業務管理の凄ワザツール「Trello」の使い方をRetty、Tokyo Otaku Mode、コードタクトに聞きました

タスク管理ツール「Trello」。2018年2月に日本語対応することでも話題になったが、筆者の会社でも社内外のタスク管理に長年Trelloを活用している。「より良い使い方はないか、他社のノウハウを聞きたい!」ということで、Trelloを使いこなすRetty、Tokyo Otaku Mode、コードタクトの3社に取材。ノウハウを教えてもらった。

Trelloで何を解決したか、どのように活用しているのかという基本的な話から、Chromeの便利な拡張機能・スクラムとの組み合わせ、リモートワークでの使い方まで余すことなく網羅する。

Retty株式会社 リスケジュールにも動的に対応

実名口コミグルメサービス「Retty」を運営しているRetty株式会社。同社はTrelloを使いタスクを徹底的にビジュアライズし、管理しているそう。同社エンジニア兼ディレクターの桑原勇介さんに話を伺います。

会社紹介・人物紹介

Retty株式会社
ソフトウェアエンジニア兼ディレクター
桑原勇介
日々のWeb周りの施策考案・実施に加え、サイトリニューアルといった大きめの開発ディレクションも得意。

Rettyではこんな風に使っています

ウェブ構築チームの日々の施策リリース管理、その後のPDCAサイクルの「見える化」など、施策の効果を最大化するために活用。プロジェクトごとに運営し、15人程度で使用。プランナーとディレクターが起点となってメンテナンスしています。メンバーの属性はプランナー(施策考案者、仕様作成者)、ディレクター(進行管理)、デザイナー、エンジニアとばらばらです。

Trello導入の経緯

もともとはアナログなカンバンフローでタスクを管理。シンプルにToDoを週単位で見られるよう、付箋にプロジェクトの内容を書いてホワイトボードに貼り、完了ステータスに応じて移動させていました。

ホワイトボードと付箋、ペンに慣れ親しんできたメンバーにも配慮し、Trelloはそれに近いビジュアルであることもポイントだった

Rettyではリモートワークなど、働く場所を柔軟に選択しているメンバーが多数います。プロジェクトによっては、開発エンジニアの約半分がリモートワークとオフィスワークを併用することもあります。
リモートワークのメンバーとはオンラインでタスクマイルストーンを共有したほうが円滑なため、物理的な付箋によるカンバンフローでは対応が難しくなったのです。結論として、オンラインでのタスク管理ツールが好ましいという発想になりました。

プロジェクトが遅延しても、即座にタスクへ反映

「リスケジュールへの動的な対応」という課題を解決するために、Trelloを使って最終的にどれくらいずれこむのか「見える化」しました。開発現場ではさまざまな想定外のことが起こり、プロジェクト進行が遅延することがあります。このような遅延を適宜、タスク管理に反映させる「リスケジュールへの動的な対応」という課題を解決するために、Trelloを使って最終的にどれくらいずれこむのか可視化しています。代表事例には以下のようなものがあります。

  • 見積もりの甘さ:作業工数、作業時間、組織内の調整など
  • 要件の差し込み:当初想定していなかった要件など
  • リソース確保:作業者への他タスクをブロックできていない

最終的にどれくらいずれ込むのかビジュアライズするため、Trelloのガントチャート(EleganttというChrome拡張ライブラリ)を組み合わせ、作業期間を簡単に把握できるように設定しています。また、Trelloのボードの複製やチェックリストといった標準機能を使い、タスクの振り返りと進捗管理を行なっています。

(1) Elegantt
開始日と終了日を設定するとガントチャートが利用できます。日付と期日を照らし合わせて期限到達に対してリマインドができるので、タスクを「やりきる」ことをサポートしてくれます。また、有償版のProユーザーになるとタスク同士の依存関係を矢印で結合できます。

(2) ボードの複製
月ごとに7月のタスク、8月のタスク……といった具合に、ボードを変更できます。強制的にタスクの棚卸しをする運用も可能です。「カードは使い捨てたいが、リストやラベルの設定を翌月も引き継ぎたい」というニーズにも対応。一から設定し直す手間を省けます。

(3) チェックリスト
カードの中の一つひとつの細かいTODOをチェックボックス付きのリストとして設定でき、タスクの達成に合わせて進捗率が表示されます。

Trelloを使う上で意識したいこと

(1) 個人の総タスク量の把握
各タスクの進捗管理がしやすい反面、Trelloではメンバー一人ひとりの総タスク量は把握しづらいのがネック。カードに対して複数名をアサインできてしまうことや、そのリストが物理的に横スクロールの画面に配置される各リストのいずれかに配置されているためです(特定の担当者のみにフィルタをかけることは可能)。

メンバーごとにWIP(Work in Progress; 仕掛かり作業)の上限数を意識していないと、うまくさばけなくなります。未アサインタスクをどう管理するかは、運用ルールとして考えておく必要があります。

