ニッチなパワーワードでGoogle検索No.1!「せんべろnet」管理人に聞く、専門ブログ運営のコツ

「飲む!」となったら、心ゆくまでお酒が進む呑兵衛たち。たとえ財布の中身が心もとなくても、安ウマなツマミとキンキンに冷えたジョッキを尋ねて三千里……。そんな呑兵衛たちがの桃源郷があるのをご存じだろうか?

それは、“せんべろ”。「1,000円でもベロベロに飲める店」だ。

客単価は1,000円~2,000円ながら、納得できる味の鳥貴族や晩杯屋、かぶら屋等々……。依然として景気回復の実感がない中、これらのせんべろ店ではコストパフォーマンスの高さに引かれた多くの呑兵衛たちが、が今日も「かんぱーい!」とジョッキを交わす。

そんなせんべろ店を探して呑兵衛たちがたどり着くのが、「せんべろnet」というサイトだ。

“せんべろ”の検索回数は月に数万程度(Googleキーワードプランナー調べ)。ニッチではあるが、呑兵衛たちにとってはトップクラスのパワーワードだ。「せんべろnet」はその検索結果で最初に表示される。「店舗名 地域名」で検索すると、大手グルメサイト「食べログ」に次ぐ検索順位となるケースもあった。

運営期間は2年+αで記事は760本超。これらの記事は、管理者の「ひろみん」さんがほぼ1人で執筆・投稿しているという。筆者の体験したかぎり、情報精度は大手の飲食情報系CGMの上をいく。いったいどのように、この規模のサイトを個人で運営しているのだろうか? サイト運営と店探しのコツを教えてもらった。

個人運営の専門性の高いサイトで毎月70万~80万PVを達成

 

「せんべろnet」管理者ひろみんさん

――実は、私も「せんべろnet」にはいつもお世話になっています。よろしければ「せんべろnet」の現在のPVを教えてください。

ありがとうございます。2017年7月現在、月間で70~80万PVくらいですね。

――安い居酒屋情報という、ニッチなテーマのブログでその数字はすごいと思います。そもそも、なぜこのサイトを始めたんですか?

「せんべろnet」を始める前の3~4年くらいは、グルメサイトに投稿していました。たくさんの投稿をしていくうちに、レイアウトやデザインなどもっと自由に表現したいし、自分の投稿が結局自分のものではないのは何だかもったいないな、と。そこで、過去に別のテーマでブログを立ち上げたことがあったので、同じように「せんべろnet」もやってみようかな、と考えました。

――サイトの作り込みも、呑兵衛たちのハートをがっちりとキャッチしています。東京限定ではあるものの、地図から店舗情報を探せる「せんべろマップ」は使いやすいし、「金宮入れ放題」「昼飲み」「座りでお通し・席料なし」といったタグ(ジャンル)も、クリックしたくなる。こういった工夫は、ウェブサイト構築の知識がないとできないのでは?

実は、10年以上ウェブ業界で仕事をしています。グルメサイトを始めたきっかけも、最初は本業のUIチェックみたいなつもりだったのですが、結構ハマっちゃって……(笑)。1300軒くらいの飲食店について口コミを投稿しました。

――すごい投稿数ですね! では、「せんべろnet」のデザインなどもご自分で?

はい。デザインなどすべて自分でやっています。

――「せんべろ」という言葉との出会いは、いつ頃なんですか?

きっかけは、グルメサイトの中でよく使われていたからですね。それから立ち飲みや大衆酒場などの気軽に安く楽しめる酒場に通ううちに、「こういう安い金額で楽しめる居酒屋をなんて呼んだら一番わかりやすいかな?」と考えたときに、やはり「せんべろ」って言葉だろう、と。

せんべろをテーマにした理由は、やはりそういった酒場が好きというのが一番なのですが、ほかに特化しているサイトがなかったのもあります。自分がグルメサイトでお店を探すときに、金額で絞り込んでも、メニューを見ると予算オーバーだったり、その逆の場合もあったりするんですよね。なので、「1,000円程度で楽しめる酒場特集みたいなものがあればいいな」と思っていたので、自分でそれを作ってみたんです。

「お金が発生しちゃうと、つまらなくなっちゃう」

――自分が読者として読みたかったものを作っている、と。

そうです。「あったらいいな」とか「便利だな」って思ったものを作っています。私自身の備忘録という意味もあるし、自分が好きなお店をいろんな人と共有したいなっていう気持ちもありますね。「こんなお店あったよ」って酒場好きな人たちに共有して、それが役に立ったらとてもうれしいです。

――「せんべろnet」のSEOは意識されていますか?

