サイズレコメンドエンジン「unisize」はオンライン試着を文化にできるか

13.9兆円の規模を持つ日本のアパレル市場【※】。最近はスマホの普及などに伴い、洋服をECサイトで購入する人が増加。経済産業省が2017年4月に発表した「電子商取引に関する市場調査」によれば、購入先の10.93%がECサイトだという。地元では売っていない洋服が購入できたり、誰の目も気にすることなく買い物ができたりする便利さから、今後さらなる成長が見込まれている。
※経済産業省「平成28年度我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」より推計

しかし、ECサイトで洋服を買う時に悩ましいのが、試着でサイズ感が確認できないこと。サイズが合わずに返品した経験がある人も多いのではないだろうか? そして返品を受け付けるECサイト側は、ユーザーの送料を負担するなどコストをかけざるを得ない。試着ができないことは、ECサイトの利用者と運営者の双方にとって負担でしかないだろう。

先日、ZOZOTOWNなどを運営するスタートトゥデイが自動的に採寸できるボディスーツ「ZOZOSUIT」を発表し、大きな話題となったように、サイズの問題はアパレルにとって避けては通れないものだ。

こうした現状を背景に、最近登場しているのがバーチャル試着サービス。ネット上で洋服のサイズ感が確認でき、サイズ間違いによる買い物の失敗を防ぐソリューションが数社で開発され、ECサイトでの導入が進みつつある。なかでも、メイキップが開発したサイズレコメンドエンジン「unisize(ユニサイズ)」は、2016年2月のリリース以降、ECサイトでのシェアを順調に伸ばしている。

簡単な操作でユーザーにぴったりな推奨サイズを提示する仕組みや開発の裏側など、代表取締役CEOの柄本(つかもと)真吾さんに伺った。

ユーザーが知っている情報だけで合うサイズを提示

――「unisize」を使ってみましたが、身長や体重、年齢、身体的特徴、体に合うブランド、よく合うサイズという情報だけで、自分に合うサイズの服を提示してくれるのが便利ですね。

メジャーで寸法を測らずに、ユーザーが知っている情報だけで推奨サイズを提示するのがunisizeの特徴です。早ければ1分ほどでご自身に合ったサイズがわかります。

また、過去の購入履歴をもとに、推奨サイズを自動的に提示することもできます。ECサイトにログインすると、ユーザーが過去に買った洋服のサイズと購入を検討している洋服の中で一番近いサイズを比較し、部位ごとの差分を表示。パンツであればウエストや股下などが、過去に買ったものとどれだけ近いかを表します。

――これまでの導入実績を教えてください。

サービスをリリースした2016年2月から2017年12月末時点で、国内40サイトが導入し、累計で150万IDを突破しました。特に今年に入ってから導入サイトが急速に増え、それに伴って利用者数も大幅に伸びています。

――IDとは何のIDを指しているのですか?

Cookieに保存されるIDのことです。同じユーザーがパソコンとスマホでunisizeを利用した場合、IDは2つとなります。unisizeはCookieにすべて情報を保持することで、ユーザーに負担を感じることなく使ってもらえるようにしました。

――ということは、過去の購入履歴から購入を検討している洋服の推奨サイズを提示できるのも、Cookieにすべての情報を保持しているからでしょうか。

そうです。unisizeで一度登録した身長や体重などの情報はCookieに保持されるので、2回目以降に情報を入力する必要がありません。それに、Cookieに保持されている情報は導入企業すべてで共有するので、どこかのサイトで登録していただいた情報は、別のサイトでも生かされることになります。

ユーザーの感覚的な情報を含めて解析し、最適なサイズを提示する

――使ってみて気になったのが、身体的特徴に関する情報を「普通」「長い」「短い」といった言葉で表現する点です。体に合うサイズを特定するための情報としては、感覚的なものに思えるのですが……。

感覚的に表現した身体的特徴と、体に合うブランドとサイズ、身長、体重などの登録情報を総合的に解析し、その人がどのような体型であるのかを推定した上で、推奨するサイズを提示するアルゴリズムにしています。

――体に合うブランドとサイズを聞くのも、最適なサイズを解析するために必要な情報だったんですね。

そうです。これらを聞かないと、結局体の各部位をメジャーで測って入力してもらうことになってしまう。それでは手元にメジャーがなかったり、正しく測れるかどうかわからなかったりとハードルを感じてしまい、使ってもらえない恐れがありました。

買い物で失敗を重ねたことが、unisizeの開発を決意させた

――ところで、なぜunisizeを開発したのですか?

