、正しい情報が書き連ねてある文章のバリューは絶対にあります。ただ、逆に言えばそれでしかないというか。まさしくこのウェブの時代なら、そういった情報はどこか調べれば必ず出てくるんですよね。たとえばグルメ記事の場合、素材の原産地まで事細かに書いてあるレシピの有用性は理解しますが、僕らとしては純粋においしさの感想を突き詰める文章に親近感を持つんです。

だって、新しい音楽と出会った瞬間に、「10年間このバンドやっているから、そりゃ音がいいに違いない」とか、「このギタリストは、前にこういうバンドでこんな曲作っているし、このフレーズっていいよね」なんて、考えないですよね。そういうのは後で知る付録的な知識というか。やっぱり聴いた瞬間のインパクトが、何かしら自分の中で引っかかるわけじゃないですか。

だから「今日初めて聴いたんですけど、ビートルズについて語ります」だって、全然OK。知識が豊富なオールドファンの見解もいいけれど、誰かが初めて聴いたビートルズの論評が素晴らしければそれはそれで構わないし、むしろ多くの共感を呼ぶことだってありえます。

――どこにどんな共感があるのか、確かに千差万別ですよね。「音楽文 ONGAKU-BUN 大賞」や「音楽文.com」の選考に際して、重視している点はありますか?

宮嵜 抽象的かもしれませんが、アーティストだったりその曲だったり、そこにそれを受け取った本人がどれくらい向き合っているかを重要視しています。対象物をどのように捉えたか、他人にとって意味があるように書かれているか。この2つがポイントです。

――他人にとっての意味ですか?

宮嵜 はい。単に「おいしかった」みたいな感想ではなく、「なぜこれをおいしいと思ったのか」が重要なんですよ。「私はこういう人生を歩んできて、こういう味覚なので、これについて辛いと思った。そしてそれが自分の人生にとって意味がある」って言われると、他人がその“辛い”に意味を見出すことができる。単においしいでは、その人だけの感覚であって他人にはわからない。表現物に対してちゃんと向き合っている原稿は、この理由づけがしっかりしています。

――過去3回の「音楽文 ONGAKU-BUN 大賞」には、どのくらいの応募がありましたか?

宮嵜 各回1000人ほどですね。文学賞への応募として、この数字が多いのか少ないのかわかりませんが。雑誌の投稿募集は、僕が『ロッキング・オン』の編集長だった98年頃は毎月100通くらいでした。現在は当時より減っているので、数ヵ月間の募集でこれだけの数が来たのには驚きましたね。やはり、ネット投稿が応募の敷居を下げたのかもしれません。

阿部 トライアルのつもりだったので、雑誌媒体の誌面と「RO69」のバナーと告知記事、公式Twitterアカウントのツイートくらいで、そこまで大々的な告知はしていませんでしたよね。

宮嵜 だから、集まるかどうかなんてまったくわかりませんでした。まぁ、何が成功・失敗かわかってなかったし、10通でも成功だって思ったかもしれないし、1万通来ても失敗だと思う可能性はあった。そういう意味では、予想以上にみなさんすごくいい文章を送ってくれて、受賞作品を選ぶのに難航しました。

――受賞された方の年齢層がかなり幅広いのが印象的でした。

宮嵜 応募者でいうと、最年長は70歳でした。

――70歳の方が!?

宮嵜 ちなみに、その方はロックじゃなくて、確か浪曲についての文章でしたね。だから、どこから知ってくれたのか僕らもよくわからなくって(笑)。ざっくりとした「音楽文」と書いてあるので、何かで引っかかって興味持っていただいたんだと思うんですけど。雑誌媒体だけの募集では絶対に来ていないだろうな、と。

あと、第3回の選考で感じたのは、応募テーマの多様性がいっそう広がったことですね。ロッキング・オンってやっぱりロックが中心にあるので、音楽ジャンルを網羅しているかっていうとそんなことはなくて、あくまで一部でしかない。でも、この回の最優秀賞のテーマはSMAPなんですよ。世の中的にはど真ん中のSMAPは、ロッキング・オンのど真ん中ではないけれど、素晴らしい原稿でした。完全に予想外で、本当にやってよかったなという喜びの一つですね。

――もう一つの最優秀賞が「西野カナを定義する」というのも、すごいですよね。

宮嵜 はい、この原稿もよかったですね。SMAPと一緒で西野カナさんもロッキング・オンのど真ん中かっていうと、そうではない。そういう意味では、第3回は非常にシンボリックでした。だから、今までの媒体の運営ではなく、この賞を作ったからこそ広がった、広げてもらったという印象がすごく強いですね。

ロッキング・オンの最大の財産とは?