ちなみにRettyでは、未アサインタスクは画像のようなカード置き場に配置しておく方法を取っています。アサイニーはセルフアサインしてカードをステータスに応じたリスト(画像の例:実装中)に移動させます。

(2) カード作成のルールづくり
自由度の高いツールのため、カード作成のルール策定が必要です。たとえば、粒度(作業工数の大小、期間の長短)の異なる作業をカードに記載する場合は、性質が異なるものはラベルで分けたり、タイトルにprefix(「バグ修正」や「リニューアル」などの接頭語)をつけたりするなどの工夫をします。

カード作成の観点は以下の通りです。

  • 粒度の統一:作業フェーズを大きく3分割。企画、進行管理、効果検証
  • 細かすぎないTODO:細かすぎると俯瞰した時にわからなくなる。大雑把すぎると進捗が見えなくなる
  • 必要な情報を集約:期間、期限の設定や、ラベル、メンバーアサイン、issueリンク

Rettyでは会社全体での具体的なルールはなく、チームに合わせて毎回フローを作り直しています。

具体的な例を一つ。仮の企画例です:「冬の鍋特集ページを盛り上げたい」。

企画(Plan)、進行管理(Dir)、効果検証(PDCA)という3つのフェーズでカードを作成しました。タイトルに入れているだけですが、ルールとしてメンバーに周知しているので機能します。TODOは目安としては2時間以上2日以内を1カードとして扱っています。
各項目の内容は以下のようになっています。

左から、企画(Plan)、進行管理(Dir)、効果検証(PDCA)の各々のカードの中身。チェックボックスでToDoを管理している

Tokyo Otaku Mode Inc. ラベル機能で直感的にタスク管理

海外向けに日本のアニメ・漫画・ゲーム・音楽・ファッションの商品を販売、最新情報の発信をしているTokyo Otaku Mode Inc.。同社はScrumのBacklog管理でTrelloを採用。同社開発チームの佐藤匡彦さんに話を伺います。

会社紹介・人物紹介

Tokyo Otaku Mode Inc.
VP of Engineering
佐藤匡彦(さとうまさひこ)
Product ManagerとしてTokyo Otaku Modeで開発・運営しているプロダクト全般の育成に従事しています。

Tokyo Otaku Modeではこんな風に使っています

Tokyo Otaku Mode開発チームでは、スクラムで利用するBacklogの管理にTrelloを利用しています。弊社ではTrelloはBacklogのように、小さなタスクリストの運用に適していると考えています。特に、Backlogの運用という観点では、直感的な操作で優先度の入替をできる点が有効です。
また、Trelloにはスクラム運営をサポートするプラグイン「Scrum for Trello」がサードパーティーから提供されていますので、そちらを利用してヴェロシティポイント(1スプリントでスクラムチームが完成できる仕事量)と、ストーリーポイント(ユーザストーリーに対し相対見積もりを行うこと)の予実管理も行っています。

開発チームのため、メンバーはサーバーサイドエンジニアとフロントエンドエンジニアが中心。しかし、タスク完了まで進行するには、他チーム(たとえばカスタマーサポートチームやマーケティングのメンバー、バイヤーといった属性)との連携が必要になり、適宜参加していただき20人程度で使用しています。

Trelloの良い点は、操作が軽快なところ。また、エンジニア以外のメンバーでも悩むことなく利用できるUIなので、非エンジニアメンバーへの導入コストが低い点もメリットです。

Trello導入の経緯

スプレッドシートでの管理やフィジカルなタスクボードと付箋紙での管理を行っていたほか、Githubのラベル機能やマイルストーンを駆使して運用していました。

GitHubと連携してかんばんのようなタスク管理が出来るwaffleやzenhubのようなツール群をいくつか試してみましたが、検索性能や挙動の軽快さという面でTrelloに落ち着きました。

ラベル機能とチェックリスト機能を使いこなす

拡張機能でラベルごとにマークをつけられる

オススメは、ラベル機能とチェックリスト機能。すべてのタスク(カード)に、弊社運営プロダクトに合わせたラベルや進捗状況を表すラベルを設定し、運用しています。また、ラベルによるフィルタ機能(絞込検索機能)を利用することで、多数のタスクの状況を視覚的に把握できるため、重宝しています。

ラベルは大きく分けて次の3種類に分けています。

  1. タスクの進行を視覚化するもの
  2. プロダクトを示すもの
  3. タスクの特徴を示すもの

1:タスクの進行を視覚化するもの
タスクの進行を視覚化するラベルを、さらに3つに分けています。

  • Reviewableラベル:Pull Requestをレビューして欲しい状態であることを示す
  • Mergeableラベル:リリース可能になったことを示す
  • Penddingラベル:何らかの理由で着手できないことを示す

2:プロダクトを示すもの
TokyoOtakuModeはECサイトを通じた国際的な電子商取引の運営をメインに行っています。たとえば、付随するWarehouseやShop運用スタッフが利用する管理ツール、自社商品をクラウドファンディング形式で販売する「TOM Projects」、中国のお客さま向けの「Tmall Global」店舗運営など。いくつものプロダクトを通じて世界中のユーザーのみなさまに、フィジカルな商品やサービスを通じた体験をお届けしています。