私は学生時代にラグビーをしており、ウエストの割に太ももが太すぎる体型になりました。そのため、ウエストに合わせてパンツを買うと太ももがきつくパンパンになるのはざら。社会人になって忙しくなると、ECサイトで洋服を買うようになったのですが、試着できないため失敗が増えました。

こうした経験から、試着できないことが原因で起きる買い物の失敗をなくせないか、と思うようになり、unisizeの開発を決意。2015年に当社を立ち上げたと同時に、開発に取りかかりました。

――開発に当たり、一番気を使ったことは何でしょうか?

簡便性です。今、ECサイトでの買い物は、パソコンよりもスマホから行うことが主流だからです。スマホだといつでも、どこにいても買い物ができる一方、画面が小さいため簡単・便利でないと使ってもらえません。スマホで買い物をするということを大前提にし、入力項目が少なくて済むものを目指しました。

――推奨サイズを瞬時に提示できるのは、膨大な数の洋服のサイズデータを収集・蓄積したからだと思うのですが、データ収集には時間をかけたのですか?

はい、ネット上でオープンになっている約1000ブランド20万アイテムの洋服のサイズデータを集めました。しかし、データは一度収集して終わりではありません。細かくメンテナンスしており、新たに追加もしています。

データ収集には、クローラーを使ったり、実際に店頭で試着したりしてデータを集めました。

――サービスリリース前にテストされたと思いますが、どのような結果が得られましたか?

2015年10月から12月までの3カ月間、レディースファッション通販サイト「夢展望」でテストを実施しました。

結果は、unisizeを利用して購入した商品の1カ月当たりの平均が購入率(購入商品数÷商品詳細ページ表示回数)で約2.5倍、購入単価(購入金額÷購入商品数)で約1.3倍にアップ。良い結果が出たので、夢展望さまではその後、正式に導入していただけることになりました。

機能を改善し続け、簡単・便利に磨きをかける

――現在、unisizeは国内40サイトで採用されていますが、この成果をどのように受け止めていますか?

非常に速いペースで市場に受け入れられたと思っています。多くのユーザーに利用していただいたので、ニーズともマッチしていたな、と。しかし、現状に満足することなく、より良いサービスをご提供していけるようにしたいと考えています。類似するサービスが登場しているので、スピーディーに導入いただけるサイトを増やしていきたいです。

――そのために必要なことは何ですか?

いくつかありますが、1つは継続的な機能改善です。たとえば、過去の購入履歴からサイズを推奨する機能も、リリース当初はなく、後から追加したものです。直近では、2017年11月に靴への適用、12月にシルエット型UIの提供を開始しました。シルエット型UIとは、人体の形に洋服のシルエットを重ねて実際に試着したときの状態を見せるものです。

――ECサイトへのサービス導入の働きかけとともに、2016年8月に、サイズの合う洋服が見つかるウェブサイト「unisize」を開設していますね。この狙いは?

unisizeに触れていただく場面を増やし、ネット上で洋服の試着ができる機会を増やすことにあります。ネット上での洋服の試着は、まだ当たり前にはなっていません。少しでもunisizeに触れる機会を増やす必要性を感じたことから、自分の体型データをもとに、サイズが合う洋服を探せるサイトを立ち上げることにしました。

サイトは開設しましたが、現在はバージョンアップを繰り返しているところ。まだ広くユーザーを集められていません。本格的にユーザーを集めるのは、今年からになります。

海外展開もスタート、アジアを中心に導入サイトの拡大を目指す

――海外のECサイトでも採用が決まったと聞きました。

韓国ロッテグループのロッテ・ホームショッピングとパートナー契約を締結し、2017年12月から、同社が展開する「Lotte Homeshoppingアプリ」に導入を開始しております。また、今後もロッテグループが展開するそのほかのECサイトをはじめ、取引先のモールやECサイトへの導入を共同で推進することになっています。海外では今後1年以内に、アジアを中心に100サイトへの導入を目指しています。

――契約締結までに時間はかかりましたか?

かなりスピーディーに進みました。8月下旬にロッテ・ホームショッピングさまより最初のコンタクトがあり、10月には契約締結に至りました。

韓国のECサイトには、unisizeのような洋服の推奨サイズ提示するサービスがほとんどないらしく、入念に事前リサーチをしていたみたいです。競合他社のサービスと比較検討し、unisizeを導入すると決めてコンタクトを取っていただいたようでした。

――これから海外にもunisizeが広がっていくことになりますが、最後に貴社が目指していることお聞かせください。

当社のサービスビジョンは、サイズで困らない世界をつくること。洋服は同じサイズ表記でもブランドごとに各部位のサイズが異なるので、悩んで買えなくなることがあります。この悩みをなくすことができればベスト。そのためにできることは、全部やっていきたいです。

 

編集:ノオト