一応考えています。やっぱりアクセスが伸びると広告収入が少し入ってくるので、サーバー代や飲み代の足しになればいいなって思いはあります(笑)。

――そういえば、過去に別のテーマでブログを作られていたんですよね?

はい。10年以上前になりますが、山手線のある駅に特化したタウン情報的なブログでした。主にグルメ情報を紹介する内容でしたが、当時は駅名で検索すると、ずっと検索結果で1位だったんですよ。

――それはすごい! 「せんべろnet」も検索に強いですし、ニッチな分野でこれだけ目立てば「せんべろの有識者として記事を書いてほしい」といったお話も来ているのでは?

寄稿してくださいという依頼はありますが、今はやっていません。忙しいというところが大きいのですが、寄稿後にすぐ修正できないことが歯がゆいというのもあります。飲食店は日々変わっていくもの。特に閉店や移転については、気付いたらすぐに自身で修正したいんです。

――お店側から記事広告の依頼はありますか?

ありがたいことに、たまにご相談をいただきます。ですが、記事広告としてお金をいただいくと、フラットな気持ちで書けないので、私の場合はつまらない記事になってしまうと思うんですよね。自由に楽しく更新していきたいので、お店側からお金をもらって記事を書くということは一切ありません。

素敵なせんべろ店を見つけるための目利きのコツ

新橋の立ち飲み屋で飲むひろみんさん。立ち飲み屋が数多く並ぶ新橋はお気に入りのエリアだそう

――実際に紹介されている店舗に足を運ぶと、どこも呑兵衛と彼らの財布にやさしい店ばかりです。取材が大変だと思うのですが、どれくらい活動されているのですか?

週4日程度で、1日あたり3~5軒くらいをはしごする感じですね。昨日も5軒くらい回ったので、まだちょっと二日酔い気味です(笑)。はしごが好きなので、1軒2杯くらいでサッと次の酒場へ。お店にもよりますが、立ち飲みなどで長居するのもよくないと思うので、だいたい1時間以内とか、混んできたら出ることが多いです。

ただ、取材活動のために飲みに行っているわけではなくて、興味を持ったり好きだったりするから飲みに行くんです。お店の方との会話だったり、何を飲んだり食べたりしたのかは、スマホでちょこっとメモ書きを残しますが。

――お店をはしごする際に気をつけてらっしゃることはありますか?

「何杯まで飲んだらまずいマズイ」って人それぞれあるじゃないですか。私は1日に8杯までと決めています。経験的に10杯を超えると、ろくなことがないので、気をつけています(笑)。

――飲み方は大切ですよね。ただ、それだけのお店を回るとなると、お店の情報をピックアップするのが大変そうですね。

読者の方や友人、酒場で出会った方からオススメされることもありますし、食べログのような口コミサイトのほか、TwitterやFacebookでも検索をしたりします。もちろん歩いていて偶然見つけたお店に入ることもあります。

――いいお店を見つけられる目利きの力もあるのでは?

目利きできているつもりはありませんが……まずは表に出ているメニュー表を見て判断します。酎ハイが300円以下で、カウンター席にお客さんが数人座っていたら、だいたい入ろうと決めますね。立ち飲み以外なら、お通しが出てくるかどうか、店構えでだいたいわかるようになりました。お通しの分、自分で好きなものを注文したいので、なるべくお通しがないお店を探しているんです。

――すごい目利き力じゃないですか(笑)。店構えはどういった部分を見ていますか?

一概には言えないのですが、飲み屋街で長年続いている大衆酒場や個人経営の居酒屋などにはお通しがない場合があります。最近は、チェーン店でもお通しがないところが増えています。

――お店に行ってから記事をアップするまでにどのくらい時間をかけていますか?