――過去3回の受賞者の中で、ライターとして活動され始めた方はいらっしゃるのでしょうか?

宮嵜 はい、すでに僕らと深く一緒に働いている人もいます。本当に期待通りかそれ以上、我々のメディア活動にご協力いただけそうな人と多く出会えています。

書き手には2種類あって。音楽ライターは当然、書き手としての幅が広いほうが、僕らも発注しやすい。最初はこの賞をきっかけに、そういう人と出会おうとしていたんです。ところが、これは一生に一本書けるか書けないかだと思うような原稿を書く人もいて。その人は音楽が幅広く好きなわけではないけれど、特定のアーティストへの熱量があって、それについてならものすごくいい原稿が書ける。

たとえば、第2回の受賞作品「PRINCE 1958 – 2016 -」は、ご自身の結婚からお子さんのことまで、何十年という人生そのもの。こういう原稿って一生に一本なんですよ。いわゆる音楽ライターにはできない歴史の厚みと、まさしくエモーショナルな思い出が詰まった原稿なんですよね。そういう原稿に出会えたのが、今回の試みで想定外でした。

こういう文章は、読んでくれた人のリアクションもちょっと違うんですよね。同じアーティストのファンはもちろん、そのアーティストをあまり知らない人も、これだけ愛し続けているという思いの寄せ方に共感してくれる。そういったコミュニケーション回路は本当にやってみて予想外といいますか、この取り組みを通じて僕らが教えられたことですね。

――ブログやTwitterなどで誰でも自由に発信できる時代に、ロッキング・オンのブランドを掲げて投稿文を公開する理由は何なのでしょうか?

宮嵜 僕らの会社の一番大きな財産は何かというと、お客さんなんですね。“聴き手の正義”の話にもつながるんですけど、お客さんがそこにいるっていうことが、ロッキング・オンの最大の強みです。

『ロッキング・オン・ジャパン』という雑誌には、紙媒体として日本最大スケールの読者がいます。昨年夏のフェス「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル 2017」には4日間で27万人、年末の「カウントダウン・ジャパン 16/17」では、18万人の方にご参加いただきました。僕らにとっての財産は、もちろんロッキング・オンのブランドでもあるのかもしれませんが、一番はそこに集まってくれるお客さんなんですよね。

音楽について読みたい人は、ロッキング・オンの媒体の向こう側にいます。僕らがこの「音楽文.com」でやっているのは、「あなたの書いたその文章を、その人たちの目の前に置いてみませんか?」という仕組みを作っていくことだけなんですよ。そこにケミストリーが起こるんです。一生に一本ものの原稿を書いてくる人もいれば、プロのライターの素質を備えている人もいる。西野カナの文章を書いて「音楽文ONGAKU-BUN大賞」に送ってくれた方は、早くも「音楽文.com」にも投稿してきていて、今度はくるりのライブレポートなんですけど、これがまたすごくいい原稿でした。

そして、Twitter上で「音楽文」というワードで検索すると、そこには投稿してくれた人、読んでくれた人の感想がいっぱい書かれている。顔も知らない人が自分の原稿に感動したとか書いてくれているのを、きっと彼らは見ていると思うんですよね。

――これまでのお話の中で、コミュニケーションが一つのキーワードだと感じたんですが、「音楽文.com」上で、感想が見えないようにしているのは何か意図が……?

阿部 それは今後の膨らませていきたい部分ですね。実は、サイトの立ち上げが決まったのが1月19日の午前11時で、ローンチが2月27日の19時だったんですよ。これまで3回「音楽文 ONGAKU-BUN 大賞」を実施して、受賞作品以外にも読んでもらいたい原稿がたくさんあった。だから掲載の仕方も募集の仕方も変えよう、と。それをとにかく早く形にしたくて。

宮嵜 1000本ある原稿の一部しか載せられないけど、もっとアップしたい……でも、そうすると賞金がかさむ(笑)。賞金は「大賞」のときみたいには出せないけれども、どんどん掲載はできる仕組みに変えちゃいたい、と。読んだ人の温度感をどうサイトに反映していくかは、これから検討していきます。平たく言うと「いいね」のような機能で、コミュニケーションがその場で可視化されていくのかな、と。

「音楽文.com」は、ロッキング・オンの原点回帰

――今後デジタル分野で、ロッキング・オンが新たに取り組みたいことはありますか?