そのため、カードを見た瞬間に「このタスクはどのプロダクトに関することなのか?」をエンジニアが把握できるようプロダクトごとに違うラベルをタスクに設定しています。また、各プロダクトにどの程度のリソースを割り振ったのかを後から見返したり、Sprintごとに作業ログを集計したりする時にも、プロダクトごとのラベルを利用しています。

3:タスクの特徴を示すもの
多くのプロダクトを日々運営しているので、運用チームからの突発的な要望やイレギュラーなオペレーションへの対応、不具合の対応といった、予測不可能なタスクが一定数発生します。

こうしたイレギュラーなタスクには、タスクの特徴を示すラベルを付与します。イレギュラーラベルをカードに設定し、Sprintのタスクとは別にコスト管理し、Sprintごとに集計。一定の作業ボリュームになってきた時点で、根本解決に向けてアクションを取れるように、チーム運営を行っています。

最後に、チェックリスト機能について。タスクの進行では、カードにタスク完了までのチェックリストをSprint Planning時に作成。複数名のエンジニアが関わるタスクであっても、抜け漏れなく作業を進行できるので、重宝しています。

Trelloを使う上で意識したいこと

とにかくチームで改善を続けていき、チームにとってベストな使い方を探し続けたいです。Trelloも新しい機能をリリースしますし、「それが自分たちのチームにとってどのようなベネフィットをもたらすのか?」をチームで話し合い続けることが重要だと思います。

弊社では2年ほど前にスクラムを導入したのですが、それから50回を超えるSprintを運営してきました。Sprintのたびに行われるSprint Retrospectiveでは、作業の進め方やコーディングのルールといった生産性を高めるための振り返りとともに、Trelloのような関連ツールの使い方に関しても話し合って、さまざまな取り組みをしてきました。今後も試行錯誤を進めながら改善を続けていけたらと思います。

株式会社コードタクト 全員リモートワークでも常にタスク共有

iPadなどのタブレット端末での学習環境を構築するサービス「schoolTakt」を運営している株式会社コードタクト。同社は社員全員がリモートワークで働くなか、常にタスクを共有できるようTrelloを採用。同社の広報田中絵里加さんに話を伺います。

会社紹介・人物紹介

株式会社コードタクト
田中絵里加
広報をメインにカスタマーサポートや製品の納品の業務を行っております。

codeTaktではこんな風に使っています

基本的に2つのボードを使っています。

【教材作成用】
学生アルバイトスタッフとの連携用に、教材作成を担当するメンバー15人で使っています。学生が教材作成後、Trelloに貼り付けていただき、訂正がある場合は「訂正BOX」へ、訂正がなければ「OKBOX」へ入れるなど、どの教材の確認が済んだのかひと目でわかるようにしています。

コードタクトで作成している教材の一例

【納品書類用】
ビジネスチームで使っています。リスト名は「template(定型)」「backlog(履歴)」「wip(作業中)」「done(完了)」です。カード内にチェックボックスを追加してタスクを分解しています。

たとえば、「○○への納品」というタスクがあれば、納品書作成→確認→先方へ送付というチェックボックスを作成するなど細かくタスクを分解し、納品作業を行っています。

【Backlogと併用】
主に大きいタスク管理が必要なものはBacklogで管理を行い、日々行う細かなタスクや単発の仕事は、Trelloで管理しています。

Trello導入の経緯

最初はGoogleスプレッドシートを使っていました。ところが、タスク管理用のスプレッドシートが乱立。訂正依頼のわかりにくさや、訂正のログがうまく残せないことが悩みでした。社員全員がリモートワークで働いているので、常にタスクを共有できるような管理ツールはないかと探していたところ、Trelloを発見。直感的に使えること、GitHubとも連携ができることから、導入を決めました。

標準機能を使いこなす

<追加でメンバーを入れることができる機能>
いろんなメンバーを参加させられることが便利だと思っています。

<チェックボックス機能>
チェックボックス機能を使うと、複数人での確認が必要なタスクも、どこまで進んでいるのかひと目でわかるようになります。

Trelloを使う上で意識したいこと

弊社はリモートワーク勤務が中心。なかには直接顔を合わせたことがないメンバーも。そのため、「どういった部分を修正したらよいのか」「どの部分がわかりにくいのか」などわかりやすくコメントを書いたり、文章だけでは伝わらない部分にはスクリーンショットを貼り付けたりします。直接会話ができない分、Trelloでもテキストベースのコミュニケーションを工夫しています。

まとめ

3社とも導入したチームの状況に応じて、Trelloを使いこなしていた。チームによって運用ルールはさまざまだが、目指す理想は共通している。それは、チームとしてタスクを「やりきる」こと。タスクをやりきることの積み重ねが、チームを強くし、会社も成長させていくだろう。

 

編集:ノオト