公開するタイミングは調整していますが、忘れないうちに書きたいので、できるだけ行った翌日には仕上げています。1記事当たりにかかる時間は、画像の加工まで含めて1時間くらいです。ただ、すごく気に入ったお店ほど、何を書こうか迷ってしまうので時間がかかるし、記事自体も長くなっちゃいます。

記事化するのは、「もう一度行きたい」オススメ店だけ

――これまでに訪問したすべての居酒屋を記事にしているのですか?

そんなことはありません。3分の1も載せてないと思います。自分と合わないお店や、予算を超えてしまったり写真を撮り忘れてしまったりという場合は、記事にしていません。「これが嫌だった」とか「これはまずかった」とか、あまりネガティブなことを書きたくないんです。なので、基本的にはまた行きたいと思ったお店のみ掲載しています。

――人に教えたくないお店もありますか?

いっぱいありますよ。小さな角打ちや個人店などあまり知られていないお店は、人に教えたくないというか、最近ではあまり紹介しないようにしています。本当に地元の常連さんだけが集まっているような、昔ながらの酒場も好きなんですけど、それが情報として広まってしまうのはよくないのかな、と勝手に思っています。「せんべろnet」自体の影響力が大きいわけではありませんが、避けています。

――一見さんでもウェルカムで、オススメできるお店を掲載しているんですね。過去記事も載せっぱなしではなく、マメに情報を更新されてますね。

古い記事は書き方に納得がいっていないものがあるので、気付いたときに更新しています。あとは、閉店・移転のようにお店の基本情報が変わったときも、できる限り更新しています。自分で気付くこともありますが、ありがたいことに、SNSや問い合わせフォームで「ここ閉店しましたよ」といった情報を読者の方が教えてくれることもあって。最近ではタレコミ情報でお店をオススメいただいたり、お店側から「飲みに来てください」というようなご連絡をいただいたりすることも増えました。

――取材依頼が来たときは、内緒で行くんですか?

最初から名乗ることはあまりありません。「せんべろnet」で紹介したいと思ったら、「ブログに載せていいですか?」と、帰り際にお声がけさせてもらっています。

おひとり様女性にもオススメできるせんべろ店とは?

店舗ごとに女性1人客の入店のしやすさと居心地を5段階で評価

――「せんべろnet」の情報には、「おひとり様女性の入りやすさ」「おひとり様女性の居心地」といった指標もありますよね。女性にオススメかを判断するポイントはあるのですか?

明確にチェックポイントを設けているわけではありませんが、お店のきれいさや女性の店員さんがいるかどうか、接客が親切かといったところを気にしています。あとは、お手洗いが和式か洋式かもですね。

――ご自身では、どういうせんべろのお店がいいと思いますか?

お酒やつまみが安くておいしい。おまけに雰囲気や居心地がよかったら最高ですね! そういった酒場とめぐり合えると、いつも胸が高鳴ります。お店の雰囲気や居心地は、そこに集まる人によって大きく変わってくるもの。私はホッとできる温かな酒場が好きなので、お客さん同士で軽く言葉を交わしながら、心地よい一杯が楽しめるお店は何度も通いたくなります。

更新の原動力は「見てくれる人がいるから」 今後の目標は?

――すっかり呑兵衛たちの間で地位を確立されていますが、もともと「せんべろ」のキーワードで検索順位1位にするという目標を持っていたのですか?

検索で1位になったらいいなっていうのはありました。でも現在は、トップページではなくて、なぜか「せんべろマップ」のページが1位になっているんですよね(笑)。

――次のミッションはトップページを検索上位にする、と(笑)

そうですね。あとは、掲示板みたいなコミュニティを前からやりたいなと考えているんですが、なかなか踏み切れなくて。せんべろ好き同士で情報交換できたら楽しいだろうなとは思っています。あとは、せっかくなので月間100万PVを目指したいですね。

――最後に、記事を定期的に作り続けるためのコツや気にかけていらっしゃることはありますか?

当たり前ですが、楽しみながらやることです。アクセスの変動やSNSの反響をチェックして、反応があるとやっぱりうれしいですよね。だから、サイトのSNSアカウントを作ったりPVなどの目標を持ったりして、楽しみながら運営していくことが一番だと思っています。見てくれている人が増えてくると、自然と楽しくなってくるのではないでしょうか。