宮嵜 1972年の同人誌からスタートし、2017年に一般からの投稿を集めたメディアができたのは、まさにロッキング・オンの原点じゃないか、と思っています。45年たって一巡りした。ネットの普及とデバイスの進化によって実現できたのは、今の時代だからこそですね。

とはいえ、昔から変わらずやりたかったのは、やっぱりリスナー同士のコミュニケーションによっていろんなことが生み出される場を作ることです。それによって今までロックや社会の変革が起こっていったので、そういったコミュニケーションの一助になればいい。「音楽文.com」に限らず、そのほかの事業についても、音楽を通じた出会いの場所をロッキング・オンがいろんな形で作っていきたいと思っています。ウェブでもリアルの場でも、多様な場を提供するのが僕らの一つの方針なので。

ただ、ここで課金させようとか広告を入れようとかは、あんまり考えてないんですよね。新たな場をすぐにビジネスにしなくても、僕らの屋台骨が崩れるわけでもないですから。できる限りのそういう場所を作った後で、結果的に事業として発展すればいいと考えています。

――読者ファーストというか、読者ありきの考え方ですね。

宮嵜 僕らが読者だったからですね。利益をまず念頭において事業を進めようとはあまり思っていないというか……思ったほうがいいんでしょうけど(笑)。結局そういった考えでやり続けたことで、雑誌媒体は“ナンバーワン雑誌”と呼んでいただいていますし、国内のフェスで、一番お客さんに入っていただいています。このやり方が僕らのビジネスとして王道なんだと思っているんですね。「今日10円儲かるわけじゃないけど、10年後にこれ1万円になるんじゃない?」みたいな考え方といいますか。

何事もやり続ければいつか成功するに決まってるんですよ。だから、始めたものは基本的に止めません。アイデアとして出ているけれどまだ実現できていないものはたくさんありますが、やり始めたものについては成功するまで死ぬ気でやるっていうか、延々と続けています。

――収益が悪かったり反響がなかったりすればすぐ撤退する選択肢もあるはずです。短期スパンでの結果は求めていないのでしょうか?

宮嵜 そうですね。メディアビジネスは時間がかかるものと思っていますから。『ロッキング・オン・ジャパン』も創刊7〜8年目には廃刊しようかという話もあったくらい成功しない時期も経験していますし、フェスだって初回は悪天候で2日目が途中で中止になりました。すぐうまくいくなんてことはないんです。

ただ、読者ファーストでやっていくと、ビジネスとしてすぐに成功しなくても読者や参加者は増えていく。これは僕らにとって一つの大きな成功です。関心の高まりは何かにつながるはずなので、止める理由がありません。

――昨今、ウェブメディアが乱立しています。コンテンツづくりについては一日の長があるはずの出版社によるウェブメディア、特に音楽メディアはどういう方向に舵を切っていくべきだとお考えですか?

宮嵜 現況として、出版社でウェブメディアを真面目に運営しているところって少ないんですよ。一般的な出版社のサイトって、いわゆる告知じゃないですか。情報サイトとして運営しているところは、実をいうとあんまりない。雑誌で情報を売っているのに、ウェブサイトに無料で情報を出したら、当たり前ですけど“カニバる”んですよね。だから、紙媒体の出版市場はどんどんシュリンクしていった。なのに、なんでロッキング・オンはこれやってるんだろう……なんて、今さら思うわけですが(笑)。

ただ、読者に情報やメッセージを伝えるのがそもそも仕事なんだから、僕らにとってコミュニケーションチャンネルは多いほうがいいに決まっているんです。だからウェブメディアも真面目に運営する。それが“カニバってる”とは思わない。社内でもそういった論争にはならないんですよ。紙媒体の編集者がウェブにも関わっているのに。

――「RO69」もオリジナルコンテンツが多いので、住み分けしているんですかね。

宮嵜 そうですね。同じライブレポートでも、雑誌とウェブで変えています。いわゆるちょっとプロモーション的に、雑誌の記事を少し早い段階で載せる場合もありますけど。普通そこまでやろうとしないですよね。

阿部 僕はもともとIT企業からの転職で入社したんですが、ロッキング・オンは45年の歴史を持つ会社なのにIT企業と考え方が似ています。お客さんに支持されることをまずやって、お金のことは後から考える。逆に言うと、うんともすんとも言われないことにはすごく厳しいんです。「それは広場を作る場所と作り方を間違えてるんじゃない?」みたいな。

宮嵜 そう。結局、読者ファーストになっているか・なってないかだけなんですよね。そういう意味ではすごくシンプル。メディアやビジネスの考え方って、結局は支持されていれば成功、支持されていいないのが失敗、それ以外にないですからね。ただ、僕らは利益率がどうとかなんて、あまり考えたことがない。これからもこのスタンスは変わらないんじゃないかな?(笑)

――ありがとうございました。「音楽文.com」でこれから何が起こるのか、楽しみにしています。